論文詳細
理学部
自然科学系
#学術雑誌論文
四国西端部秩父累帯の地体構造区分
- AI解説:
- 秩父累帯は四国を基準に北帯、中帯(黒瀬川帯)、南帯の3帯に地体構造区分されていますが、四国西端部の大洲市から明浜町にいたる地域では、黒瀬川帯の特徴的な地質体が約25kmにわたって途切れることが問題となっていました。この地域の地体構造区分に関する見解が統一されていないことが、秩父累帯のみならず西南日本やアジア大陸東縁の形成史を解明する上で重要とされています。本論文の目的は、四国西端部の地質を詳細に調査し、地体構造区分を見直すことで、この地域の構造発達史を明らかにすることです。
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理学部
自然科学系
#学術雑誌論文
四国西端部秩父累帯の地体構造区分
AI解説
- 背景と目的:
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秩父累帯は四国を基準に北帯、中帯(黒瀬川帯)、南帯の3帯に地体構造区分されていますが、四国西端部の大洲市から明浜町にいたる地域では、黒瀬川帯の特徴的な地質体が約25kmにわたって途切れることが問題となっていました。この地域の地体構造区分に関する見解が統一されていないことが、秩父累帯のみならず西南日本やアジア大陸東縁の形成史を解明する上で重要とされています。本論文の目的は、四国西端部の地質を詳細に調査し、地体構造区分を見直すことで、この地域の構造発達史を明らかにすることです。
- 主要な発見:
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今回の調査により、調査地域には広範囲に斗賀野層群と三宝山層群が分布しており、四国西端部の秩父累帯が南部秩父帯に占められていることが判明しました。また、三宝山層群が地窓として調査地域北部に出現していることが新たに明らかになりました。これにより、黒瀬川帯が途切れる部分に水平に近い構造の南部秩父帯の付加体が分布していることが確認されました。この発見は、南部秩父帯の付加体深部が上昇・露出するという地域限定の後生変形が存在することを示唆しています。
- 方法論:
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筆者は1986年以来、南は仏像スラストから北は御荷鉾緑色岩類分布域にかけて、南北20km、東西10〜15kmにわたる四国西端部の秩父累帯全域の地質調査を実施してきました。調査地域では、5千分の1(部分的に1万分の1)の地形図を用いてマッピングを行い、地質図を作成しました。さらに、複数の研究者によって命名されていた地層名を付加体地質の観点から見直し、理解しやすい形にまとめて提案しました。また、これまでの主要な考え方をレビューし、筆者の見解を示すとともに、調査地域の構造発達史について考察しました。
- 結論と意義:
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本研究により、四国西端部の秩父累帯が南部秩父帯に占められていることが明確にされ、黒瀬川帯が途切れる現象についての新たな理解が得られました。この地域の付加体が南北方向に変形・変成度が異なることから、奥行き方向の層相変化が存在することが確認されました。また、現在見られる水平に近い地質構造は付加体形成当時のものではなく、北側が相対的に上昇する二次的改変を受けた結果であることが示されました。これにより、南部秩父帯の付加体深部が上昇・露出するという後生変形が、この地域に特異的な現象であることが理解されました。
- 今後の展望:
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本研究の成果をもとに、四国西端部以外の地域、例えば紀伊半島中央部や関東山地の大滝地域における地体構造区分の検討が進展することが期待されます。また、南部秩父帯の地質構造や変成作用についてさらに詳細な研究を行うことで、付加体の形成とその後の改変プロセスについての理解が深まるでしょう。さらに、四国全域や他の地域との比較研究を通じて、南部秩父帯の地質構造の特異性や普遍性を明らかにし、日本全体の地質史解明に寄与することが期待されます。
- 背景と目的:
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秩父累帯は、四国にある3つの帯(北帯、中帯、南帯)で構成されていますが、四国西端部の地域では中帯(黒瀬川帯)の地質が約25kmにわたって途切れていることが問題でした。この地域の地質構造を明らかにすることは、日本やアジア大陸の地質の歴史を解明する上で重要です。この論文の目的は、四国西端部の地質を詳しく調査し、その地質構造を再評価することです。
- 主要な発見:
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調査の結果、四国西端部の地域には斗賀野層群と三宝山層群が広がっていて、南部秩父帯がこの地域を占めていることがわかりました。また、三宝山層群が
として地域の北部に出現していることも新たな発見です。これにより、黒瀬川帯が途切れる部分に南部秩父帯の地窓 ( 地質学では、下部の地層が局所的に露出している場所を指します。) が広がっていることが確認されました。この発見は、南部秩父帯の深部が上昇・露出する現象が地域限定の付加体 ( プレートが沈み込む際に、その上に積み重なる堆積物や岩石のことです。) であることを示唆しています。後生変形 ( 地質体が形成された後に受けた変形のことです。)
- 方法論:
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1986年から四国西端部の約20km南北、10~15km東西の範囲で地質調査を行いました。調査には、1:5000(部分的には1:10000)の地図を使用して地質図を作成し、複数の研究者によって命名されていた地層名を見直して、理解しやすい形にまとめて提案しました。また、過去の主要な見解をレビューし、新しい見解を示しました。
- 結論と意義:
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調査の結果、四国西端部の秩父累帯が南部秩父帯に占められていることが明確になり、黒瀬川帯が途切れる現象について新しい理解が得られました。この地域の地質構造が水平に近いのは
形成当時のものではなく、後から地域限定の変形を受けた結果であることが示されました。この発見は、南部秩父帯の深部が上昇・露出する現象が特異的であることを理解する上で重要です。付加体 ( プレートが沈み込む際に、その上に積み重なる堆積物や岩石のことです。)
- 今後の展望:
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今回の研究成果をもとに、他の地域(紀伊半島中央部や関東山地など)でも地質構造の研究が進むことが期待されます。また、南部秩父帯の地質構造や
についてさらに詳細な研究を行うことで、変成作用 ( 地質体が温度や圧力の変化によって再結晶化する現象です。) の形成とその後の改変プロセスについての理解が深まるでしょう。四国全域や他の地域との比較研究を通じて、日本全体の地質史解明にも寄与することが期待されます。付加体 ( プレートが沈み込む際に、その上に積み重なる堆積物や岩石のことです。)
- 何のために?:
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四国には3つの
(ちしつたい)があります。地質 帯 ( 地面の中の石や土がどのように積 み重 なっているかを表すもの。) 地質 帯 とは、地面の中の石や土がどのように積 み重 なっているかを表します。四国の西の地域 では、真ん中の地質 帯 がなくなっているところがあります。この場所を調べると、日本やアジアの地質 の歴史 が分かるかもしれません。私 たちはこの地域 の地質 を詳 しく調べたいと思います。
- 何が分かったの?:
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調べた
結果 、四国の西の地域 には (とかのそうぐん)と斗賀野 層群 ( 四国西部にある地層 の名前。) (さんぽうざんそうぐん)が広がっていることが分かりました。三 宝山 層群 ( 四国西部にある別 の地層 の名前。) (なんぶちちぶたい)はこの南部 秩父 帯 ( 四国の南にある地質 帯 。) 地域 にあります。また、三宝山 層群 が (じまど)という地形で地 窓 ( 地下の地質 が隆起 して地表に現 れる現象 。) 現 れていることが新しく分かりました。これにより、 (くろせがわたい)が黒瀬川 帯 ( 四国の真ん中にある地質 帯 。) 途切 れている部分に南部秩父 帯 が広がっていることが確認 されました。
- どうやったの?:
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1986年から四国の西の
地域 を調べました。この地域 は南北に約 20km、東西に10~15kmあります。1:5000や1:10000の地図を使って (ちしつず)を地質 図 ( 地面の中の石や土の配置 を地図にしたもの。) 作成 しました。いろんな人が名前を付 けた を整理して、分かりやすくまとめました。また、地層 ( 地面の中で層状 に重なっている岩や土のこと。) 過去 の研究を見直して、新しい見解 を示 しました。
- 研究のまとめ:
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調査 の結果 、四国の西の地域 の地質 は に南部 秩父 帯 ( 四国の南にある地質 帯 。) 占 められていることが分かりました。 が黒瀬川 帯 ( 四国の真ん中にある地質 帯 。) 途切 れている現象 について、新しい理解 が得 られました。この地域 の が水平に近いのは、地質 構造 ( 地面の中の石や土がどのように配置 されているかのパターン。) 地質 が後から変形 した結果 であることが分かりました。この発見は、南部秩父 帯 の深部が上昇 ・露出 する現象 が特別 なものであることを理解 する上で重要 です。
- これからどうする?:
-
今回の研究
成果 をもとに、他の地域 でも の研究が進むことが期待されます。地質 構造 ( 地面の中の石や土がどのように配置 されているかのパターン。) 例 えば、紀伊半島(きいはんとう)や関東山地(かんとうさんち)などです。また、 の南部 秩父 帯 ( 四国の南にある地質 帯 。) 地質 構造 や についてもっと変成 作用( 石や土が圧力 や熱 で変 わる現象 。) 詳 しく調べることで、地質 の形成 とその後の変 わり方についての理解 が深まるでしょう。四国全域 や他の地域 との比較 研究を通じて、日本全体の地質 の歴史 を明らかにすることが期待されます。
- 著者名:
- 松岡 篤
- 掲載誌名:
- 地質学雑誌
- 巻:
- 104
- 号:
- 9
- ページ:
- 565 - 576
- 発行日:
- 1998-09
- 著者による要約:
- 四国西端部の秩父累帯には,付加体である斗賀野層群,三島層(再定義)および三宝山層群と鳥巣層群相当層の田之浜層が分布し,地体構造区分上は南部秩父帯に帰属する.斗賀野層群と三宝山層群は明浜スラスト(新称)を介して構造的に重なり,構造的下位の三宝山層群が斗賀野層群の北側に地窓として露出する.南部秩父帯の付加体には南から北に向かって,変形・変成度が漸移的・累進的に上昇する変化が認められる.これは付加体の深度方向の層相変化を示している.斗賀野層群および三宝山層群が示す水平に近い構造は,付加体形成当時の構造そのものではなく,北側が相対的に上昇するという二次的改変を受けた結果である.二次的改変の開始時期は三宝山層群の形成終了時期(白亜紀古世)よりあとで,完成時期は三波川変成作用(100Ma前後)以降である.四国西端部で黒瀬川帯の分布が途切れる現象は,南部秩父帯の付加体深部が上昇する後生変形との関連で理解しうる. / The Chichibu Composite-terrane is tectonostratigraphically divided into three terranes (Northern Chichibu, Kurosegawa and Southern Chichibu), typically in Shikoku. Diversified interpretations in tectonic division have been proposed for the Chichibu Composite-terrane in the westernmost part of Shikoku. Extensive field work and radiolarian dating revealed that the study area is occupied solely by the Southern Chichibu Terrane composed of the Togano Group, Mishima Formation, Sambosan Group, and Tanohama Formation. The Togano Group is characterized by tectonic pile of chert-clastic sequences of Permian-Jurassic age. The Mishima Formation, which has been regarded as an equivalent to the Torinosu Group, is redefined as an accretionary complex characterized by melange facies. The Sambosan Group (Upper Jurassic-Lower Cretaceous) is an accretionary complex formed by seamount collision. The Tanohama Formation contains Torinosu-type limestones and is an equivalent to the Torinosu Group. The Southern Chichibu Terrane is characterized by low-angled structure of accretionary complexes. The Togano Group rests horizontally on the Sambosan Group. The boundary fault is newly introduced as the Akehama Thrust. The Sambosan Group crops out as tectonic windows in the northern part of the study area. Strata of the Togano and Sambosan groups show gradual facies change from weakly deformed and non-metamorphosed succession in the southern area to highly deformed and metamorphosed succession in the northern area. The polarity in deformation and metamorphic facies is interpreted to show lithological change in accordance to structural level of subduction-accretion complex. The present low-angled structure is not the original accretionary wedge structure but is the result of later (secondary) modification. The tectonic modification had clearly continued after the Late Cretaceous Sambagawa metamorphism. The missing of the Kurosegawa Terrane in the study area can be explained by the secondary modification.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/6266
