論文詳細
工学部
自然科学系
#学術雑誌論文
特定小電力無線と衛星携帯電話を用いたトリアージ情報伝送システム(ユビキタスネットワーク,<特集>ユビキタス・センサネットワークを支えるシステム開発論文)
- AI解説:
- 本研究の背景には、過去の大規模災害である阪神・淡路大震災や東日本大震災などでの多くの人的被害がある。特に災害発生時の混乱状態では、DMAT(災害派遣医療チーム)が行うトリアージ(傷病者の緊急性と重症度による治療・搬送の優先順位決定)が重要であるが、従来の手作業による情報集計・伝達には限界がある。トリアージタグの破損や情報の消失といった問題もあるため、迅速かつ正確な傷病者情報の把握が困難である。このような問題を解決するために、トリアージ情報を電子化し、リアルタイムで共有できるシステムの開発を目的としている。
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工学部
自然科学系
#学術雑誌論文
特定小電力無線と衛星携帯電話を用いたトリアージ情報伝送システム(ユビキタスネットワーク,<特集>ユビキタス・センサネットワークを支えるシステム開発論文)
AI解説
- 背景と目的:
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本研究の背景には、過去の大規模災害である阪神・淡路大震災や東日本大震災などでの多くの人的被害がある。特に災害発生時の混乱状態では、DMAT(災害派遣医療チーム)が行うトリアージ(傷病者の緊急性と重症度による治療・搬送の優先順位決定)が重要であるが、従来の手作業による情報集計・伝達には限界がある。トリアージタグの破損や情報の消失といった問題もあるため、迅速かつ正確な傷病者情報の把握が困難である。このような問題を解決するために、トリアージ情報を電子化し、リアルタイムで共有できるシステムの開発を目的としている。
- 主要な発見:
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実験結果から、特定小電力無線による通信範囲が600メートル単位で確立できること、衛星携帯電話回線を利用してトリアージ情報を後方のサーバへ正確に送信できることが確認された。また、データ送信時間が1件当たり約2秒であることから、災害現場での即時対応が可能であることが示された。これにより、商用電源や一般通信網が途絶した状況でも、傷病者情報の正確な伝送が可能となり、災害時の医療活動の効率化が期待できる。
- 方法論:
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本研究では、まず災害現場において商用電源や一般通信網が途絶することを想定し、特定小電力無線を用いたトリアージ情報送信専用機器「エアタグ」を開発。さらに、衛星携帯電話回線を使用してトリアージ情報をサーバへ送信するアプリケーションを開発した。これにより、災害現場での情報のリアルタイム伝送が可能となる。これらのシステムの有効性を確認するために、具体的な通信距離測定実験やデータ送信実験を行い、結果を詳細に分析した。
- 結論と意義:
-
本研究の結果、DMATが活動する災害現場でトリアージ情報をリアルタイムに後方のサーバへ送信するシステムが実現可能であることが示された。特定小電力無線による通信範囲や衛星携帯電話回線を用いたデータ送信の有効性が確認され、傷病者の位置・人数・重症度を迅速かつ正確に把握できる。このシステムにより、災害時の医療活動が効率化され、被災者の救助・治療プロセスが大幅に改善されることが期待できる。
- 今後の展望:
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今後の課題として、様々な環境下での専用機器の通信距離測定や中継機の最適配置方法の検討が挙げられる。さらに、衛星車載アンテナを備えた車両を基地局とすることで、特定小電力無線環境およびWi-Fi環境を構築し、システムの有効性をさらに高めることが可能と考えられる。また、実際の災害現場での運用を通じてシステムの実用性を評価し、必要な改良を加えることで、災害時の医療支援システムの完成度を高めていくことが求められる。
- 背景と目的:
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この研究のきっかけは、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の大きな地震で多くの人が被害を受けたことです。特に、災害が起きたときには、
(災害派遣医療チーム)が行うDMAT ( 災害派遣医療チームのことで、災害現場でけが人の救助や治療を行う専門の医療チームです。) (けが人の治療や搬送の優先順位を決めること)が大切ですが、これまでの手作業では限界がありました。紙のタグが破れたり情報が消えたりすることもあり、正確な情報をすぐに把握するのが難しかったです。そこで、トリアージ情報を電子化してリアルタイムで共有できるシステムを作ることを目指しました。トリアージ ( 災害時にけが人の緊急性や重症度を判断して、治療や搬送の優先順位を決めることです。)
- 主要な発見:
-
実験の結果、
を使った通信が600メートルの範囲でできることや、特定小電力無線 ( 短い距離での無線通信に使用する無線技術で、災害時の情報伝送に使われます。) を使って衛星携帯電話回線 ( 衛星を利用して通信を行う電話回線で、普通の通信が使えない場所でも通信が可能です。) 情報を正確に送れることがわかりました。また、データを送るのに1件あたり約2秒しかかからないので、災害現場で素早く対応できることも示されました。これにより、電源や普通の通信が使えない状況でも、正確な情報を送ることができるので、災害時の医療活動が効率的になります。トリアージ ( 災害時にけが人の緊急性や重症度を判断して、治療や搬送の優先順位を決めることです。)
- 方法論:
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まず、災害現場で電源や普通の通信が使えなくなることを想定して、
を使った特定小電力無線 ( 短い距離での無線通信に使用する無線技術で、災害時の情報伝送に使われます。) 情報送信専用機器「エアタグ」を開発しました。さらに、トリアージ ( 災害時にけが人の緊急性や重症度を判断して、治療や搬送の優先順位を決めることです。) を使ってトリアージ情報をサーバへ送るアプリケーションも作りました。これにより、災害現場でリアルタイムで情報を送ることができます。実験では、通信距離やデータ送信のテストをして、その有効性を確認しました。衛星携帯電話回線 ( 衛星を利用して通信を行う電話回線で、普通の通信が使えない場所でも通信が可能です。)
- 結論と意義:
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この研究の結果、
が災害現場でDMAT ( 災害派遣医療チームのことで、災害現場でけが人の救助や治療を行う専門の医療チームです。) 情報をリアルタイムでサーバに送るシステムが実現可能であることが示されました。トリアージ ( 災害時にけが人の緊急性や重症度を判断して、治療や搬送の優先順位を決めることです。) や特定小電力無線 ( 短い距離での無線通信に使用する無線技術で、災害時の情報伝送に使われます。) を使ったデータ送信が有効であり、傷病者の位置や人数、重症度を迅速かつ正確に把握できるようになります。このシステムにより、災害時の医療活動が効率化され、被災者の救助や治療が大幅に改善されることが期待できます。衛星携帯電話回線 ( 衛星を利用して通信を行う電話回線で、普通の通信が使えない場所でも通信が可能です。)
- 今後の展望:
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今後の課題として、さまざまな環境で専用機器の通信距離を測ることや、中継機の最適な配置方法を検討する必要があります。また、衛星車載アンテナを備えた車両を基地局とすることで、
やWi-Fi環境を構築し、システムの有効性をさらに高めることが考えられます。実際の災害現場でシステムを使って評価し、必要な改良を加えることで、災害時の医療支援システムの完成度を高めていくことが求められます。特定小電力無線 ( 短い距離での無線通信に使用する無線技術で、災害時の情報伝送に使われます。)
- 何のために?:
-
この研究は、大きな
地震 で多くの人がけがをしたことがきっかけです。けがをした人を助けるために、 (DMAT ( 災害 が起きたときに、けがをした人を助けるチームです。) 災害 派遣 医療 チーム)がとても大事です。今までは、紙を使って情報 をまとめていました。でも、紙は破 れたり、情報 が消えたりして大変 でした。そこで、情報 を電子化して、すぐにみんなで共有 できるシステムを作ることにしました。
- 何が分かったの?:
-
実験 で、 を使うと600メートルの特定 小電力無線 ( 少ない電力で通信 する無線 のことです。) 範囲 で通信 できました。また、トリアージ ( たくさんのけがをした人の中から、どの人を先に助けるかを決めることです。) 情報 を で衛星 携帯電話 ( 衛星 を使って通信 する電話のことです。) 正確 に送れることもわかりました。データを送るのに1件 あたり約 2秒しかかからないので、災害 現場 でとても早く対応 できることがわかりました。
- どうやったの?:
-
まず、
災害 のときに電源 や普通 の通信 が使えなくなることを考えました。 を使った特定 小電力無線 ( 少ない電力で通信 する無線 のことです。) トリアージ ( たくさんのけがをした人の中から、どの人を先に助けるかを決めることです。) 情報 送信 専用 機器 「 」を作りました。さらに、エアタグ ( トリアージ情報 を送るための、特定 小電力無線 を使った専用 機器 です。) で衛星 携帯電話 ( 衛星 を使って通信 する電話のことです。) 情報 を へ送るアプリも作りました。サーバ ( 多くのデータを保存 しておくためのコンピュータです。) 実験 では、どれだけ遠くまで通信 できるかや、データを送るテストをして、有効性 を確認 しました。
- 研究のまとめ:
-
この研究で、
がDMAT ( 災害 が起きたときに、けがをした人を助けるチームです。) 災害 現場 でトリアージ ( たくさんのけがをした人の中から、どの人を先に助けるかを決めることです。) 情報 をリアルタイムで に送れるシステムができることがわかりました。サーバ ( 多くのデータを保存 しておくためのコンピュータです。) や特定 小電力無線 ( 少ない電力で通信 する無線 のことです。) を使うことで、けがをした人の衛星 携帯電話 ( 衛星 を使って通信 する電話のことです。) 情報 を早く正確 に把握 できます。このシステムで、災害 時の医療 活動がもっと効率的 になり、けがをした人を早く助けやすくなります。
- これからどうする?:
-
これから、いろいろな場所で
機器 の通信 距離 を測 ることが必要 です。そして、 をどこに中継 機 ( 通信 範囲 を広げるために、通信 信号 を中継 する装置 です。) 置 くかも考える必要 があります。また、 を使ってもっと衛星 車載 アンテナ( 車に取 り付 けて使う、衛星 との通信 を行うためのアンテナです。) 良 い通信 環境 を作ることも考えています。実際 の災害 現場 でシステムを使ってみて、改良 を加 えることで、もっと良 いシステムにしていきます。
- 著者名:
- 亀井 秀一, 伊藤 達哉, 今井 博英, 西森 健太郎, 高橋 昌, 木下 秀則, 牧野 秀夫
- 掲載誌名:
- 電子情報通信学会論文誌. B, 通信
- 巻:
- J95-B
- 号:
- 11
- ページ:
- 1435 - 1445
- 発行日:
- 2012-11
- 著者による要約:
- 災害発生時,災害派遣医療チーム(以下,DMAT)は傷病者の緊急性と重症度によって,治療や搬送の優先順位を決定するトリアージを行う.しかし現状では,混乱状態の災害現場で,手作業で傷病者情報を集計・伝達しなければならず,傷病者の位置・人数・重症度の迅速かつ正確な把握が困難である.そこで筆者らは,トリアージ情報をインターネット上でリアルタイムに共有できるDMAT支援情報システムの開発を進めている.本論文では,商用電源や一般通信網が途絶した災害現場から後方のサーバヘトリアージ情報を送信するシステムについて述べる.具体的には,DMATが活動する超急性期(おおむね72時間以内)に連続稼動でき,自立的に特定小電力無線によるアドホックネットワークを構成できるトリアージ情報送信専用機器を開発する.また,衛星携帯電話回線を用いてトリアージ情報をサーバへ送信するアプリケーションを開発し,その有効性を検証する.実験結果より,(1)特定小電力無線による中継間隔600m単位の通信,(2)衛星携帯電話回線による後方エリアとの接続機能,(3)トリアージ情報の正確な送信・再送機能を確認した.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30667
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