論文詳細

工学部 自然科学系 #学術雑誌論文

特定小電力無線と衛星携帯電話を用いたトリアージ情報伝送システム(ユビキタスネットワーク,<特集>ユビキタス・センサネットワークを支えるシステム開発論文)

AI解説:
この研究のきっかけは、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の大きな地震で多くの人が被害を受けたことです。特に、災害が起きたときには、DMAT(災害派遣医療チームのことで、災害現場でけが人の救助や治療を行う専門の医療チームです。)(災害派遣医療チーム)が行うトリアージ(災害時にけが人の緊急性や重症度を判断して、治療や搬送の優先順位を決めることです。)(けが人の治療や搬送の優先順位を決めること)が大切ですが、これまでの手作業では限界がありました。紙のタグが破れたり情報が消えたりすることもあり、正確な情報をすぐに把握するのが難しかったです。そこで、トリアージ情報を電子化してリアルタイムで共有できるシステムを作ることを目指しました。
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著者名:
亀井 秀一, 伊藤 達哉, 今井 博英, 西森 健太郎, 高橋 昌, 木下 秀則, 牧野 秀夫
掲載誌名:
電子情報通信学会論文誌. B, 通信
巻:
J95-B
号:
11
ページ:
1435 - 1445
発行日:
2012-11
著者による要約:
災害発生時,災害派遣医療チーム(以下,DMAT)は傷病者の緊急性と重症度によって,治療や搬送の優先順位を決定するトリアージを行う.しかし現状では,混乱状態の災害現場で,手作業で傷病者情報を集計・伝達しなければならず,傷病者の位置・人数・重症度の迅速かつ正確な把握が困難である.そこで筆者らは,トリアージ情報をインターネット上でリアルタイムに共有できるDMAT支援情報システムの開発を進めている.本論文では,商用電源や一般通信網が途絶した災害現場から後方のサーバヘトリアージ情報を送信するシステムについて述べる.具体的には,DMATが活動する超急性期(おおむね72時間以内)に連続稼動でき,自立的に特定小電力無線によるアドホックネットワークを構成できるトリアージ情報送信専用機器を開発する.また,衛星携帯電話回線を用いてトリアージ情報をサーバへ送信するアプリケーションを開発し,その有効性を検証する.実験結果より,(1)特定小電力無線による中継間隔600m単位の通信,(2)衛星携帯電話回線による後方エリアとの接続機能,(3)トリアージ情報の正確な送信・再送機能を確認した.
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