論文詳細
教育学部
#紀要論文
注意バイアス修正の手続きと臨床効果の展望
- AI解説:
- 不安やうつを持つ人たちは、情報をとてもネガティブに受け取りやすいという特徴があります。特に、不安が強い人たちは、危険を感じるものに対して注意を引きやすいということがよく知られています。このような注意の偏りを修正することで、不安の軽減が期待されています。そのため、多くの研究が行われてきました。この論文では、不安に関連する注意の偏りについての研究を整理し、今後の研究の方向性を考察しています。
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教育学部
#紀要論文
注意バイアス修正の手続きと臨床効果の展望
AI解説
- 背景と目的:
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不安や抑うつを持つ人々は、情報を過度にネガティブに処理する認知の偏りを持つことが指摘されています。特に、不安を持つ人々の視空間的な注意バイアスに注目が集まり、脅威となる刺激に対して接近的な注意バイアスを示すことが頑強な現象として報告されています。注意バイアスの修正が不安症の治療法としての可能性が注目され、認知課題を通じて認知バイアスを修正することで高不安者の不安やストレスに対する脆弱性を低減させる試みが数多く行われてきました。本論文では、これまで行われた不安に関する注意バイアスの測定や修正に関する研究を概観し、その現状を整理するとともに、今後の研究における展望を述べることを目的としています。
- 主要な発見:
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高不安者の脅威刺激に対する注意バイアスの存在は、多くの研究において確認されてきました。特に、情動ストループ課題やドットプローブ課題を通じて注意バイアスが測定されることが多く、高不安者は脅威刺激に対して明確な注意バイアスを示すことが明らかになっています。しかし、注意バイアス修正訓練の効果に関しては一貫した結果が得られていないことが指摘されており、メタ分析でも効果の大小や異質性が報告されています。研究によっては注意バイアス修正が不安低減に効果的であるとする一方で、出版バイアスや異質性を考慮すると効果が小さいか認められないとするものもあり、全体として一貫した結論には至っていません。
- 方法論:
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注意バイアスの測定には、情動ストループ課題やドットプローブ課題が主に使用されます。情動ストループ課題では、ネガティブな意味を持つ画像や単語の色を答えさせることで反応時間を測定し、注意バイアスの存在を示します。一方、ドットプローブ課題は、脅威刺激と中性刺激を提示した後にターゲット刺激の反応時間を測定する手法で、脅威刺激に対する接近的または回避的な注意バイアスの方向を検証することが可能です。注意バイアス修正訓練では、ドットプローブ課題を用いて脅威刺激からの回避やポジティブ刺激への接近を訓練し、不安やストレスに対する脆弱性の低減を目指します。
- 結論と意義:
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注意バイアス修正の効果に関する研究は増えているものの、その効果は一貫しておらず、メタ分析でも結果の異質性が報告されています。注意バイアスの存在自体は多くの研究で確認されていますが、その修正が不安低減にどれほど寄与するかは明確ではありません。注意バイアスの修正が臨床的に有用であるかを判断するためには、プロセスとしての注意バイアスを正確に測定する手法の確立が求められます。現状では、注意バイアス修正訓練の手続きに改良の余地があり、その効果を正確に評価するための新たな指標の開発が必要です。
- 今後の展望:
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今後の研究では、注意バイアス修正の手続きや課題条件の改良が求められます。特に、ポジティブ刺激への接近を訓練する方法や視覚探索課題など、新たな手法の効果を検証することが重要です。また、注意バイアス修正が認知行動療法(CBT)と組み合わせられた場合の効果や、CBTとの比較についても注目されます。注意バイアス修正の効果を一貫したものとするためには、より多くの研究が行われ、その結果がメタ分析を通じて包括的に検証されることが必要です。さらに、プロセスとしての注意バイアスを正確に測定する新たな指標の開発も進められるべきであり、その成果が不安やストレスの治療にどのように応用されるかが今後の課題となります。
- 背景と目的:
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不安やうつを持つ人たちは、情報をとてもネガティブに受け取りやすいという特徴があります。特に、不安が強い人たちは、危険を感じるものに対して注意を引きやすいということがよく知られています。このような注意の偏りを修正することで、不安の軽減が期待されています。そのため、多くの研究が行われてきました。この論文では、不安に関連する注意の偏りについての研究を整理し、今後の研究の方向性を考察しています。
- 主要な発見:
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多くの研究で、高い不安を持つ人たちは脅威となるものに対して強い注意を示すことが確認されています。特に「
」や「情動ストループ課題 ( ネガティブな意味を持つ単語や画像の色を答えさせ、その反応時間を測ることで注意の偏りを確認する方法です。) 」を使って、この注意の偏りが測定されています。しかし、注意の偏りを修正する訓練の効果については、研究ごとに結果が異なり、一貫した結論には至っていません。ドットプローブ課題 ( 脅威となる画像と普通の画像を提示し、その後に出てくるターゲットへの反応時間を測ることで注意の偏りを確認する方法です。)
- 方法論:
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注意の偏りを測定する方法として、主に「
」と「情動ストループ課題 ( ネガティブな意味を持つ単語や画像の色を答えさせ、その反応時間を測ることで注意の偏りを確認する方法です。) 」が使われます。ドットプローブ課題 ( 脅威となる画像と普通の画像を提示し、その後に出てくるターゲットへの反応時間を測ることで注意の偏りを確認する方法です。)
- 情動ストループ課題:ネガティブな意味を持つ画像や単語の色を答えさせ、その反応時間を測ります。
- ドットプローブ課題:脅威となる画像と普通の画像を提示し、その後に出てくるターゲットへの反応時間を測ります。この方法で、脅威への注意の向き方を確認します。
注意の偏りを修正する訓練では、ドットプローブ課題を使って脅威から注意をそらし、ポジティブなものに注意を向けるように訓練します。
- 結論と意義:
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注意の偏りを修正する効果に関する研究は増えていますが、その効果はまだ一貫していません。注意の偏り自体は多くの研究で確認されていますが、その修正がどれほど不安軽減に役立つかは明確ではありません。今後、注意の偏りを正確に測定し、その修正方法を改良することが求められます。
- 今後の展望:
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今後の研究では、注意の偏りを修正する方法や条件の改良が必要です。特に、ポジティブなものへの注意を向ける訓練など新しい手法の効果を検証することが重要です。また、
と組み合わせた効果や、その比較も注目されます。注意の偏り修正の効果をより一貫したものにするために、さらなる研究が必要です。認知行動療法(CBT) ( 不安やうつなどの治療に用いられる心理療法で、考え方や行動のパターンを変えることで症状を改善します。)
- 何のために?:
-
不安 やうつのある人は、悪い情報 をとても気にします。特 に不安 が強い人は、危 ないことに注意が向きやすいです。この注意の向き方を変 えると、不安 が減 るかもしれません。だから、たくさんの研究が行われました。この論文 では、不安 に関 する注意の向き方の研究をまとめています。そして、これからの研究について考えます。
- 何が分かったの?:
-
たくさんの研究で、
不安 が強い人は、こわいものに強い注意を向けることがわかりました。「情動 ストループ課題 」や「ドットプローブ課題 」で、この注意の向き方が測 られます。でも、注意の向き方を変 える訓練 の効果 は、研究ごとに違 います。だから、はっきりした結論 は出ていません。
- どうやったの?:
-
注意の向き方を
測 る方法 に「情動 ストループ課題 」と「ドットプローブ課題 」があります。
-情動 ストループ課題 :悪い意味のある絵や言葉の色を答えさせて、その時間を測 ります。
- ドットプローブ課題 :こわい絵と普通 の絵を見せて、その後に出てくる点にどれくらいで反応 するかを測 ります。この方法 で、こわいものへの注意の向き方がわかります。
注意の向き方を変 える訓練 では、ドットプローブ課題 を使います。こわいものから注意をそらして、いいものに注意を向けるように練習します。
- 研究のまとめ:
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注意の向き方を
変 える訓練 の研究は増 えています。でも、その効果 はまだはっきりしていません。注意の向き方自体はたくさんの研究で確認 されています。でも、その変 えることが不安 をどれくらい減 らすかは、まだわかりません。これから、注意の向き方を正確 に測 り、その変 える方法 を良 くすることが必要 です。
- これからどうする?:
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これからの研究では、注意の向き方を
変 える方法 や条件 を良 くすることが大事です。特 に、いいものへの注意を向ける練習など、新しい方法 の効果 を調べることが大切です。また、認知 行動療法 (CBT)と組み合わせた効果 や、その比較 も注目されます。注意の向き方を変 える効果 を一貫 したものにするために、もっと研究が必要 です。
- 著者名:
- 倉重 乾, 田中 恒彦
- 掲載誌名:
- 新潟大学教育学部研究紀要 人文・社会科学編
- 巻:
- 11
- 号:
- 1
- ページ:
- 21 - 30
- 発行日:
- 2018-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/50678
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