農林水産省相続未登記農地等の実態調査と各種農地面積情報との関連性

日本政府は2013年に「農地中間管理機構の推進に関する法律」を制定し、農地の集積と集約化を進めることで農業の効率化を図っている。しかし、相続が行われた際に農地の登記名義が変更されないケースが多く、これが農地の集積・集約化の阻害要因となっている。この問題を解消するため、2016年に農林水産省は「相続未登記農地等の実態調査」を行い、2018年には「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律」を提出した。本研究は、未登記農地問題の実態を明らかにし、政府の対策や農地管理の改善に向けた基礎的知見を提供することを目的としている。

農林水産省の未登記実態調査によれば、全国の農地の約2割が相続未登記であり、特に西日本地域でその割合が高いことが明らかとなった。具体的には、岡山県の相続未登記農地の割合が最も高く39.1％、次いで高知県が36.4％、山口県が34.4％などであった。また、耕地面積調査と固定資産税課税台帳の農地面積の乖離が大きい地域ほど、相続未登記農地の割合が高いことが確認された。さらに、圃場整備率との間にも一定の相関があり、整備が進んでいる地域ほど相続未登記農地が少ない傾向が見られた。

本研究では、農林水産省が実施した「相続未登記農地等の実態調査」のデータを用い、農地台帳と市町村の固定資産税課税台帳との突合により未登記農地の割合を確認した。また、各都道府県別の耕地面積調査と固定台帳面積の乖離率、さらに圃場整備状況との関係性を比較検討した。これにより、相続未登記農地の実態とその要因を明らかにした。さらに、農業委員会や土地改良区の関係者に対しヒアリングを行い、現場での未登記農地問題に対する管理実態を調査した。

本研究は、相続未登記農地が全国農地の約2割を占めるという実態を明らかにし、その要因として、農地の登記が所有権の絶対的要件ではないことや、登記費用の高さが挙げられることを示した。また、未登記農地が農地の集積・集約化、そして圃場整備事業の阻害要因となることが指摘された。これにより、相続未登記農地問題の解消に向けた関係機関の情報共有や連携の必要性、さらには政府による法・制度の整備が重要であることが示唆された。

今後は、相続未登記農地問題の解消に向けて、さらなるデータの収集と分析が必要である。特に、相続未登記農地の発生防止や円滑な相続手続きを促進するためのシステム化が求められる。また、農地の登記費用を軽減する政策や、広範な啓発活動を展開することが重要である。さらに、農地の筆別管理の精緻化を進め、地域ごとの実態に即した対応策を検討する必要がある。これらの取り組みにより、農地の効率的な利用と持続可能な農業経営を実現することが期待される。

日本の政府(せいふ)は2013年に新しい法律(ほうりつ)を作りました。この法律(ほうりつ)は、農地(作物を育てるための土地)を集めて、効率(こうりつ)よく使うためのものです。でも、農地の持ち主が亡(な)くなった時に名義(めいぎ)(持ち主の名前)を変(か)えないことが多いです。これが農地を集めるのを難(むずか)しくしています。そこで、2016年に農林水産省が調査(ちょうさ)をしました。そして、2018年にもう一つ新しい法律(ほうりつ)を出しました。この研究は、この問題を解決(かいけつ)するために役立つ情報(じょうほう)を集めることを目的(もくてき)としています。

調査(ちょうさ)によると、日本の農地(作物を育てるための土地)の約(やく)2割(わり)が相続(そうぞく)(亡(な)くなった人の財産(ざいさん)を引(ひ)き継(つ)ぐこと)されても名義(めいぎ)(持ち主の名前)が変(か)わっていません。特(とく)に西日本ではこの割合(わりあい)が高いです。岡山県では39.1％、高知県では36.4％、山口県では34.4％です。また、農地の規模(きぼ)が大きい地域(ちいき)ほどこの問題が多いです。ですが、整備(せいび)(使いやすいように整えること)が進んでいる地域(ちいき)ではこの問題が少ないです。

この研究では、農林水産省の調査(ちょうさ)データを使いました。農地(作物を育てるための土地)台帳(データをまとめた帳簿(ちょうぼ))と市町村の固定資産税(こていしさんぜい)台帳を照(て)らし合(あ)わせて、未(み)登記(土地の持ち主を記録(きろく)すること)農地の割合(わりあい)を調べました。また、都道府県(とどうふけん)ごとに耕地(こうち)面積(めんせき)と固定(こてい)台帳面積(めんせき)の差(さ)や整備(せいび)(使いやすいように整えること)の状況(じょうきょう)を比較(ひかく)しました。さらに、農業委員会(農業の仕事を助ける団体(だんたい))や土地改良(かいりょう)区(土地を良(よ)くするための区域(くいき))の関係者(かんけいしゃ)にインタビューをして、現場(げんば)の状況(じょうきょう)を調べました。

この研究は、日本の農地(作物を育てるための土地)の約(やく)2割(わり)が相続(そうぞく)(亡(な)くなった人の財産(ざいさん)を引(ひ)き継(つ)ぐこと)されても名義(めいぎ)(持ち主の名前)が変(か)わっていないことを示(しめ)しました。その原因(げんいん)は、登記(土地の持ち主を記録(きろく)すること)が所有権(しょゆうけん)の絶対(ぜったい)条件(じょうけん)ではないことや、登記費用(ひよう)が高いことです。また、未(み)登記農地が農地の集約(しゅうやく)化や整備(せいび)(使いやすいように整えること)の妨(さまた)げになることが分かりました。これにより、関係(かんけい)機関(きかん)の情報(じょうほう)共有(きょうゆう)や協力(きょうりょく)が必要(ひつよう)で、政府(せいふ)の法(ほう)や制度(せいど)の整備(せいび)が重要(じゅうよう)であることが示(しめ)されました。

今後は、相続(そうぞく)(亡(な)くなった人の財産(ざいさん)を引(ひ)き継(つ)ぐこと)未(み)登記(土地の持ち主を記録(きろく)すること)農地(作物を育てるための土地)問題を解決(かいけつ)するためにもっとデータを集めて分析(ぶんせき)することが必要(ひつよう)です。特(とく)に、相続(そうぞく)未(み)登記の発生を防(ふせ)ぐためのシステムや、相続(そうぞく)手続(てつづ)きを簡単(かんたん)にする方法(ほうほう)が求(もと)められます。また、登記費用(ひよう)を減(へ)らす政策(せいさく)や啓発(けいはつ)活動が重要(じゅうよう)です。さらに、農地の管理(かんり)を進めて、地域(ちいき)ごとの対策(たいさく)を考えることが必要(ひつよう)です。これにより、農地の効率的(こうりつてき)な利用(りよう)と農業経営(けいえい)が期待されます。