平家語りと聴かせどころ : 附,『平曲中音集』影印と翻字 (プロジェクト特集号 : 〈声〉とテクスト論)

背景と目的：

平曲は、鎌倉時代末期から室町時代にかけて「物語のことばを語り伝える」ことが中心とされていましたが、江戸時代には「語り伝える」よりも「歌う」傾向に変化したと一般的に理解されてきました。この論文は、その変遷について再検討する必要があるのではないかという問題提起を行います。特に「語り伝える」ことと「歌う」ことの違いが意味を持つのかについても触れています。

主要な発見：

平曲における「語り伝える」ことが物語全体の大きな流れを意識したものであり、「歌う」ことが個々の情景や感情に焦点を当てて強調するものである点が主要な発見です。具体例として、巻第十の「横笛」や巻第九の「宇治川」のエピソードがそれぞれの語り方によってどのように物語の骨格が変わるかについて考察されています。

方法論：

論文の方法論としては、歴史的文献や記録を基に、平家物語の中で「語り」と「歌」がどのように扱われていたかを具体的なエピソードを通して分析しています。特に、平曲譜本の初期段階の物語の順序と最終段階での解体についての比較を行い、時代ごとの変遷を検証しています。

結論と意義：

結論として、平曲は「語り伝える」ことが基本であり、歴史を語る場合の「わかりやすさ」が平家物語の本質を損なう可能性があることが指摘されています。また、「歌う」ことが主流になった江戸時代の傾向を踏まえつつも、現代においては「一句通し語り」を復活させる動きがあることが意義として強調されています。

今後の展望：

平曲の「語り」と「歌」の違いを理解することは、平家物語をより深く理解するために重要です。今後の展望としては、平曲の全音域や音楽的な特徴をより詳細に研究し、現代における平曲の復活や普及に向けた取り組みが期待されています。また、平曲の伝統を次世代に伝えるための教育や演奏会の機会を増やすことも重要です。

何のために？：

昔の日本では、平曲(昔の日本で物語を語る方法(ほうほう)のことです。)という物語を語る方法(ほうほう)がありました。最初(さいしょ)はお話をすることが大切でしたが、江戸時代(日本の歴史(れきし)の中で、1603年から1868年までの期間のことです。)になると歌(メロディーにのせて言葉を発することです。)うことが多くなりました。この論文(ろんぶん)では、なぜそうなったのかを考えます。

何が分かったの？：

平曲(昔の日本で物語を語る方法(ほうほう)のことです。)では、話すときはお話全体を大事にします。でも、歌(メロディーにのせて言葉を発することです。)うときは情景(じょうけい)(物事が行われる場所やその雰囲気(ふんいき)のことです。)や感情(かんじょう)(人が感じる喜(よろこ)び、悲しみなどの気持ちのことです。)に注目します。「横笛」や「宇治川」のお話でも、それぞれの語り(言葉でお話を伝(つた)えることです。)方でお話の感じが変(か)わります。

どうやったの？：

この論文(ろんぶん)では、昔の本や記録(きろく)を使って、「語り(言葉でお話を伝(つた)えることです。)」と「歌(メロディーにのせて言葉を発することです。)」がどう使われていたかを調べました。初(はじ)めの頃(ころ)と最後(さいご)の頃(ころ)の平家物語(日本の歴史(れきし)のお話のことです。)の順番(じゅんばん)(物事が進む順序(じゅんじょ)や順序(じゅんじょ)のことです。)を比(くら)べて、どう変(か)わったかを見ました。

研究のまとめ：

結論(けつろん)は、平曲(昔の日本で物語を語る方法(ほうほう)のことです。)はお話を分かりやすく語ることが大事だということです。でも、分かりやすくしすぎると、平家物語(日本の歴史(れきし)のお話のことです。)の本当の良(よ)さがなくなるかもしれません。江戸時代(日本の歴史(れきし)の中で、1603年から1868年までの期間のことです。)には歌(メロディーにのせて言葉を発することです。)が主流になりましたが、今ではまたお話を語る方法(ほうほう)が戻(もど)ってきています。

これからどうする？：

平曲(昔の日本で物語を語る方法(ほうほう)のことです。)の「語り(言葉でお話を伝(つた)えることです。)」と「歌(メロディーにのせて言葉を発することです。)」の違(ちが)いを知ることは、平家物語(日本の歴史(れきし)のお話のことです。)をもっとよく知るために大切です。これからは、平曲の音や音楽(音を使って感情(かんじょう)や物語を表現(ひょうげん)するもののことです。)の特徴(とくちょう)をもっと詳(くわ)しく調べたり、平曲を広めるための活動を増(ふ)やしたりすることが期待されています。次の世代に平曲を伝(つた)えるために、教育(知識(ちしき)や技術(ぎじゅつ)を教えることです。)や演奏会(えんそうかい)(音楽や舞台(ぶたい)などのパフォーマンスを観客(かんきゃく)に見せる場のことです。)の機会(きかい)を増(ふ)やすことも重要(じゅうよう)です。