論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
JNK pathwayはMMP-3抑制を通して関節リウマチ治療における新たな標的になる
- AI解説:
- 関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)の治療は、TNFα、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインを阻害する生物学的製剤に主に焦点が当てられてきた一方で、酸化ストレスが炎症に与える寄与は比較的あまり注目されてこなかった。Reactive oxygen species(ROS)は、関節破壊に関与するプロテアーゼであるmatrix metalloproteinase-3(MMP-3)の産生を促進し得ることから、ROSを減らす戦略はMMP-3を介した組織損傷も抑えうることが示唆される。N-acetylcysteine(NAC)は広く用いられる抗酸化物質だが、過去の研究では高濃度が細胞毒性を示し得ることが示されており、臨床的に妥当な用量設定に不確実性がある。さらに、NACはmitogen-activated kinase(MAPK)シグナル伝達、特にc-Jun N terminal kinase(JNK)経路に影響しうること、また初代ヒト滑膜細胞(synoviocytes)では個体差が大きいことから、著者らはシグナル機構を明確化するため、MH7Aヒトfibroblast-like synoviocyte細胞株を用いた。主目的は、低用量NACが抗酸化・抗炎症作用を通じてMMP-3を抑制するかを検証し、関連するMAPK/JNKシグナルの変化を同定し、この機序的知見に基づいて標的阻害剤を用いた新規RA治療を提案する動機づけとすることであった。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
JNK pathwayはMMP-3抑制を通して関節リウマチ治療における新たな標的になる
AI解説
- 背景と目的:
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関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)の治療は、TNFα、IL-1β、IL-6などの炎症性サイトカインを阻害する生物学的製剤に主に焦点が当てられてきた一方で、酸化ストレスが炎症に与える寄与は比較的あまり注目されてこなかった。Reactive oxygen species(ROS)は、関節破壊に関与するプロテアーゼであるmatrix metalloproteinase-3(MMP-3)の産生を促進し得ることから、ROSを減らす戦略はMMP-3を介した組織損傷も抑えうることが示唆される。N-acetylcysteine(NAC)は広く用いられる抗酸化物質だが、過去の研究では高濃度が細胞毒性を示し得ることが示されており、臨床的に妥当な用量設定に不確実性がある。さらに、NACはmitogen-activated kinase(MAPK)シグナル伝達、特にc-Jun N terminal kinase(JNK)経路に影響しうること、また初代ヒト滑膜細胞(synoviocytes)では個体差が大きいことから、著者らはシグナル機構を明確化するため、MH7Aヒトfibroblast-like synoviocyte細胞株を用いた。主目的は、低用量NACが抗酸化・抗炎症作用を通じてMMP-3を抑制するかを検証し、関連するMAPK/JNKシグナルの変化を同定し、この機序的知見に基づいて標的阻害剤を用いた新規RA治療を提案する動機づけとすることであった。
- 主要な発見:
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低用量NAC(1000 μM)はMH7A細胞で非細胞毒性として選定された(24 hで≤1000 μMでは生存率>90%、10 mMでは生存率約30%)。NACは抗酸化関連タンパク質を時間・用量依存的に増加させた。具体的には、Nrf2は24 h時点で1000 μM NACにより無添加より有意に高かった(1.33 vs. 1.08, P = .036)。また、serine 403-phosphorylated p62も24 hで有意に増加した(1.14 vs. 1.51, P = .037)。免疫蛍光では、24 hのNAC後にNrf2が細胞質から核へ移行することが示され、抗酸化応答の活性化と整合した。機能的には、NACはH2O2(100 μMを1 h)で誘導されるROS上昇を低下させた。ROS陽性細胞はH2O2で68.4%まで上昇したが、NACを3 h前処理すると38.7%に、24 h前処理すると47.2%に低下し(いずれも統計学的に有意)、ROS抑制が示された。NACは24 hでMMP-3タンパク質も低下させ(0.45 vs. 0.61, P = .03)、JNKのリン酸化も低下させた(特に1000 μM NACの3 hで46 kDバンドが顕著)。一方で、NACはライセート中のIL-6タンパク質を有意には低下させず、酸化ストレス下での上清中IL-6濃度も有意には低下させなかった(H2O2 ± NACで743 vs. 699 pg/ml)。
薬理学的JNK阻害剤SP600125は、JNKリン酸化を抑制し(3 hで用量依存的)、いくつかの条件でH2O2誘導ROSを低下させ(例:24 hで15および30 μMではそれぞれ41.6%と38.7%)、24 hで30 μMのとき上清中IL-6濃度を低下させ(417 vs. 743 pg/ml, P < .0001)、MH7A細胞のMMP-3も下方制御した(24 hで30 μMが有意:0.51 vs. 0.93, P = .0457)。重要な点として、SP600125はRA患者由来の初代RA-fibroblast-like synoviocytes(RA-FLS)においてもMMP-3を低下させ、30 μMで3 h(0.52 vs. 1.0, P = .0359)および24 h(0.36 vs. 0.8, P = .0042)の両方で有意であった。これらの結果は、ROSによって駆動されるJNK活性化がMMP-3産生を促進し、NAC(抗酸化作用およびJNKリン酸化低下を介して)と、直接的JNK阻害のいずれもがMMP-3を抑制する、という著者らの提案モデルを支持する。
- 方法論:
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本研究は、MH7A(rheumatoid fibroblast-like synoviocyte細胞株)での実験に、初代RA-FLSでの検証を組み合わせた。初代RA-FLSは、人工膝関節全置換術を受けたRA患者2名と手関節滑膜切除術を受けた患者1名の滑膜組織から分離した。RA-FLSはcollagenase消化(1 mg/mL, 3 h)、ろ過(70 μMストレーナー)、反復遠心(1500×g, 3 min)、その後に第5継代まで増殖させてから実験に用いた。MH7A細胞はRPMI 1640(10% FBS、1% antibiotic/antimycotic)で培養し、3.5 cmディッシュに3 × 10^5 cells/wellで播種し、80–90%コンフルエントで解析した。
用量選択と毒性は、NAC(10 μM–10 mM)を24 h曝露した後のXTT生存率アッセイで評価した。酸化ストレスはH2O2で誘導し、生存率を考慮して短時間曝露には100 μMを用いた(ROS測定では細胞内ROSが最も高かったためH2O2 1 hを使用)。タンパク質レベルの評価(MMP-3、IL-6、Nrf2、serine 403-phosphorylated p62、phosphorylated JNK)はWestern blotting(50 μg/lane、SDS-PAGE、ニトロセルロース転写、化学発光検出、ImageJによるデンシトメトリー)で定量した。Nrf2の細胞内局在は、NAC(1000 μM)前処理後にH2O2曝露を行い、共焦点顕微鏡を用いた免疫蛍光で評価した。ROS陽性/陰性細胞分画は、NACまたはSP600125(15または30 μM)で3または24 h前処理し、その後H2O2を1 h曝露したうえで、Muse™ Oxidative Stress kit(dihydroethidium)とMuse Cell Analyzerで測定した。分泌IL-6は培養上清を用い、LUMIPULSE® G1200のchemiluminescent enzyme immunoassayで定量した。実験は3回または4回反復し、解析には一元または二元ANOVAと多重比較(Turkey’s、Dunnett’s、またはBonferroni’s)を用い、有意水準はP < .05とした。
- 結論と意義:
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著者らは、MH7Aのsynoviocyte様細胞において低用量NAC(1000 μM)が、抗酸化作用(Nrf2およびphosphorylated p62の増加、H2O2誘導ROSの低下)を示し、JNKリン酸化の低下とともにMMP-3タンパク質発現を抑制する一方、検討した条件下ではIL-6産生を実質的には抑制しない、と結論づけた。これに対し、JNK阻害剤SP600125はMMP-3を抑制するだけでなく、ROSを低下させ、上清中IL-6濃度も低下させたことから、このモデルではより広範な抗酸化・抗炎症作用を示すことが示された。SP600125がMH7A細胞と患者由来RA-FLSの両方でMMP-3を下方制御したという観察は、RA滑膜細胞におけるMMP-3の妥当な上流制御因子としてJNKシグナルがあり得る、という著者らの主張を支持する。これに基づき、本論文はJNK経路を標的化することが、RAに対する新たな治療アプローチとなり得ると論じている。すなわち、MMP-3抑制を通じて関節破壊に対処でき、さらに直接的JNK阻害ではIL-6などの炎症アウトプットも軽減し得る、という立場である。加えて本研究は、NACの用量制約も強調している。NF-κBや複数サイトカインを抑制できるほど高濃度のNACは細胞毒性を示し得る一方、低濃度ではIL-6よりもROS/JNK/MMP-3に選択的に作用する傾向が示された。
- 今後の展望:
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本論文が示す将来的含意は、明確化したシグナル伝達機構に導かれた「specific inhibitors」を用いる「新規RA治療」の開発である。とりわけ著者らは、SP600125曝露後に滑膜細胞株モデルと初代RA-FLSの双方で一貫してMMP-3が抑制されたことを根拠に、JNK経路を治療標的として提案している。また、低用量NACは酸化ストレスとMMP-3関連の関節破壊に焦点を当てたアプローチとして関連し得る一方で、本系では低用量NACがIL-6を抑制しなかったこと、さらに高濃度NACが細胞毒性を示し得るため用量選択が臨床的に重要であることも認めている。より広い文脈では、ROS→JNK→AP-1→MMP-3軸の機序マッピングを、関節炎症と関節破壊の制御をより統合した治療戦略の基盤として位置づけ、JNK阻害を、RA様滑膜細胞における酸化ストレス応答と炎症性メディエーター産生の双方に影響し得る候補経路として提示している。
- 背景と目的:
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は、関節の中で炎症が続き、関節がこわれていく病気です。これまでの治療は、関節リウマチ ( 免疫の異常などが原因で関節に炎症が続き、痛みや腫れが起こり、進むと骨や軟骨がこわれる病気です) やTNFα ( 炎症を強める代表的なサイトカインで、関節リウマチ治療ではこれをねらった薬が広く使われます) などの炎症を起こす物質をおさえる薬が中心でした。一方で、体の中で生まれるIL 6 ( 炎症を進めるサイトカインの一つで、関節リウマチでは血液や関節で増えやすく、治療標的にもなります) も炎症や関節のこわれやすさに関わるのに、あまり注目されてきませんでした。酸化ストレス ( 体の中で酸化反応が強くなり、細胞が傷つきやすくなる状態のことです)
酸化ストレスの原因になる が増えると、関節をこわす酵素であるROS ( 反応性の高い酸素由来の物質で、増えすぎると細胞や組織を傷つけ、炎症や関節の破壊に関わります) が増えることがあります。そこで、ROSを減らせばMMP 3も減らして関節の傷みを軽くできるかもしれません。MMP 3 ( 組織を分解する酵素の一つで、関節の周りの成分をこわして関節破壊に関わります)
抗酸化物質の はROSを減らせますが、高い濃度だと細胞に害が出る可能性があり、ちょうどよい量がはっきりしません。さらにNACは、細胞の中の情報伝達のしくみであるNAC ( 抗酸化物質の一つで、ROSを直接減らすはたらきがあり、ただし量が多すぎると細胞に害が出ることがあります) のうちMAPK ( 細胞の中で情報を伝える仕組みの一群で、ストレスや炎症の刺激に反応して遺伝子の働きなどを変えます) という経路にも影響すると考えられます。そこで研究者は、ばらつきが少ないMH7AというJNK ( MAPKの一種で、ストレスや炎症で活性化しやすく、下流の遺伝子の働きを変えて炎症や組織破壊に関わります) のモデルを使い、低い濃度のNACがROSやMMP 3をどのくらいおさえるのか、そしてJNKの変化が関係しているのかを調べました。最終的には、JNKをねらった新しい治療につなげることを目指しました。滑膜細胞 ( 関節の内側をおおう滑膜にある細胞で、炎症が起きるとサイトカインやMMPなどを作りやすくなります)
- 主要な発見:
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では、MH7A細胞 ( 関節リウマチの滑膜細胞に似た性質を持つ細胞株で、実験で安定して使えるモデルです) は1000 μMまでなら細胞への害が少なく、10 mMでは大きく細胞が弱りました。NAC ( 抗酸化物質の一つで、ROSを直接減らすはたらきがあり、ただし量が多すぎると細胞に害が出ることがあります)
1000 μMのNACは、抗酸化に関わる やNrf2 ( 抗酸化に関わる遺伝子の働きをまとめて高める役割を持つ因子で、核に移動すると抗酸化応答が進みます) の変化を起こし、Nrf2が細胞の核へ移動することも確認されました。これは、細胞が抗酸化のはたらきを強めたサインです。p62 ( 細胞内の調節に関わるたんぱく質で、リン酸化などの変化によって抗酸化応答の仕組みに関わります)
また、 で過酸化水素 ( 酸化ストレスを人工的に起こすために実験で使われる物質で、細胞内のROSを増やします) を増やした状況でも、NACを前もって加えておくとROSがはっきり減りました。さらにNACは、24時間後にROS ( 反応性の高い酸素由来の物質で、増えすぎると細胞や組織を傷つけ、炎症や関節の破壊に関わります) の量を下げ、MMP 3 ( 組織を分解する酵素の一つで、関節の周りの成分をこわして関節破壊に関わります) の活性化の指標であるJNK ( MAPKの一種で、ストレスや炎症で活性化しやすく、下流の遺伝子の働きを変えて炎症や組織破壊に関わります) も下げました。リン酸化 ( たんぱく質にリン酸が付くことで性質が変わり、スイッチが入ったように働きが強まることが多い変化です)
ただしNACは、 については細胞内の量も、培養液中の量も、はっきりとは下げませんでした。IL 6 ( 炎症を進めるサイトカインの一つで、関節リウマチでは血液や関節で増えやすく、治療標的にもなります)
一方、JNKを直接止める薬 は、JNKのリン酸化を下げ、条件によってROSも減らし、培養液中のIL 6を大きく下げました。そしてMH7A細胞でも、患者さん由来のSP600125 ( JNKの働きをおさえる薬剤で、JNK経路が関わる反応を止められるかを調べるために使われます) でも、MMP 3を下げました。RA FLS ( 関節リウマチ患者の滑膜から得られる線維芽細胞様滑膜細胞で、炎症や関節破壊に関わる物質を作ります)
これらの結果から、ROSが増えるとJNKが活性化し、その結果MMP 3が増えやすくなるという流れが考えられ、NAC(抗酸化+JNKの働きを弱める)でもJNK阻害でもMMP 3を下げられる可能性が示されました。
- 方法論:
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研究では、
のモデルである滑膜細胞 ( 関節の内側をおおう滑膜にある細胞で、炎症が起きるとサイトカインやMMPなどを作りやすくなります) を主に使い、患者さんの滑膜組織から取り出したMH7A細胞 ( 関節リウマチの滑膜細胞に似た性質を持つ細胞株で、実験で安定して使えるモデルです) でも確かめました。RA FLS ( 関節リウマチ患者の滑膜から得られる線維芽細胞様滑膜細胞で、炎症や関節破壊に関わる物質を作ります)
の安全な濃度は、細胞の生存率を調べる検査で決めました。NAC ( 抗酸化物質の一つで、ROSを直接減らすはたらきがあり、ただし量が多すぎると細胞に害が出ることがあります) は酸化ストレス ( 体の中で酸化反応が強くなり、細胞が傷つきやすくなる状態のことです) で起こし、過酸化水素 ( 酸化ストレスを人工的に起こすために実験で使われる物質で、細胞内のROSを増やします) の測定では短時間の刺激条件を使いました。ROS ( 反応性の高い酸素由来の物質で、増えすぎると細胞や組織を傷つけ、炎症や関節の破壊に関わります)
、MMP 3 ( 組織を分解する酵素の一つで、関節の周りの成分をこわして関節破壊に関わります) 、IL 6 ( 炎症を進めるサイトカインの一つで、関節リウマチでは血液や関節で増えやすく、治療標的にもなります) 、Nrf2 ( 抗酸化に関わる遺伝子の働きをまとめて高める役割を持つ因子で、核に移動すると抗酸化応答が進みます) 、p62 ( 細胞内の調節に関わるたんぱく質で、リン酸化などの変化によって抗酸化応答の仕組みに関わります) のJNK ( MAPKの一種で、ストレスや炎症で活性化しやすく、下流の遺伝子の働きを変えて炎症や組織破壊に関わります) は、タンパク質を検出する方法で量を比べました。Nrf2が核へ移るかどうかは、蛍光で観察しました。ROSは専用の測定キットと測定装置で、ROSが多い細胞の割合として評価しました。IL 6は培養液中の濃度を測定しました。実験は複数回くり返し、統計的に意味のある差かどうかも確認しました。リン酸化 ( たんぱく質にリン酸が付くことで性質が変わり、スイッチが入ったように働きが強まることが多い変化です)
- 結論と意義:
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低い濃度の
は、NAC ( 抗酸化物質の一つで、ROSを直接減らすはたらきがあり、ただし量が多すぎると細胞に害が出ることがあります) でMH7A細胞 ( 関節リウマチの滑膜細胞に似た性質を持つ細胞株で、実験で安定して使えるモデルです) を減らし、ROS ( 反応性の高い酸素由来の物質で、増えすぎると細胞や組織を傷つけ、炎症や関節の破壊に関わります) の活性化を弱め、JNK ( MAPKの一種で、ストレスや炎症で活性化しやすく、下流の遺伝子の働きを変えて炎症や組織破壊に関わります) を下げました。しかし、この条件ではMMP 3 ( 組織を分解する酵素の一つで、関節の周りの成分をこわして関節破壊に関わります) はほとんど下がりませんでした。IL 6 ( 炎症を進めるサイトカインの一つで、関節リウマチでは血液や関節で増えやすく、治療標的にもなります)
それに対してJNK阻害剤 は、MMP 3だけでなくROSやIL 6も下げることができ、より広い抗酸化作用と抗炎症作用が示されました。さらに、患者さん由来のSP600125 ( JNKの働きをおさえる薬剤で、JNK経路が関わる反応を止められるかを調べるために使われます) でもMMP 3が下がったことから、JNK経路がRA FLS ( 関節リウマチ患者の滑膜から得られる線維芽細胞様滑膜細胞で、炎症や関節破壊に関わる物質を作ります) の関節破壊に関わる重要な調節役である可能性が高まりました。関節リウマチ ( 免疫の異常などが原因で関節に炎症が続き、痛みや腫れが起こり、進むと骨や軟骨がこわれる病気です)
また、NACは高濃度だと細胞に害が出るため、量の設定がとても重要で、低濃度ではIL 6よりもROS JNK MMP 3の流れに選択的に効きやすいことが示されました。
- 今後の展望:
-
この研究は、
からROS ( 反応性の高い酸素由来の物質で、増えすぎると細胞や組織を傷つけ、炎症や関節の破壊に関わります) を通ってJNK ( MAPKの一種で、ストレスや炎症で活性化しやすく、下流の遺伝子の働きを変えて炎症や組織破壊に関わります) が増える流れが、関節のこわれやすさに関わることを示しました。そのため、JNK経路をねらった薬を開発することが、新しいMMP 3 ( 組織を分解する酵素の一つで、関節の周りの成分をこわして関節破壊に関わります) 治療の方向性になり得ます。関節リウマチ ( 免疫の異常などが原因で関節に炎症が続き、痛みや腫れが起こり、進むと骨や軟骨がこわれる病気です)
低用量 は、NAC ( 抗酸化物質の一つで、ROSを直接減らすはたらきがあり、ただし量が多すぎると細胞に害が出ることがあります) とMMP 3に関係する関節破壊をねらう方法として可能性がありますが、酸化ストレス ( 体の中で酸化反応が強くなり、細胞が傷つきやすくなる状態のことです) を下げにくいこと、そして高濃度では危険になり得ることも課題です。今後は、JNKをより安全に、必要な場所で適切におさえる治療や、炎症と関節破壊の両方をまとめて抑える戦略が検討されます。IL 6 ( 炎症を進めるサイトカインの一つで、関節リウマチでは血液や関節で増えやすく、治療標的にもなります)
- 何のために?:
-
は、関節 リウマチ( 関節 に炎症 がおきてはれたり痛 んだりする病気の名前です:はれが続 くと関節 がこわれることがあるため病気の仕組みを知ることが大事です) 関節 がはれる病気です。
はれが続 くと、関節 がこわれます。
今までの薬は、はれをおさえました。
でも、体のさびも大事だと考えました。
体のさびは、 です。酸化 ストレス( 体の中でさびのようなダメージが増 えている状態 です:細胞 や関節 をいためる原因 になるので減 らす方法 が研究されます)
さびのもとを、 といいます。ROS ( 活性酸素のことで体の中でできる反応 しやすい物質 です:増 えすぎると細胞 をこわし病気を悪化させることがあるため重要 です)
ROSが増 えると、 がMMP3 ( 関節 のまわりの組織 をこわしやすくするたんぱく質 の名前です:増 えると関節 がこわれやすくなるので減 らせるかがポイントです) 増 えます。
MMP3は、関節 をこわしやすくします。
だから、ROSをへらしたいです。
は、ROSをへらす物です。NAC ( 体の中のROSを減 らす働 きがある薬や成分 の名前です:少なすぎても効 かず多すぎると細胞 に悪いことがあるため量 が重要 です)
でも、多すぎると に悪いです。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品です:病気や薬の影響 はまず細胞 で起きるので実験 でよく使います)
ちょうどよい量 が分かっていません。
NACは にもJNK ( 細胞 の中で働 く合図の道筋 の名前です:これが動くと炎症 や細胞 の反応 が変 わるので止める薬が研究されます) 関係 しそうです。
JNKは、細胞 の中の合図の道です。
研究では というMH7A ( 研究で使う人の細胞 の種類 の名前です:同じ条件 でくり返し調べられるので薬の効果 を確 かめやすいです) 細胞 を使います。
少ないNACで何が起きるか調べます。
ROSやMMP3がへるか見ます。
JNKの変化 も関係 するか調べます。
- 何が分かったの?:
-
では、MH7A ( 研究で使う人の細胞 の種類 の名前です:同じ条件 でくり返し調べられるので薬の効果 を確 かめやすいです) はNAC ( 体の中のROSを減 らす働 きがある薬や成分 の名前です:少なすぎても効 かず多すぎると細胞 に悪いことがあるため量 が重要 です) 少量 なら安全でした。
1000 まで、μM ( 薬の濃 さを表す単位 です:どれくらいの量 が安全で効 くかを比 べるために必要 です) は元気でした。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品です:病気や薬の影響 はまず細胞 で起きるので実験 でよく使います)
でも10 では、mM ( μMより大きい濃 さを表す単位 です:濃 すぎると細胞 に害 が出るかを判断 するのに使います) 細胞 が弱りました。
1000μMで、細胞 は守る力が上がりました。
それは というNrf2 ( 細胞 を守るはたらきを強くするスイッチのような仕組みの名前です:これが働 くと体を守る力が上がるため重要 です) 働 きで分かりました。
Nrf2が、 へ行くのも見えました。核 ( 細胞 の中心にある司令 室のような部分です:大事な指示 が出る場所なのでNrf2がここへ行くことが意味を持ちます)
核 は、細胞 の真ん中の司令 室です。
わざと をROS ( 活性酸素のことで体の中でできる反応 しやすい物質 です:増 えすぎると細胞 をこわし病気を悪化させることがあるため重要 です) 増 やしても、NACでへりました。
NACを先に入れると、ROSが下がりました。
そして24時間後、 も下がりました。MMP3 ( 関節 のまわりの組織 をこわしやすくするたんぱく質 の名前です:増 えると関節 がこわれやすくなるので減 らせるかがポイントです)
のはたらきも、弱くなりました。JNK ( 細胞 の中で働 く合図の道筋 の名前です:これが動くと炎症 や細胞 の反応 が変 わるので止める薬が研究されます)
ただし は、あまり下がりませんでした。IL6 ( 炎症 やはれに関係 する合図の物質 の名前です:はれをどれだけ下げられるかを見る目安になります)
IL6は、はれに関係 する合図です。
別 の薬 は、JNKを止めます。SP600125 ( JNKの働 きを止める薬の名前です:JNKが本当に原因 に関係 するか確 かめるために使われます)
この薬は、IL6を大きく下げました。
MMP3も、しっかり下げました。
ROSも、条件 で下がりました。
つまり、ROS→JNK→MMP3の流れがありそうです。
- どうやったの?:
-
主に
というMH7A ( 研究で使う人の細胞 の種類 の名前です:同じ条件 でくり返し調べられるので薬の効果 を確 かめやすいです) で調べました。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品です:病気や薬の影響 はまず細胞 で起きるので実験 でよく使います)
患者 さんの細胞 でも、たしかめました。
まず の安全なNAC ( 体の中のROSを減 らす働 きがある薬や成分 の名前です:少なすぎても効 かず多すぎると細胞 に悪いことがあるため量 が重要 です) 量 を調べました。
細胞 が生きているかを見ました。
次に、 で過酸化 水素 ( ROSを増 やすために実験 で使う物質 です:わざと酸化 ストレスを起こして薬の効果 を調べます) をROS ( 活性酸素のことで体の中でできる反応 しやすい物質 です:増 えすぎると細胞 をこわし病気を悪化させることがあるため重要 です) 増 やしました。
ROSは、専用 の道具で数えました。
やMMP3 ( 関節 のまわりの組織 をこわしやすくするたんぱく質 の名前です:増 えると関節 がこわれやすくなるので減 らせるかがポイントです) は、IL6 ( 炎症 やはれに関係 する合図の物質 の名前です:はれをどれだけ下げられるかを見る目安になります) で調べました。たんぱく 質 ( 体を作ったり働 かせたりする材料 であり道具です:MMP3やIL6などはたんぱく質 なので量 を測 って変化 を知ります)
やNrf2 ( 細胞 を守るはたらきを強くするスイッチのような仕組みの名前です:これが働 くと体を守る力が上がるため重要 です) も、同じように調べました。p62 ( 細胞 の中の掃除 や守りに関 わるたんぱく質 の名前です:Nrf2の働 きと関係 することがあり細胞 が守られているかの手がかりになります)
は、JNK ( 細胞 の中で働 く合図の道筋 の名前です:これが動くと炎症 や細胞 の反応 が変 わるので止める薬が研究されます) で動きを見ました。リン 酸化 ( たんぱく質 に小さな目印 がついて働 き方が変 わる仕組みです:JNKが動いているかを調べる重要 な方法 です)
Nrf2が へ行くか、光で見ました。核 ( 細胞 の中心にある司令 室のような部分です:大事な指示 が出る場所なのでNrf2がここへ行くことが意味を持ちます)
実験 は何回もくり返しました。
結果 がたまたまでないかも調べました。
- 研究のまとめ:
-
少ない
は、NAC ( 体の中のROSを減 らす働 きがある薬や成分 の名前です:少なすぎても効 かず多すぎると細胞 に悪いことがあるため量 が重要 です) をへらしました。ROS ( 活性酸素のことで体の中でできる反応 しやすい物質 です:増 えすぎると細胞 をこわし病気を悪化させることがあるため重要 です)
そして の動きを弱くしました。JNK ( 細胞 の中で働 く合図の道筋 の名前です:これが動くと炎症 や細胞 の反応 が変 わるので止める薬が研究されます)
その結果 、 が下がりました。MMP3 ( 関節 のまわりの組織 をこわしやすくするたんぱく質 の名前です:増 えると関節 がこわれやすくなるので減 らせるかがポイントです)
でも は、ほとんど下がりませんでした。IL6 ( 炎症 やはれに関係 する合図の物質 の名前です:はれをどれだけ下げられるかを見る目安になります)
JNKを止める薬は、IL6も下げました。
ROSやMMP3も下げられました。
患者 さんの でも、MMP3が下がりました。細胞 ( 体をつくるとても小さな部品です:病気や薬の影響 はまず細胞 で起きるので実験 でよく使います)
だからJNKは、とても大事だと分かりました。
またNACは、多いと危 ないです。
なので、量 を決めるのが大切です。
- これからどうする?:
-
この研究で、
→ROS ( 活性酸素のことで体の中でできる反応 しやすい物質 です:増 えすぎると細胞 をこわし病気を悪化させることがあるため重要 です) →JNK ( 細胞 の中で働 く合図の道筋 の名前です:これが動くと炎症 や細胞 の反応 が変 わるので止める薬が研究されます) が見えました。MMP3 ( 関節 のまわりの組織 をこわしやすくするたんぱく質 の名前です:増 えると関節 がこわれやすくなるので減 らせるかがポイントです)
この流れが、関節 のこわれに関係 しそうです。
だから、JNKをねらう薬が考えられます。
少ない も、役に立つかもしれません。NAC ( 体の中のROSを減 らす働 きがある薬や成分 の名前です:少なすぎても効 かず多すぎると細胞 に悪いことがあるため量 が重要 です)
でも は下げにくいのがIL6 ( 炎症 やはれに関係 する合図の物質 の名前です:はれをどれだけ下げられるかを見る目安になります) 課題 です。
多すぎるNACは危 ないのも課題 です。
これからは、安全にJNKをおさえたいです。
はれと関節 のこわれを、まとめて止めたいです。
- 著者名:
- Kanai Tomotake
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/00051954
