論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Legal Settlements of Unfairness in New Share Issuance and Allocation Rights in Japan
- AI解説:
- 本論文は、新株発行および新株予約権の割当てをめぐる紛争から生じる、日本の株主救済を検討する。調査対象の事案では、新株発行それ自体に異議を唱える株主(差止め/仮処分、無効、または不存在確認を求める)もいれば、発行は受け入れつつ割当てを受ける権利や補償を求める株主もいた。著者は、日本の裁判所が複数の規範的根拠に依拠して結論を正当化してきたと論じる。すなわち、法定の規定(まず会社法(平成17年法律第86号))、旧商法に由来する従前の理論構成、そして経済産業省(METI)および法務省(MOJ)が発展させた非制定法上の原理(とりわけ企業価値と株主共同の利益)である。中心的な懸念は、裁判所が経営判断原則や、企業価値志向の「主たる/主要な目的」論理に依拠することで、会社法上の株主の法的権利が軽視され得る点にある。本論文の目的は、新株発行および新株予約権割当てにおける「不公正」を裁判所がどのように判断しているかを批判的に評価し、法定の株主権の優先を主張するとともに、無効と不存在の境界や、(不確実な)損害賠償およびリフレクティブ・ロス(reflective loss)の取扱いといった理論上の問題も分析することである。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Legal Settlements of Unfairness in New Share Issuance and Allocation Rights in Japan
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、新株発行および新株予約権の割当てをめぐる紛争から生じる、日本の株主救済を検討する。調査対象の事案では、新株発行それ自体に異議を唱える株主(差止め/仮処分、無効、または不存在確認を求める)もいれば、発行は受け入れつつ割当てを受ける権利や補償を求める株主もいた。著者は、日本の裁判所が複数の規範的根拠に依拠して結論を正当化してきたと論じる。すなわち、法定の規定(まず会社法(平成17年法律第86号))、旧商法に由来する従前の理論構成、そして経済産業省(METI)および法務省(MOJ)が発展させた非制定法上の原理(とりわけ企業価値と株主共同の利益)である。中心的な懸念は、裁判所が経営判断原則や、企業価値志向の「主たる/主要な目的」論理に依拠することで、会社法上の株主の法的権利が軽視され得る点にある。本論文の目的は、新株発行および新株予約権割当てにおける「不公正」を裁判所がどのように判断しているかを批判的に評価し、法定の株主権の優先を主張するとともに、無効と不存在の境界や、(不確実な)損害賠償およびリフレクティブ・ロス(reflective loss)の取扱いといった理論上の問題も分析することである。
- 主要な発見:
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著者は、日本の裁判所の判断枠組みが事案ごとに分岐するのは、裁判所が暗黙に次の3つの正当化基盤のいずれかを選択しているためだと指摘する。(1) 会社法に明示された法的権利、(2) METI/MOJの原理に体現された経済的権利および企業価値理論、(3) 不存在といった法理の形成に影響を残す旧商法由来のアプローチである。本論文の全体的立場は、企業価値レトリックではなく会社法に結論を錨づける場合に、裁判所の判断は最も「合理的」になるという点である。検討した差止め局面では、少数株主持分の希薄化や経営支配の希薄化が会社法210条の「著しく不公正」に当たり得る(Open Loop Inc. v. Quanz Co. Ltd.)一方、別の局面では、裁判所が経営支配に関する懸念を不公正とは扱わず、企業価値に基づく根拠づけを受け入れた(Showa Shell Ltd. v. Idemitsu Kōsan Ltd)。買収防衛として用いられる新株予約権については、株主の「資格(qualifications)」に基づく差別的取扱いが株主平等と両立し得るとして是認された(Bulldog Sauce)一方で、株主関与の排除(適切な株主総会決議の欠如)や極端な希薄化は不公正とされた(Livedoor v. Nippon Broadcasting System Inc.)。無効と不存在に関しては、無効の法定期間経過後に提起される訴えをめぐる論争を取り上げる。すなわち、会社全体の保護として構成されること、また不存在は無効と同一の除斥期間に服しないことを理由に、不存在確認請求(そして場合によっては無効)を許容すべきだとする裁判例・見解がある点を示す。金銭的救済について著者は、発行後の株価下落に関する損害賠償は、価格決定が経営判断として防御される場合に裁判所が認めることは稀だと強調する。その代わり、少なくとも一部の状況(例:Grani Inc.の訴訟)では、裁判所は正統的な損害賠償ではなく衡平的救済(equitable relief)を認めているが、リフレクティブ・ロスの問題は解決されないままである。
- 方法論:
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本研究は、法理論および判例に基づく法学的分析である。まず、新株発行の差止め/仮処分に関する2件(Open Loop Inc. v. Quanz Co. Ltd.(東京地裁)および Showa Shell Ltd. v. Idemitsu Kōsan Ltd(東京地裁、2017年7月18日、控訴があったことを付記))を選び、詳細に分析する。次に、発行後の争いについて、無効および不存在確認に焦点を当て、最高裁および名古屋高裁関連の紛争を含む判例・注釈を検討する。そこでは、手続的瑕疵(例:公告欠缺、取締役会/株主総会決議の瑕疵)が決定的要素となっていた。新株予約権の割当てについては、買収防衛をめぐる著名な2つの紛争、すなわち Bulldog Sauce訴訟(東京地裁・東京高裁・最高裁の各段階)と Livedoor Inc. v. Nippon Broadcasting System Inc.(東京地裁・東京高裁)を分析し、「株式の資格による差別」と「株主関与の排除」を不公正の根拠として対比する。分析は、日本の実務家による注釈および学術的批判(強行規定と任意規定、主目的ルール、会社法109条の株主平等、経営判断の役割に関する議論を含む)を、構造化して参照することで補強される。さらに、救済のパターンを検討し、原状回復的救済(差止め/無効/不存在)と損害賠償・衡平的救済を対比させることで、株主救済が認められにくい障壁を特定する。
- 結論と意義:
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本論文は、日本の裁判所が「不公正」を一定の反復的パターンで認定してきたと結論づける。とりわけ、持株比率の希薄化(それに伴う議決権影響力の低下)と、意思決定における株主関与の排除が重視される。他方で、買収防衛の文脈における株主の資格に基づく差別的取扱いや、(一部の資金調達/合併の文脈における)多数派グループによる経営支配は、一般に不公正とは扱われない。救済が認められる場合、その内容は手続的段階と時期に応じて概ね対応する。すなわち、差止め/仮処分は事前に可能であり、無効は発行・払込後に用いられ、不存在は重大な手続的瑕疵に対して援用され、時に無効を阻む除斥期間を迂回する経路として機能する。重要な規範的主張として、裁判所は主として会社法の法定枠組みに依拠し、METI/MOJ原理や企業価値に基づく論理は二次的に扱うべきであり、企業価値論(および経営判断原則)によって法定の株主権が置換されることを許すべきではない、とする。著者はまた、救済のギャップを強調する。裁判所は、より広範な是正命令(例:新株の買戻し命令)を組み立てることはなく、価格決定に関する損失の損害賠償は、価格決定が経営判断として保護されがちなため獲得が難しい。本論文の意義は、裁判所が「不公正」をどのように具体化しているかを明確にし、差止め・無効・不存在・金銭的救済という法理カテゴリー間の不整合を露呈させ、株主保護を安定させるために、より明確な法定の優先順位づけが必要であることを示す点にある。
- 今後の展望:
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本論文は、具体的な結末の予測ではなく、将来に向けた改革と明確化を提案する。主要な提案は、会社法の規定を明確化し、発行および割当てをめぐる紛争解決において、裁判所が法定の株主権を最優先として扱うようにすることである。これには、210条型の保護がいつ経営行為に対する強行的制約として働くべきか、また企業価値レトリックや経営判断による遮断(insulation)に過度に依存せずに不公正をどう評価すべきかを、より明確にすることが含まれる。著者はまた、さらなる発展を要する未解決の理論問題として、無効と不存在の概念上・手続上の境界(除斥期間をどのように適用すべきかを含む)と、損害賠償請求をめぐる不確実性(とりわけ、発行実務に結びついた補償請求においてリフレクティブ・ロスを算入すべきか)を挙げる。加えて、本論文は、有利発行、新株予約権の割当てが少数株主を無視する場合、法的権利または経済的利益の侵害がある場合に、衡平的救済(equitable relief)をより広く利用できるようにすべきだと述べる。最後に、買収防衛やライツプランが採用される場合には、事前・事後の救済という両方の観点を裁判所が取り入れ、経済的影響の立証が困難であっても、少数株主の法的権利(議決権など)への影響を明示的に考慮すべきだと提案する。
- 背景と目的:
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この論文は、日本で会社が新しく株を発行したり、
を割り当てたりしたときに起こるトラブルについて、株主がどんな方法で守られるのかを調べています。新株予約権 ( 決められた条件で将来株を買える権利です。資金調達だけでなく、買収防衛の道具として使われることもあり、公平さが問題になります。)
実際の裁判では、 そのものを止めたい株主もいれば、発行は仕方ないとしても「自分にも割り当てを受ける権利がある」「損した分を補償してほしい」と求める株主もいました。新株発行 ( 会社が新しく株を作って出すことです。資金を集めるために行われますが、出し方によっては既存の株主の持ち分や影響力が弱くなるので、争いの原因になります。)
著者が問題にしているのは、裁判所が判断するときに、会社法に書かれた株主の権利よりも、「 を守るため」や「経営判断だから」という考え方を重視してしまい、株主の法律上の権利が軽く扱われる可能性がある点です。企業価値 ( 会社の将来の稼ぐ力や事業の強さなど、会社全体の価値を指す考え方です。裁判では株主権よりこれを重視しすぎると、権利保護が弱まる危険があります。)
そこでこの論文は、裁判所が新株発行や新株予約権の割当ての「不公正」をどう判断しているかを批判的に整理し、会社法上の株主権を優先すべきだと主張します。あわせて、発行が「 」なのか「無効 ( いったん行われた新株発行などを、法律上なかったことにする考え方です。ただし、争える期間が決まっている場合があり、使える場面が限られます。) 」なのかの境目や、不存在 ( そもそも法律上「成立していない」と扱う考え方です。重大な手続ミスがある場合に問題になり、無効より後からでも争えるかが論点になります。) が認められにくい理由、損害賠償 ( 違法な行為で損をした人に、お金で埋め合わせをする救済です。ただし新株発行では、価格決定が経営判断とされると認められにくい傾向があります。) の扱いなどの理論問題も検討します。リフレクティブロス ( 会社が損をした結果として株価が下がり、株主が間接的に被る損失のことです。株主が個別に損害賠償を請求できるのかが不明確で、重要な論点です。)
- 主要な発見:
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著者は、日本の裁判所の判断が事件によって変わりやすい理由は、裁判所が実質的に次の3つの考え方のどれを重視するかを選んでいるからだと述べます。
1つ目は会社法に明示された株主の法的権利、2つ目は や株主全体の利益といった企業価値 ( 会社の将来の稼ぐ力や事業の強さなど、会社全体の価値を指す考え方です。裁判では株主権よりこれを重視しすぎると、権利保護が弱まる危険があります。) やMETI ( 経済産業省のことです。企業価値や買収防衛に関する指針づくりに関わり、裁判所の考え方にも影響を与えています。) の考え方、3つ目はMOJ ( 法務省のことです。会社法などの制度設計に関わり、METIとともに企業価値や株主共同の利益を重視する原理を示してきました。) 時代の考え方です。著者の立場は、企業価値の説明よりも会社法の条文に根拠を置いたほうが、裁判所の結論はより筋が通る、というものです。旧商法 ( 会社法ができる前に会社のルールを定めていた法律です。現在の判断にも、旧商法時代の考え方が残ることがあります。)
具体的には、 の場面では、少数株主の持株比率や経営への影響力が薄まることが、会社法210条の「差止め ( 問題のある新株発行などを、実行前に裁判所に止めてもらう手続です。事前に止められるかが被害の大きさを左右します。) 」になり得るとされた例があります。一方で、別の事件では、経営支配への影響を不公正とまでは言わず、企業価値を理由に発行を認めた例もありました。著しく不公正 ( 会社法210条で使われる基準で、新株発行のやり方が特にひどく不公平な場合を指します。少数株主の持株比率の大幅な希薄化などが焦点になります。)
としての買収防衛 ( 外部の会社や投資家に買収されそうなときに、それを防ぐための仕組みです。少数株主の権利を弱める形になりやすく、公正さが問われます。) では、株主の「資格」を理由にした差別的な扱いが許された例がある一方、株主が意思決定に関われない形で進められたり、薄まり方が極端だったりする場合は不公正と判断された例もあります。新株予約権 ( 決められた条件で将来株を買える権利です。資金調達だけでなく、買収防衛の道具として使われることもあり、公平さが問題になります。)
また、発行後の争いでは「 」の訴えには期間制限があるのに対し、「無効 ( いったん行われた新株発行などを、法律上なかったことにする考え方です。ただし、争える期間が決まっている場合があり、使える場面が限られます。) 」は期間制限がないと考えられ、無効の期限を過ぎた後でも不存在として争えるかが大きな論点になっていました。不存在 ( そもそも法律上「成立していない」と扱う考え方です。重大な手続ミスがある場合に問題になり、無効より後からでも争えるかが論点になります。)
お金による救済については、発行価格の決め方が「経営判断」とされると が認められにくい傾向があり、その代わりに一部の事件では、損害賠償ではない形の救済(損害賠償 ( 違法な行為で損をした人に、お金で埋め合わせをする救済です。ただし新株発行では、価格決定が経営判断とされると認められにくい傾向があります。) )が認められたとされています。ただし、その場合でも衡平的救済 ( 条文どおりの損害賠償ではなく、公平さの観点から裁判所が認める調整的な救済です。損害の証明が難しい場面で使われることがあります。) の問題ははっきり整理されていません。リフレクティブロス ( 会社が損をした結果として株価が下がり、株主が間接的に被る損失のことです。株主が個別に損害賠償を請求できるのかが不明確で、重要な論点です。)
- 方法論:
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この研究は、法律の考え方と裁判例を材料にして分析する法学研究です。
まず、 の新株発行 ( 会社が新しく株を作って出すことです。資金を集めるために行われますが、出し方によっては既存の株主の持ち分や影響力が弱くなるので、争いの原因になります。) や差止め ( 問題のある新株発行などを、実行前に裁判所に止めてもらう手続です。事前に止められるかが被害の大きさを左右します。) に関する2つの事件を詳しく分析し、裁判所がどんな理由で不公正かどうかを判断したかを比べます。次に、発行後の争いとして、仮処分 ( 本格的な裁判の結論が出る前に、急いで一時的な判断を出してもらう手続です。新株発行のように早く進む出来事に対応するため重要です。) や無効 ( いったん行われた新株発行などを、法律上なかったことにする考え方です。ただし、争える期間が決まっている場合があり、使える場面が限られます。) 確認に関する最高裁や高裁の判断を調べ、特に手続のミスがどう扱われたかを確認します。不存在 ( そもそも法律上「成立していない」と扱う考え方です。重大な手続ミスがある場合に問題になり、無効より後からでも争えるかが論点になります。)
さらに、 に使われる買収防衛 ( 外部の会社や投資家に買収されそうなときに、それを防ぐための仕組みです。少数株主の権利を弱める形になりやすく、公正さが問われます。) の割当てについて、有名な2つの事件を取り上げ、「新株予約権 ( 決められた条件で将来株を買える権利です。資金調達だけでなく、買収防衛の道具として使われることもあり、公平さが問題になります。) による差別」と「株主の意思決定への参加が排除されたこと」が、どう不公正判断に関わったかを対比します。最後に、差止め・無効・不存在といった元に戻す救済と、株主の資格 ( ある種類の株主かどうか、買収者かどうかなど、株主の属性を理由に扱いを変える考え方です。差別に当たるか、それでも正当化できるかが問題になります。) や損害賠償 ( 違法な行為で損をした人に、お金で埋め合わせをする救済です。ただし新株発行では、価格決定が経営判断とされると認められにくい傾向があります。) を比べ、株主が救済を得にくいポイントを整理します。衡平的救済 ( 条文どおりの損害賠償ではなく、公平さの観点から裁判所が認める調整的な救済です。損害の証明が難しい場面で使われることがあります。)
- 結論と意義:
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著者は、日本の裁判所が不公正を認めるときには、一定のパターンがあると結論づけます。特に重視されやすいのは、少数株主の持株比率が薄まって議決権の影響力が下がることと、株主が意思決定に関われないことです。
一方で、 の場面での「買収防衛 ( 外部の会社や投資家に買収されそうなときに、それを防ぐための仕組みです。少数株主の権利を弱める形になりやすく、公正さが問われます。) 」を理由にした差別や、多数派が経営を握ることは、一般に不公正とされにくい傾向があるとされます。株主の資格 ( ある種類の株主かどうか、買収者かどうかなど、株主の属性を理由に扱いを変える考え方です。差別に当たるか、それでも正当化できるかが問題になります。)
救済の形は、いつ争うかによってだいたい決まります。事前なら や差止め ( 問題のある新株発行などを、実行前に裁判所に止めてもらう手続です。事前に止められるかが被害の大きさを左右します。) 、発行後なら仮処分 ( 本格的な裁判の結論が出る前に、急いで一時的な判断を出してもらう手続です。新株発行のように早く進む出来事に対応するため重要です。) 、重大な手続ミスなら無効 ( いったん行われた新株発行などを、法律上なかったことにする考え方です。ただし、争える期間が決まっている場合があり、使える場面が限られます。) が問題になり、場合によっては不存在が無効の期間制限を避ける手段のように使われることもあります。不存在 ( そもそも法律上「成立していない」と扱う考え方です。重大な手続ミスがある場合に問題になり、無効より後からでも争えるかが論点になります。)
著者は、裁判所は や経営判断よりも、会社法の枠組みを第一にして株主権を守るべきだと主張します。また、裁判所が新株の買戻しのような強い命令を出すことはほとんどなく、企業価値 ( 会社の将来の稼ぐ力や事業の強さなど、会社全体の価値を指す考え方です。裁判では株主権よりこれを重視しすぎると、権利保護が弱まる危険があります。) も認められにくいという「救済の穴」がある点を指摘し、株主保護を安定させるために、会社法上の優先順位をより明確にすべきだと述べます。損害賠償 ( 違法な行為で損をした人に、お金で埋め合わせをする救済です。ただし新株発行では、価格決定が経営判断とされると認められにくい傾向があります。)
- 今後の展望:
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この論文は、具体的な裁判結果の予測ではなく、制度をより分かりやすくする提案をします。中心は、会社法のルールを明確にして、裁判所が紛争解決のときに株主の法的権利を最優先に扱うようにすることです。
そのために、210条のような保護がどんな場面で強く働くべきか、 や経営判断を理由に不公正の判断を避けすぎないためにはどうするかをはっきりさせる必要があるとします。企業価値 ( 会社の将来の稼ぐ力や事業の強さなど、会社全体の価値を指す考え方です。裁判では株主権よりこれを重視しすぎると、権利保護が弱まる危険があります。)
また、 と無効 ( いったん行われた新株発行などを、法律上なかったことにする考え方です。ただし、争える期間が決まっている場合があり、使える場面が限られます。) の境界や期間制限の考え方、不存在 ( そもそも法律上「成立していない」と扱う考え方です。重大な手続ミスがある場合に問題になり、無効より後からでも争えるかが論点になります。) の扱い、とくに損害賠償 ( 違法な行為で損をした人に、お金で埋め合わせをする救済です。ただし新株発行では、価格決定が経営判断とされると認められにくい傾向があります。) をどう考えるかは未解決の課題だと述べます。さらに、有利発行やリフレクティブロス ( 会社が損をした結果として株価が下がり、株主が間接的に被る損失のことです。株主が個別に損害賠償を請求できるのかが不明確で、重要な論点です。) の割当てで少数株主が無視されたような場合には、損害賠償だけでなく新株予約権 ( 決められた条件で将来株を買える権利です。資金調達だけでなく、買収防衛の道具として使われることもあり、公平さが問題になります。) ももっと活用できるようにすべきだと提案します。衡平的救済 ( 条文どおりの損害賠償ではなく、公平さの観点から裁判所が認める調整的な救済です。損害の証明が難しい場面で使われることがあります。) や買収防衛 ( 外部の会社や投資家に買収されそうなときに、それを防ぐための仕組みです。少数株主の権利を弱める形になりやすく、公正さが問われます。) では、事前と事後の救済の両方を意識し、経済的な損害の証明が難しくても、議決権などの法的権利への影響をきちんと考えるべきだと述べます。ライツプラン ( 買収者の影響力を弱める目的で、新株予約権などを使う買収防衛策です。導入の手続や薄まり方が極端だと不公正になり得ます。)
- 何のために?:
-
この文章は、会社の「
」の話です。株 ( 会社にお金を出した人がもらえる「会社の一部の持ち分」を表すものです。株 を持つと会社のもうけの分け前を受けたり会社の大事なことに意見を言ったりできます)
会社が新しい株 を出すと、もめることがあります。
それを、裁判 でどう守るかを調べます。
株 を持つ人を、「 」といいます。株主 ( 株 を持っている人のことです。会社に対して意見を言ったり権利 を使ったりできるのでこの文章の中心になる立場です)
株主 は、困 ったら助けを求 めます。
「新しい株 を出さないで」と言う人もいます。
「自分にも株 を分けて」と言う人もいます。
「 した分を返して」と言う人もいます。損 ( お金などで不利 になった分のことです。損 をどれだけ受けたかの証明 がむずかしくお金で助けてもらいにくい理由になります)
でも が、会社の都合を重く見ると、裁判所 ( もめごとを法律 にもとづいて決める国の機関 です。この文章では株主 と会社のどちらを重く見るかで結論 が変 わる点が重要 です)
株主 の が弱くなる心配があります。権利 ( してよいことを法律 が守ってくれる力のことです。株主 の権利 が弱くなると不公平 を止めにくくなります)
そこでこの文章は、裁判 の考え方をまとめます。
そして、株主 の権利 を大事にすべきと言います。
また、 が発行 ( 会社が新しく株 などを作って出すことです。新しく出すと株 の割合 が変 わり不利 になる人が出るので争 いの原因 になります) かどうかも考えます。無効 ( 法律上 はじめから効き目 がないとされることです。ただし争 える期間が決まることがありいつ争 うかが重要 になります)
お金で助けてもらいにくい理由も見ます。
- 何が分かったの?:
-
の答えは、裁判所 ( もめごとを法律 にもとづいて決める国の機関 です。この文章では株主 と会社のどちらを重く見るかで結論 が変 わる点が重要 です) 事件 で変 わりやすいです。
そのわけは、重く見る考えが違 うからです。
1つ目は、法律 に書かれた の株主 ( 株 を持っている人のことです。会社に対して意見を言ったり権利 を使ったりできるのでこの文章の中心になる立場です) です。権利 ( してよいことを法律 が守ってくれる力のことです。株主 の権利 が弱くなると不公平 を止めにくくなります)
2つ目は、会社の価値 を守る考え方です。
3つ目は、昔の法律 の考え方です。
この文章は、法律 の文を元にすべきと言います。
その方が、答えが分かりやすいからです。
ある事件 では、少ない株主 が不利 になりました。
新しい で、株 ( 会社にお金を出した人がもらえる「会社の一部の持ち分」を表すものです。株 を持つと会社のもうけの分け前を受けたり会社の大事なことに意見を言ったりできます) がうすくなったからです。持ち分 ( その会社をどれくらい持っているかという割合 のことです。新しい株 が出ると持ち分が小さくなり投票 の力などが弱まります)
それが「とても不公平 」になると言われました。
でも別 の事件 では、会社のためとして認 めました。
から守るための買収 ( ほかの会社などがその会社の株 を集めて会社を支配 しようとすることです。買収 を止めるための仕組みが問題になります) 特別 な権利 もあります。
それを「 」といいます。新株予約権 ( 決められた条件 であとから株 を買える権利 です。買収 を防 ぐ目的 で使われることがあり誰 にどれだけ与 えるかが不公平 かどうかの争点 になります)
株主 のしゅるいで、分け方を変 えた例 もあります。
でも、話し合いに入れない形だと不公平 でした。
のあとに発行 ( 会社が新しく株 などを作って出すことです。新しく出すと株 の割合 が変 わり不利 になる人が出るので争 いの原因 になります) 争 うと、さらに難 しくなります。
「 」は、無効 ( 法律上 はじめから効き目 がないとされることです。ただし争 える期間が決まることがありいつ争 うかが重要 になります) 争 える期間が決まります。
「 」は、期間がないと考えられます。不存在 ( そもそも最初 から成立 していないと考えることです。期間の制限 がないと考えられる場合があり無効 とのちがいが大きな問題になります)
そのため、どちらかが大きな問題になります。
お金を返してもらうのも、むずかしいです。
値段 決めは「会社の判断 」とされやすいからです。
かわりに、別 の助け方が出た例 もあります。
ただ、お金の の考え方は整理損 ( お金などで不利 になった分のことです。損 をどれだけ受けたかの証明 がむずかしくお金で助けてもらいにくい理由になります) 不足 です。
- どうやったの?:
-
この研究は、
法律 と裁判 を読んで考えます。
まず、 の差 し止め( ある行為 をしないように裁判所 に止めてもらうことです。新しい株 を出す前に止められるかが助け方の大きな分かれ目になります) 事件 をくわしく比 べます。
そして、不公平 かどうかの理由を見ます。
次に、 後の発行 ( 会社が新しく株 などを作って出すことです。新しく出すと株 の割合 が変 わり不利 になる人が出るので争 いの原因 になります) などの最高裁 ( 日本でいちばん上の裁判所 です。最高裁 の考え方はほかの裁判 にも影響 しやすいので重要 です) 判断 を調べます。
のミスがどう見られたかも手続 き( 決まりどおりに進めるやり方のことです。手続 きのミスがあると発行がだめになるかどうかに関 わります) 確認 します。
さらに、 の有名な買収 防衛 ( 買収 されないように会社が用意する対策 です。会社を守る名目で株主 に不利 なことが起きうるので裁判 での判断 が重要 です) 事件 も見ます。
を分けて株主 ( 株 を持っている人のことです。会社に対して意見を言ったり権利 を使ったりできるのでこの文章の中心になる立場です) 扱 うことが問題かを比 べます。
話し合いから外されたことも比 べます。
最後 に、元に戻 す助けと、お金の助けを比 べます。
株主 が助けを得 にくい所をまとめます。
- 研究のまとめ:
-
が裁判所 ( もめごとを法律 にもとづいて決める国の機関 です。この文章では株主 と会社のどちらを重く見るかで結論 が変 わる点が重要 です) 不公平 とする形に、くせがあります。
少ない の力が弱まることが重く見られます。株主 ( 株 を持っている人のことです。会社に対して意見を言ったり権利 を使ったりできるのでこの文章の中心になる立場です)
話し合いに入れないことも重く見られます。
一方で、株主 のしゅるいで分けることは、
不公平 と言われにくいことがあるようです。
大多数が会社を動かすことも、
不公平 になりにくいと言います。
助け方は、いつ争 うかでだいたい決まります。
前なら、 や差 し止め( ある行為 をしないように裁判所 に止めてもらうことです。新しい株 を出す前に止められるかが助け方の大きな分かれ目になります) になります。仮 の命令 ( 本当の結論 が出る前にいったん急いで出す命令 です。株 の発行のように後で戻 しにくいことを先に止めるために大切です)
後なら、 が問題になります。無効 ( 法律上 はじめから効き目 がないとされることです。ただし争 える期間が決まることがありいつ争 うかが重要 になります)
とても大きいミスなら、 が問題です。不存在 ( そもそも最初 から成立 していないと考えることです。期間の制限 がないと考えられる場合があり無効 とのちがいが大きな問題になります)
不存在 が、 をさける道になることもあります。期限 ( その期間を過 ぎると争 えなくなる区切りのことです。無効 か不存在 かで期限 があるかないかが変 わり得 ます)
この文章は、法律 を一番にすべきと言います。
会社の都合より、株主 の を守るためです。権利 ( してよいことを法律 が守ってくれる力のことです。株主 の権利 が弱くなると不公平 を止めにくくなります)
でも強い命令 は、ほとんど出ません。
お金での助けも、認 められにくいです。
そこに「助けの穴 」があると指摘 します。
だから、法律 の順番 をもっとはっきりさせます。
- これからどうする?:
-
この文章は、
未来 の判決 を当てるものではありません。
しくみを、もっと分かりやすくする提案 です。
裁判 では、 の株主 ( 株 を持っている人のことです。会社に対して意見を言ったり権利 を使ったりできるのでこの文章の中心になる立場です) を権利 ( してよいことを法律 が守ってくれる力のことです。株主 の権利 が弱くなると不公平 を止めにくくなります) 最優先 にします。
そのため、どんな時に守りが強いか決めます。
会社の都合で、不公平 を見のがしすぎない工夫 もします。
また、 と無効 ( 法律上 はじめから効き目 がないとされることです。ただし争 える期間が決まることがありいつ争 うかが重要 になります) のちがいも不存在 ( そもそも最初 から成立 していないと考えることです。期間の制限 がないと考えられる場合があり無効 とのちがいが大きな問題になります) 課題 です。
の考え方も、まだ決まりきっていません。期限 ( その期間を過 ぎると争 えなくなる区切りのことです。無効 か不存在 かで期限 があるかないかが変 わり得 ます)
お金での助け方も、むずかしいままです。
とくに、まわり回って になる問題もあります。損 ( お金などで不利 になった分のことです。損 をどれだけ受けたかの証明 がむずかしくお金で助けてもらいにくい理由になります)
少ない株主 が無視 された時は、
お金以外 の助けも使えるようにします。
では、前と後の助けを両方考えます。買収 防衛 ( 買収 されないように会社が用意する対策 です。会社を守る名目で株主 に不利 なことが起きうるので裁判 での判断 が重要 です)
損 の がむずかしくても、証明 ( 本当だと納得 してもらうために理由や資料 を出すことです。損 の証明 ができないとお金での救 いが受けにくくなります)
投票 の力への影響 を大事に見るべきです。
- 著者名:
- Nang Nwe Ni Nyunt
- 掲載誌名:
- 現代社会文化研究
- 巻:
- 71
- ページ:
- 137 - 161
- 発行日:
- 2020-11
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/00051993
