論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#紀要論文
7 A myotrophic lateral sclerosis with TAF15-predominant FET pathology : clinicopathologic features of an autopsied patient
- AI解説:
- 本論文は、細胞内封入体がFETファミリータンパク質(FUS、EWS、TAF15)に陽性となる、神経変性疾患の病理の一部に焦点を当てている。著者らは、FET陽性の脳内封入体を示す患者は通常、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia:FTD)を呈するが、一部では筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の臨床像を示すこともあると述べる。これまでに報告されたFTDまたはALSの患者では、封入体の相当数がFUSとTAF15の両方で免疫標識されており、病的凝集体の分子構成に重なりがあることが示唆されている。こうした背景のもと、本報告の目的は、TAF15に免疫反応性を示す封入体がFUSに免疫反応性を示す封入体を大きく上回った、剖検されたALS患者の臨床病理学的特徴を記載することにある。この不均衡とその解剖学的分布を示すことで、症例間でFET病理のプロファイルがどのように変動し得るかを明らかにし、さらに、このプロファイルが同定されたTAF15遺伝子バリアントと関連し得るかどうかを検討することを目指している。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#紀要論文
7 A myotrophic lateral sclerosis with TAF15-predominant FET pathology : clinicopathologic features of an autopsied patient
AI解説
- 背景と目的:
-
本論文は、細胞内封入体がFETファミリータンパク質(FUS、EWS、TAF15)に陽性となる、神経変性疾患の病理の一部に焦点を当てている。著者らは、FET陽性の脳内封入体を示す患者は通常、前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia:FTD)を呈するが、一部では筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の臨床像を示すこともあると述べる。これまでに報告されたFTDまたはALSの患者では、封入体の相当数がFUSとTAF15の両方で免疫標識されており、病的凝集体の分子構成に重なりがあることが示唆されている。こうした背景のもと、本報告の目的は、TAF15に免疫反応性を示す封入体がFUSに免疫反応性を示す封入体を大きく上回った、剖検されたALS患者の臨床病理学的特徴を記載することにある。この不均衡とその解剖学的分布を示すことで、症例間でFET病理のプロファイルがどのように変動し得るかを明らかにし、さらに、このプロファイルが同定されたTAF15遺伝子バリアントと関連し得るかどうかを検討することを目指している。
- 主要な発見:
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臨床的には、患者(発症時77歳の女性)は左手の筋力低下を発症し、その後、頸部および両側上肢の筋力低下へ進行し、嚥下障害(dysphasia)と呼吸困難(dyspnea)も伴った。神経学的評価では四肢すべてで腱反射亢進(hyperreflexia)がみられ、頸部と上肢に筋萎縮を認めた。筋電図ではびまん性の神経原性変化(diffuse neurogenic change)が示され、ALSの臨床診断を支持した。軽度の認知機能障害も存在した。患者は81歳で突然死し、神経疾患の家族歴は報告されていなかった。遺伝学的には、新規のTAF15バリアントであるp.Ser76Ile(c.227G>T)が検出されたが、著者らはその病原性の影響は不明であることを強調している。神経病理学的には、脳重量は1,044 gで、前頭葉に軽度の萎縮があり、頸髄および胸髄の前根は高度の萎縮を示した。神経細胞脱落とグリオーシスは、運動野および運動前野皮質、脊髄前角、脳幹運動核に及び、特に舌下神経核と頸髄前角で顕著であった。これらの領域では、通常の評価で好塩基性封入体(basophilic inclusions)は少数しか認められなかった。免疫組織化学では、TAF15およびtransportin1(TRN1)陽性の封入体が、FUSまたはEWS陽性の封入体よりもはるかに多数であった。さらに、FUS陽性封入体は神経細胞脱落が重度の病変に限局しており、封入体の種類と組織障害との関係が一様ではないことを示していた。
- 方法論:
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本研究は、臨床的にALSと診断された単一の剖検例を中心とする臨床病理学的記載である。著者らはまず、経時的な臨床像(筋力低下の進行パターン、球麻痺症状および呼吸器症状)、神経学的診察所見(腱反射亢進、局所的な筋萎縮を含む)、ならびにALS診断を支持する筋電図でのびまん性神経原性変化の所見を要約し、軽度認知機能障害も記録している。死後検査では肉眼的神経病理評価を行い、脳重量(1,044 g)、軽度の前頭葉萎縮の存在、頸髄および胸髄の前根における著明な萎縮を報告した。組織病理学的評価では、運動系の特定領域(運動野/運動前野皮質、脊髄前角、脳幹運動核)にわたる神経細胞脱落とグリオーシスを記載し、少数の好塩基性封入体の存在を指摘した。封入体の分子構成を特徴づけるため、著者らはFETタンパク質(TAF15、FUS、EWS)およびそれらの核内輸送受容体であるtransportin1(TRN1)に対する抗体を用いて免疫組織化学を実施した。マーカー間で免疫反応性封入体の分布と相対的な量を比較し、FUS陽性封入体の解剖学的局在を病変の重症度との関係で評価した。さらに遺伝子解析も行い、新規のTAF15変異(p.Ser76Ile;c.227G>T)を同定した一方で、その病原性は不確実であることを明示した。
- 結論と意義:
-
本症例は、ALSの臨床病理学的像に加えて、TAF15およびTRN1に免疫反応性を示す封入体が、FUSまたはEWSに免疫反応性を示す封入体を著明に上回るという特徴的な封入体プロファイルを示した。このパターンが注目されるのは、FET陽性病理の先行報告ではFTDまたはALSの多くの患者でFUSとTAF15の両方で免疫標識される封入体がしばしば報告される一方、本患者ではTAF15が明確に優勢であったためである。FUS陽性封入体が神経細胞脱落の重度な領域に限局していたという所見は、同一の疾患過程の中でも、異なるFETタンパク質凝集体が異なる解剖学的分布をとり得ること、あるいはより進行した病変で選択的に出現し得ることをさらに示唆する。著者らは、この免疫組織化学的プロファイルを特徴的なものと解釈し、検出されたTAF15変異と関連している可能性を提案するが、同時に当該変異の病原性の影響は確立されていないことも認めている。総じて本報告の意義は、ALSにおけるFET関連封入体パターンの既知のスペクトラムを拡張し、TAF15優位の病理を、診断神経病理学において考慮すべき変異的な臨床病理学的提示として提示した点にある。
- 今後の展望:
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著者らの所見は、TAF15優位の封入体病理が、FET関連神経変性というより広いカテゴリーの中で独立したサブタイプを表すのかどうかを明らかにするため、さらなる研究が必要であることを示唆している。同定されたTAF15 p.Ser76Ile(c.227G>T)バリアントは新規で病原性が不明とされたため、この遺伝学的変化が封入体形成やALS表現型にどのように、またどの程度寄与するのかを判断するには追加研究が求められる。TRN1およびTAF15陽性封入体がFUSおよびEWS陽性封入体を大きく上回ったことは、より大規模な症例系列において(TRN1を含む)複数マーカー免疫組織化学を系統的に適用し、このプロファイルがどの程度の頻度で生じ、軽度認知機能障害などの臨床特徴とどう関連するのかを確立する価値があることも示している。最後に、FUS封入体が重度に障害された領域に限局していたことは、今後の臨床病理学的比較において、封入体の組成を病変の重症度と併せて評価し、特定のFETタンパク質凝集体と神経変性との時間的または領域的関係をより明確にする必要があることを示唆する。ただし、本論文はそうした関係について機序的な証明を提示するものではない。
- 背景と目的:
-
この論文は、神経の細胞の中にたまる「
」というかたまりの特徴に注目した研究です。封入体の中に、FETファミリーという種類のたんぱく質(封入体 ( 神経細胞の中にできる、たんぱく質などが集まったかたまりです。どのたんぱく質が入っているかを調べることで、病気のタイプや特徴を考える手がかりになります。) 、FUS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、封入体に含まれるかどうかを免疫染色で調べ、病理のパターン分類に使います。) 、EWS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、FUSやTAF15と同様に封入体の材料になり得るため、比較の対象になります。) )が含まれていると、TAF15 ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、この症例ではTAF15が陽性の封入体が特に多く、病理の特徴を決める重要な手がかりになっています。) (FTD)になることが多いですが、人によっては前頭側頭型認知症 ( 主に前頭葉や側頭葉の働きが低下して、性格変化や言語の障害などが起こりやすい認知症の一種です。FET関連の封入体が見つかる患者でよく報告されます。) (ALS)の症状が出ることもあります。これまでの報告では、封入体の多くがFUSとTAF15の両方で見つかる例が多く、似た材料でできている可能性が考えられていました。筋萎縮性側索硬化症 ( 運動神経が障害され、筋力低下や筋萎縮が進む病気です。呼吸に関わる筋肉まで弱ることがあります。)
そこで本報告では、 されたALS患者の脳・脊髄を調べたところ、FUSよりもTAF15の封入体が圧倒的に多いという珍しい特徴が見られたため、その臨床像と病理の特徴を詳しくまとめ、さらにTAF15の遺伝子の変化との関係があり得るかを検討することを目的としました。剖検 ( 亡くなった後に体(特に臓器)を調べ、病気の原因や広がりを確認する検査です。生前には分からない病理の特徴を確かめられます。)
- 主要な発見:
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患者は77歳で左手の力が入りにくくなり、その後、首と両腕の筋力低下へと広がりました。飲み込みにくさや息苦しさも出ました。診察では手足すべてで反射が強く、首と腕の筋肉がやせていました。
では、神経が傷んだときに見られる変化が広い範囲で確認され、ALSと診断されました。軽い認知機能の低下もありました。81歳で突然亡くなり、家族に同じような神経の病気は報告されていませんでした。筋電図 ( 筋肉の電気的な活動を測り、神経や筋肉がどのように障害されているかを調べる検査です。ALSの診断の根拠の1つになります。)
遺伝子検査では、 にこれまで報告のない変化(p.Ser76Ile)が見つかりましたが、これが病気の原因になるかどうかは分からないとされています。TAF15 ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、この症例ではTAF15が陽性の封入体が特に多く、病理の特徴を決める重要な手がかりになっています。)
では、前頭葉に軽い萎縮があり、脊髄から出る神経の根元(剖検 ( 亡くなった後に体(特に臓器)を調べ、病気の原因や広がりを確認する検査です。生前には分からない病理の特徴を確かめられます。) )が強くやせていました。運動に関わる領域(運動野などの大脳皮質、前根 ( 脊髄から筋肉へ向かう運動神経線維が出ていく部分です。ここがやせることは運動神経の障害を示す重要な所見です。) 、脳幹の運動神経核)で神経細胞が減っており、特に脊髄前角 ( 脊髄の中で運動神経の細胞体が多い部分です。ALSではここが障害されやすく、筋力低下や筋萎縮と関係します。) と頸髄前角で目立ちました。通常の染色で見える舌下神経核 ( 舌を動かす神経の細胞が集まる脳幹の場所です。ここが障害されると、話しにくさや飲み込みにくさにつながり得ます。) は少数でした。封入体 ( 神経細胞の中にできる、たんぱく質などが集まったかたまりです。どのたんぱく質が入っているかを調べることで、病気のタイプや特徴を考える手がかりになります。)
しかし免疫染色で調べると、TAF15と が陽性の封入体が、TRN1 ( transportin1のことで、たんぱく質を細胞核へ運ぶ仕組みに関わる受容体です。FET関連の封入体の評価で一緒に調べられることがあります。) やFUS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、封入体に含まれるかどうかを免疫染色で調べ、病理のパターン分類に使います。) が陽性の封入体よりもはるかに多く見つかりました。さらにFUSが陽性の封入体は、神経細胞の減り方が特に重い場所に限って見られました。EWS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、FUSやTAF15と同様に封入体の材料になり得るため、比較の対象になります。)
- 方法論:
-
この研究は、ALSと診断されていた1人の患者の
例を詳しく調べた症例報告です。生前の症状の進み方、神経の診察所見、剖検 ( 亡くなった後に体(特に臓器)を調べ、病気の原因や広がりを確認する検査です。生前には分からない病理の特徴を確かめられます。) の結果、認知機能の状態を整理しました。死後は脳や脊髄を肉眼で観察し、さらに顕微鏡で神経細胞の減少や周辺の変化を確認しました。筋電図 ( 筋肉の電気的な活動を測り、神経や筋肉がどのように障害されているかを調べる検査です。ALSの診断の根拠の1つになります。)
の中身を調べるために、FETファミリーのたんぱく質(封入体 ( 神経細胞の中にできる、たんぱく質などが集まったかたまりです。どのたんぱく質が入っているかを調べることで、病気のタイプや特徴を考える手がかりになります。) 、TAF15 ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、この症例ではTAF15が陽性の封入体が特に多く、病理の特徴を決める重要な手がかりになっています。) 、FUS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、封入体に含まれるかどうかを免疫染色で調べ、病理のパターン分類に使います。) )と、それらに関係するEWS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、FUSやTAF15と同様に封入体の材料になり得るため、比較の対象になります。) に対する抗体を使ったTRN1 ( transportin1のことで、たんぱく質を細胞核へ運ぶ仕組みに関わる受容体です。FET関連の封入体の評価で一緒に調べられることがあります。) を行い、どの場所にどれくらい封入体があるかを比べました。また遺伝子解析でTAF15の新しい変化を調べました。免疫組織化学 ( 組織に「特定のたんぱく質だけにくっつく抗体」を使い、目的のたんぱく質がどこにあるかを染め分けて調べる方法です。封入体の中身の確認に使われます。)
- 結論と意義:
-
この症例では、ALSの病理に加えて、
とTAF15 ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、この症例ではTAF15が陽性の封入体が特に多く、病理の特徴を決める重要な手がかりになっています。) のTRN1 ( transportin1のことで、たんぱく質を細胞核へ運ぶ仕組みに関わる受容体です。FET関連の封入体の評価で一緒に調べられることがあります。) が封入体 ( 神経細胞の中にできる、たんぱく質などが集まったかたまりです。どのたんぱく質が入っているかを調べることで、病気のタイプや特徴を考える手がかりになります。) やFUS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、封入体に含まれるかどうかを免疫染色で調べ、病理のパターン分類に使います。) の封入体より明らかに多いという特徴的なパターンが示されました。これまでの例ではFUSとTAF15の両方が同じように見つかることが多かったため、TAF15が強く目立つ点が重要です。EWS ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、FUSやTAF15と同様に封入体の材料になり得るため、比較の対象になります。)
また、FUSの封入体が特に障害が強い場所に限られていたことから、同じ病気の中でも、たんぱく質の種類によって封入体が出やすい場所が違う可能性や、病変が進んだ場所で選択的に現れる可能性が考えられます。著者らは、この特徴的なパターンがTAF15の遺伝子変化と関係しているかもしれないと述べていますが、その遺伝子変化が本当に病気の原因になるかはまだ確定していません。
全体として、ALSにおけるFET関連の封入体の現れ方には幅があり、TAF15が中心になるタイプも診断の場で考える必要があることを示した点に意義があります。
- 今後の展望:
-
が優位になるTAF15 ( FETファミリーの1つのたんぱく質で、この症例ではTAF15が陽性の封入体が特に多く、病理の特徴を決める重要な手がかりになっています。) のパターンが、FET関連の神経変性の中で独立したタイプなのかどうかを調べるため、より多くの症例で研究する必要があります。今回見つかったTAF15の新しい遺伝子変化が、封入体の形成やALSの症状にどの程度関わるのかも、追加の検証が求められます。封入体 ( 神経細胞の中にできる、たんぱく質などが集まったかたまりです。どのたんぱく質が入っているかを調べることで、病気のタイプや特徴を考える手がかりになります。)
また、 を含めた複数の免疫染色を多くの症例に同じ方法で行い、このパターンがどのくらいの頻度で起きるのか、軽い認知機能低下などの症状と関係するのかをはっきりさせることが重要です。さらに、封入体の種類と病変の重さをあわせて評価し、どのたんぱく質の封入体がいつ・どこで増えるのかをより明確にすることが課題です。TRN1 ( transportin1のことで、たんぱく質を細胞核へ運ぶ仕組みに関わる受容体です。FET関連の封入体の評価で一緒に調べられることがあります。)
- 何のために?:
-
この研究は、
神経 の細胞 の中のかたまりを見ます。
そのかたまりを「 」といいます。封入体 ( 神経 の細胞 の中にできる、たんぱく質 などが集まったかたまりのこと。どんな病気かを見分けたり、病気がどこで進んでいるかを考えたりする手がかりになる)
封入体 には、 が入ります。たんぱく 質 ( 体の中で働 く材料 になる成分 で、体を作ったり細胞 の中でいろいろな仕事をしたりする。たんぱく質 が正しく働 かないと病気につながることがある)
たんぱく質 は、体を作る材料 です。
やFUS ( 神経 の病気で封入体 の中にたまりやすいことがある、細胞 の中のたんぱく質 の名前。どのたんぱく質 がたまるかで病気のタイプを考えるのに重要 ) などがTAF15 ( 細胞 の中にあるたんぱく質 の名前で、この文章では封入体 に特 に多く見つかったもの。いつもと違 うタイプのALSかもしれない手がかりになる) 関係 します。
これらがあると、ものわすれの病気も出ます。
でも、人によっては になることもあります。ALS ( 筋肉 を動かす神経 が弱って、体を動かしにくくなったり、のみこみや息がつらくなったりする病気。症状 や検査 で診断 し、原因 やタイプを調べることが大切)
ALSは、体を動かしにくくなる病気です。
今まで、FUSとTAF15は同じくらいでした。
今回は、TAF15がとても多い例 でした。
その理由があるか、調べる目的 です。
の遺伝子 ( 体の設計図 のような情報 で、親から子に伝 わる。遺伝子 に変化 があると病気に関係 することがあるため、原因 の手がかりとして調べる) 変化 と関係 があるかも見ます。
- 何が分かったの?:
-
患者 さんは77歳 で左手が弱くなりました。
そのあと、首と両うでも弱くなりました。
飲みこみにくさも出てきました。
息がしにくい感じもありました。
診察 では、 が強く出ました。反射 ( たたいた刺激 などで体が無意識 に動く反応 のこと。強すぎるかどうかが、神経 の異常 を見つけるヒントになる)
首と腕 の筋肉 がやせていました。
検査 で、神経 のいたみが広く見えました。
それで、 と決まりました。ALS ( 筋肉 を動かす神経 が弱って、体を動かしにくくなったり、のみこみや息がつらくなったりする病気。症状 や検査 で診断 し、原因 やタイプを調べることが大切)
ものわすれも、少しありました。
81歳 で、急に亡 くなりました。
家族に同じ病気の人はいませんでした。
で、遺伝子 ( 体の設計図 のような情報 で、親から子に伝 わる。遺伝子 に変化 があると病気に関係 することがあるため、原因 の手がかりとして調べる) に新しいTAF15 ( 細胞 の中にあるたんぱく質 の名前で、この文章では封入体 に特 に多く見つかったもの。いつもと違 うタイプのALSかもしれない手がかりになる) 変化 が見つかりました。
でも、それが原因 かは分かりません。
亡 くなったあと、脳 と を調べました。せきずい ( 脳 からつながっている神経 の通り道で、体に命令 を送る重要 な場所。ここが弱ると手足や呼吸 などの動きに影響 が出る)
前の方の脳 が、少し小さくなっていました。
せきずいから出る神経 が、強くやせていました。
体を動かす場所で、神経細胞が減 っていました。
ふつうの見方では、 は少なめでした。封入体 ( 神経 の細胞 の中にできる、たんぱく質 などが集まったかたまりのこと。どんな病気かを見分けたり、病気がどこで進んでいるかを考えたりする手がかりになる)
で、特別 な染 め方( 組織 の中の特定 のたんぱく質 などを見えやすくする方法 。封入体 の中に何が入っているかを確 かめるために重要 ) 封入体 をくわしく見ました。
すると、TAF15の封入体 がたくさんありました。
というTRN1 ( 封入体 といっしょに見つかることがある、細胞 の中のたんぱく質 の目じるしの名前。どんな封入体 かを考える材料 になる) も、いっしょに多いです。目じるし ( 調べたいものを見つけるための印 のことで、特定 のたんぱく質 がある場所を分かりやすくする。封入体 にどのたんぱく質 が多いか比 べるのに必要 )
やFUS ( 神経 の病気で封入体 の中にたまりやすいことがある、細胞 の中のたんぱく質 の名前。どのたんぱく質 がたまるかで病気のタイプを考えるのに重要 ) のEWS ( 神経 の病気で封入体 に関係 することがある、たんぱく質 の名前。FUSやTAF15などと比 べることで封入体 の特徴 が分かる) 封入体 は、ずっと少なかったです。
FUSの封入体 は、ひどい場所だけにありました。
- どうやったの?:
-
この研究は、1人の
患者 さんの報告 です。
生きていたときの症状 の進み方をまとめました。
神経 の診察 の結果 もまとめました。
という筋電図 ( 筋肉 や神経 の電気的 な動きを調べる検査 。神経 が傷 んでいるかどうかを調べ、ALSの判断材料 になる) 検査 の結果 も見ました。
ものわすれの様子も調べました。
亡 くなったあと、脳 と を見ました。せきずい ( 脳 からつながっている神経 の通り道で、体に命令 を送る重要 な場所。ここが弱ると手足や呼吸 などの動きに影響 が出る)
目で見て、形の変化 を確 かめました。
さらに、 で細かく見ました。けんびきょう ( とても小さいものを大きくして見る道具。神経細胞や封入体 を細かく調べるのに使う)
神経細胞が減 っているかを調べました。
の中身を知るため、封入体 ( 神経 の細胞 の中にできる、たんぱく質 などが集まったかたまりのこと。どんな病気かを見分けたり、病気がどこで進んでいるかを考えたりする手がかりになる) をしました。特別 な染 め方( 組織 の中の特定 のたんぱく質 などを見えやすくする方法 。封入体 の中に何が入っているかを確 かめるために重要 )
、TAF15 ( 細胞 の中にあるたんぱく質 の名前で、この文章では封入体 に特 に多く見つかったもの。いつもと違 うタイプのALSかもしれない手がかりになる) 、FUS ( 神経 の病気で封入体 の中にたまりやすいことがある、細胞 の中のたんぱく質 の名前。どのたんぱく質 がたまるかで病気のタイプを考えるのに重要 ) をEWS ( 神経 の病気で封入体 に関係 することがある、たんぱく質 の名前。FUSやTAF15などと比 べることで封入体 の特徴 が分かる) にしました。目じるし ( 調べたいものを見つけるための印 のことで、特定 のたんぱく質 がある場所を分かりやすくする。封入体 にどのたんぱく質 が多いか比 べるのに必要 )
も目じるしにしました。TRN1 ( 封入体 といっしょに見つかることがある、細胞 の中のたんぱく質 の目じるしの名前。どんな封入体 かを考える材料 になる)
どこに、どれくらい封入体 があるか比 べました。
の遺伝子 ( 体の設計図 のような情報 で、親から子に伝 わる。遺伝子 に変化 があると病気に関係 することがあるため、原因 の手がかりとして調べる) 検査 で、TAF15の変化 も見ました。
- 研究のまとめ:
-
この
例 では、 のTAF15 ( 細胞 の中にあるたんぱく質 の名前で、この文章では封入体 に特 に多く見つかったもの。いつもと違 うタイプのALSかもしれない手がかりになる) が封入体 ( 神経 の細胞 の中にできる、たんぱく質 などが集まったかたまりのこと。どんな病気かを見分けたり、病気がどこで進んでいるかを考えたりする手がかりになる) 特 に多いです。
のTRN1 ( 封入体 といっしょに見つかることがある、細胞 の中のたんぱく質 の目じるしの名前。どんな封入体 かを考える材料 になる) 封入体 も、とても多いです。
やFUS ( 神経 の病気で封入体 の中にたまりやすいことがある、細胞 の中のたんぱく質 の名前。どのたんぱく質 がたまるかで病気のタイプを考えるのに重要 ) より、はっきり多い点が大事です。EWS ( 神経 の病気で封入体 に関係 することがある、たんぱく質 の名前。FUSやTAF15などと比 べることで封入体 の特徴 が分かる)
今までの例 とは、ちがう形でした。
また、FUSは重い場所だけに出ました。
封入体 は、場所で出やすさがちがうかもしれません。
病気が進んだ場所で出るのかもしれません。
TAF15の の遺伝子 ( 体の設計図 のような情報 で、親から子に伝 わる。遺伝子 に変化 があると病気に関係 することがあるため、原因 の手がかりとして調べる) 変化 が関係 するかもしれません。
でも、その変化 が原因 かはまだ不明 です。
には、いろいろなALS ( 筋肉 を動かす神経 が弱って、体を動かしにくくなったり、のみこみや息がつらくなったりする病気。症状 や検査 で診断 し、原因 やタイプを調べることが大切) 封入体 の形があると分かります。
TAF15が中心のタイプも考える必要 があります。
- これからどうする?:
-
同じような
例 を、もっと集めて調べます。
が多いタイプが、TAF15 ( 細胞 の中にあるたんぱく質 の名前で、この文章では封入体 に特 に多く見つかったもの。いつもと違 うタイプのALSかもしれない手がかりになる) 別 の型 か確 かめます。
見つかった の遺伝子 ( 体の設計図 のような情報 で、親から子に伝 わる。遺伝子 に変化 があると病気に関係 することがあるため、原因 の手がかりとして調べる) 変化 の働 きも調べます。
その変化 が、 や封入体 ( 神経 の細胞 の中にできる、たんぱく質 などが集まったかたまりのこと。どんな病気かを見分けたり、病気がどこで進んでいるかを考えたりする手がかりになる) 症状 に関 わるか見ます。
同じ方法 で、たくさんの人の封入体 を調べます。
この形が、どれくらい多いか確 かめます。
ものわすれとの関係 も調べます。
封入体 の種類 と、病気の重さも合わせて見ます。
いつ、どこで、どの封入体 が増 えるか調べます。
- 著者名:
- Cui Bo, Tada Mari, Hatano Yuya, Takeshima Akari, Ishihara Tomohiko, Sugai Akihiro, Tokutake Takayoshi, Kanazawa Masato, Onodera Osamu, Kakita Akiyoshi
- 掲載誌名:
- 新潟医学会雑誌
- 巻:
- 133
- 号:
- 11-12
- ページ:
- 391 - 391
- 発行日:
- 2019-12
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/00052021
