論文詳細
工学部
自然科学系
#学術雑誌論文
リエントラント型空洞共振器アプリケータの加温特性 : 小規模ファントムを用いた実験的考察
- AI解説:
- 現在、癌温熱治療に利用される電磁波加温システムにはRF誘電方式やマイクロ波方式がありますが、深部にある病変部の治療には効果が限定的です。深部局所加温の方法が提案されてきましたが、反射や加温領域の拡大などの問題が解決されていません。本研究では、深部集中加温が可能なリエントラント型空洞共振器アプリケータを評価し、実際の加温実験を通じてその有効性を確認することを目的としています。
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工学部
自然科学系
#学術雑誌論文
リエントラント型空洞共振器アプリケータの加温特性 : 小規模ファントムを用いた実験的考察
AI解説
- 背景と目的:
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現在、癌温熱治療に利用される電磁波加温システムにはRF誘電方式やマイクロ波方式がありますが、深部にある病変部の治療には効果が限定的です。深部局所加温の方法が提案されてきましたが、反射や加温領域の拡大などの問題が解決されていません。本研究では、深部集中加温が可能なリエントラント型空洞共振器アプリケータを評価し、実際の加温実験を通じてその有効性を確認することを目的としています。
- 主要な発見:
-
リエントラント型空洞共振器を用いた加温実験では、直径24cm、厚さ12cmまでの円筒型ファントムの中心部に高温領域を形成できることが示されました。特に、ファントムの厚さをリエントラント間隔の40%以内に抑え、電界集中具の直径をファントムの厚さの1.5倍にすることで、集中加温の効果が高まりました。また、インピーダンスの適切な整合が深部集中加温において重要であることが確認されました。
- 方法論:
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実験では、リエントラント型空洞共振器アプリケータを使用し、均質ファントムを対象に加温実験を行いました。アプリケータの共振周波数をスペクトラムアナライザで測定し、インピーダンス整合器を用いて調整を行った後、ファントムを加温しました。加温後、サーモグラフを用いて断面の温度分布を観測し、電界集中具の影響やインピーダンス整合の重要性を評価しました。
- 結論と意義:
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リエントラント型空洞共振器アプリケータは、深部集中加温において有効であり、従来のRF誘電方式とは異なる温度分布を実現できる可能性があります。特に、ファントムの厚さをリエントラント間隔の40%以内に抑えることや、適切なインピーダンス整合が重要であることが確認されました。これにより、癌温熱治療の有効性を高める新しい手法としての可能性が示されました。
- 今後の展望:
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今後、アプリケータの寸法を拡大し、より厚いファントムに対する加温実験を行う予定です。また、実際の人体を模したモデルを用いた実験を行い、臨床応用に向けた具体的な検討を進める必要があります。さらに、共振モードの最適化や励振周波数とインピーダンス整合の調整方法の確立により、より効果的な深部集中加温システムの開発を目指します。
- 背景と目的:
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がんの治療法の一つに温熱治療がありますが、現在使われている方法では体の奥深くにあるがんには効果が薄いことがあります。本研究では、深部のがんを効果的に温める新しい装置「
アプリケータ」を使い、その有効性を実験で確かめることを目的としています。リエントラント型空洞共振器 ( この装置は、内部に突起物(リエントラント)を持つ共振器で、がんを温めるために使われます。高周波の電磁波を利用して、特定の場所を効果的に温めることができます。)
- 主要な発見:
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実験の結果、この新しい装置を使うと、直径24cm、厚さ12cmまでの円筒形のモデル(ファントム)の中心部分に高温の領域を作れることがわかりました。特に、ファントムの厚さをリエントラントの間隔の40%以内にし、電界集中具の直径をファントムの厚さの1.5倍にすると、より効果的に温められることが確認されました。また、インピーダンスの整合が深部を効果的に温めるために重要であることがわかりました。
- 方法論:
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実験では、
アプリケータを使い、均質ファントムを対象に温める実験を行いました。装置の共振周波数をリエントラント型空洞共振器 ( この装置は、内部に突起物(リエントラント)を持つ共振器で、がんを温めるために使われます。高周波の電磁波を利用して、特定の場所を効果的に温めることができます。) で測定し、スペクトラムアナライザ ( この装置は、電磁波の周波数や強さを測定するために使われます。共振周波数を測るために利用され、装置の調整に重要です。) 器で調整した後、ファントムを温めました。温めた後、インピーダンス整合 ( これは、電力を効率よく伝えるために、電気回路の抵抗を調整することです。整合がうまくいかないと、電力が無駄になり、効果的に温めることができません。) で温度分布を観察し、装置の影響やインピーダンス整合の重要性を評価しました。サーモグラフ ( これは、物体の表面温度を可視化する装置です。温度分布を観察するのに使われ、実験の結果を確認するために重要です。)
- 結論と意義:
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この新しい装置は、深部を効果的に温めることができ、従来の方法とは異なる温度分布が得られる可能性があります。特に、ファントムの厚さをリエントラントの間隔の40%以内に抑えることや、
が重要であることが確認されました。これにより、がん温熱治療の効果を高める新しい手法として期待できることが示されました。インピーダンス整合 ( これは、電力を効率よく伝えるために、電気回路の抵抗を調整することです。整合がうまくいかないと、電力が無駄になり、効果的に温めることができません。)
- 今後の展望:
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今後は、装置の大きさを拡大し、より厚いファントムに対する温め実験を行う予定です。また、実際の人体を模したモデルを使った実験を行い、臨床応用に向けた具体的な検討を進める必要があります。さらに、共振モードの最適化や励振周波数と
の調整方法を確立することで、より効果的な深部温熱治療システムの開発を目指します。インピーダンス整合 ( これは、電力を効率よく伝えるために、電気回路の抵抗を調整することです。整合がうまくいかないと、電力が無駄になり、効果的に温めることができません。)
- 何のために?:
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がんの
治療 には、体を温める温熱 治療 があります。でも、今の方法 では、体の奥 にあるがんには効 きにくいです。そこで、新しい機械 「 」を使って、どうなるかリエントラント 型 空洞 共振器 アプリケータ( 新しいがん治療 用の機械 。体の奥 にあるがんを温めるために使われる。) 試 してみました。
- 何が分かったの?:
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実験 の結果 、この新しい機械 を使うと、直径 24cm、厚 さ12cmの円筒 形のモデルの中心を温められることが分かりました。特 に、モデルの厚 さを機械 の間隔 の40%以内 にし、電気を集める部分の直径 をモデルの厚 さの1.5倍にすると、もっと効果的 に温められました。また、 の整合が大事なことも分かりました。インピーダンス ( 電気の流れに対する抵抗 。機械 の効率 を上げるために整合が必要 。)
- どうやったの?:
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実験 では、新しい機械 を使って、均質 (ファントム ( 人体の一部を真似 た特別 なモデル。実験 で人体の一部を再現 するために使われる。) 特別 なモデル)を温めました。 というスペクトラムアナライザ ( 電気の周波数 を測 る機械 。どの周波数 が使われているかを確認 するために使われる。) 機械 で、 を周波数 ( 電気信号 が1秒間に繰 り返 される回数。特定 の周波数 を調整することで効果的 な治療 が可能 になる。) 測 り、 整合インピーダンス ( 電気の流れに対する抵抗 。機械 の効率 を上げるために整合が必要 。) 器 で調整しました。その後、ファントムを温めて、 で温度を見ました。サーモグラフ ( 温度を画像 で見る機械 。温度の変化 を視覚的 に確認 するために使われる。)
- 研究のまとめ:
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この新しい
機械 で、体の奥 を効果的 に温めることができました。特 に、 のファントム ( 人体の一部を真似 た特別 なモデル。実験 で人体の一部を再現 するために使われる。) 厚 さを機械 の間隔 の40%以内 にすることや、 整合が大事だと分かりました。これで、がんのインピーダンス ( 電気の流れに対する抵抗 。機械 の効率 を上げるために整合が必要 。) 温熱 治療 がもっと良 くなるかもしれません。
- これからどうする?:
-
今後は、もっと大きな
機械 を作り、厚 い を使ってファントム ( 人体の一部を真似 た特別 なモデル。実験 で人体の一部を再現 するために使われる。) 実験 します。また、人体に近いモデルを使って、さらに研究を進めます。さらに、 や共振 モード( 特定 の条件 下でエネルギーが効率 よく伝 わる状態 。このモードを調整) を調整して、もっと周波数 ( 電気信号 が1秒間に繰 り返 される回数。特定 の周波数 を調整することで効果的 な治療 が可能 になる。) 良 い温熱 治療 システムを作ることを目指します。
- 著者名:
- 鹿妻 洋之, 齊藤 義明, 宮川 道夫, 堀 潤一
- 掲載誌名:
- 日本ハイパーサーミア学会誌
- 巻:
- 12
- 号:
- 4
- ページ:
- 401 - 409
- 発行日:
- 1996-12
- 著者による要約:
- リエントラント型空洞共振器アプリケータは, 2つのリエントラントを内部に持つ空洞共振器によって構成される癌温熱治療用アプリケータである.本アプリケータによれば, 被加温体の中心に円柱状の高温領域を発生させ得ることが数値解析によって確認されている.本論文では, 実際に加温実験を行い, 直径24cm, 厚さ12cmまでの円筒型の均質ファントムに対して中心部が集中的に加温されることを示した.また, 集中加温を実現するためには, ファントムの厚さをリエントラント間隔の40%程度に保ち, 電界集中具の直径をファントムの厚さの1.5倍程度に大きくし, かつ高周波電力増幅器と空洞共振器の結合を臨界状態にする必要があることを示した.
A
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/31031
