論文詳細
自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
イオンクロマトグラフィーを利用した植物体内に含まれる^<15>NO_3^-の^<15>N 濃度の測定
- AI解説:
- 従来、植物の中に含まれる硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)の
を測定するためには、^15N濃度 ( 窒素の同位体である^15Nの割合。植物や土壌中の窒素の動態を調べるために使われる。) が使われていました。しかし、この方法には問題がありました。例えば、試料中に特定の成分があると、正確に測定できませんでした。最近では、ミクロ通気蒸留法 ( 植物や土壌中の窒素の形態を分けて測定する方法。試料を強アルカリ条件下で処理し、各形態の窒素をアンモニアに変えて測定する。) という新しい方法が発達し、この問題を解決できる可能性があります。そこで、本研究ではICを使ってより正確に植物体中の硝酸の^15N濃度を測定する方法を考えました。イオンクロマトグラフィー(IC) ( 水溶液中のイオン(例えば硝酸など)を分離して分析する方法。電導率検出器を用いて、異なるイオンを検出する。)
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自然科学系
農学部
#学術雑誌論文
イオンクロマトグラフィーを利用した植物体内に含まれる^<15>NO_3^-の^<15>N 濃度の測定
AI解説
- 背景と目的:
-
従来、植物体内の硝酸態窒素の^15N濃度を測定する際には、ミクロ通気蒸留法が用いられてきました。この方法は、さまざまな形態の窒素を分別蒸留することにより、それぞれの^15N濃度を測定する技術です。しかし、試料内に強アルカリ条件下で徐々にアンモニアを放出する成分や還元物質が含まれる場合、アミドや亜硝酸、硝酸の分別が不完全となり、クロスコンタミネーションが生じる可能性が指摘されています。近年、イオンクロマトグラフィー(IC)分析法が発達し、希薄溶液中の硝酸等のアニオンの分析が容易になり、土壌溶液や植物の篩管液の分析に適用されています。そこで、本研究では、ICを用いて植物体中の硝酸を単離し、より正確に^15N濃度を測定する方法の検討を行いました。
- 主要な発見:
-
本研究により、IC分析法を用いた硝酸の分取と還元蒸留により、試料中の硝酸の^15N濃度をより正確に測定できることが明らかになりました。特に、従来のミクロ通気蒸留法と比較して、硝酸含有量の少ない試料においても高い精度を維持できることが確認されました。実際に、ダイズの根、葉、茎を用いた実験では、硝酸含有量が少ない葉や茎においても、IC分析法を用いることで正確な^15N濃度の測定が可能となり、ミクロ通気蒸留法で見られた汚染の影響が緩和されました。
- 方法論:
-
IC分析装置としてWESCANアニオンカラムと電導率検出器を使用し、溶離液には4mMフタル酸を用いました。植物試料をエタノールで抽出し、カラムに通した後、ICで硝酸を分離し、NO3-のピークを分取しました。分取した硝酸はコンウェイユニットを用いて還元蒸留し、生成したアンモニアを吸収剤に捕捉しました。最終的に、生成したアンモニアの^15N濃度を発光分光法により測定しました。また、試料中の塩素を除去するために硫酸銀および水酸化バリウムを用いた前処理を行いました。
- 結論と意義:
-
本研究により、IC分析法を用いることで、植物試料中の硝酸の^15N濃度を従来よりも正確に測定できることが示されました。特に、従来法で問題となっていたクロスコンタミネーションや汚染の影響が軽減され、硝酸含有量の少ない試料に対しても高い精度で測定が可能となりました。本法は、植物体内の硝酸の^15N濃度を厳密に測定する必要がある場合や、微量にしか硝酸を含まない試料の分析において非常に有効であると考えられます。
- 今後の展望:
-
今後、さらに高純度の溶離液および試薬を使用することで、測定精度の向上が期待されます。また、本法を用いて他の植物種や異なる環境条件下での硝酸の動態解析を行うことで、植物の窒素代謝に関する理解が深まり、農業や環境科学における応用が進むでしょう。さらに、^15N以外の安定同位体を用いたトレーサー実験にも応用することで、多様な栄養素の動態解析が可能となり、植物生理学や生態学の新たな知見が得られることが期待されます。
- 背景と目的:
-
従来、植物の中に含まれる硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)の
を測定するためには、^15N濃度 ( 窒素の同位体である^15Nの割合。植物や土壌中の窒素の動態を調べるために使われる。) が使われていました。しかし、この方法には問題がありました。例えば、試料中に特定の成分があると、正確に測定できませんでした。最近では、ミクロ通気蒸留法 ( 植物や土壌中の窒素の形態を分けて測定する方法。試料を強アルカリ条件下で処理し、各形態の窒素をアンモニアに変えて測定する。) という新しい方法が発達し、この問題を解決できる可能性があります。そこで、本研究ではICを使ってより正確に植物体中の硝酸の^15N濃度を測定する方法を考えました。イオンクロマトグラフィー(IC) ( 水溶液中のイオン(例えば硝酸など)を分離して分析する方法。電導率検出器を用いて、異なるイオンを検出する。)
- 主要な発見:
-
この研究により、IC分析法を使うと、試料中の硝酸の
を従来の方法よりも正確に測定できることがわかりました。特に、従来の方法では測定が難しかった硝酸含有量が少ない試料でも、高い精度で測定できました。具体的には、ダイズの根、葉、茎を使った実験で、IC分析法を使うことで葉や茎の正確な^15N濃度を測定できました。^15N濃度 ( 窒素の同位体である^15Nの割合。植物や土壌中の窒素の動態を調べるために使われる。)
- 方法論:
-
IC分析装置としてWESCANアニオンカラムと電導率検出器を使い、4mMフタル酸を溶離液として用いました。植物試料はエタノールで抽出し、カラムに通して硝酸を分離しました。分離した硝酸は
してアンモニアに変え、その還元蒸留 ( 特定の形態の窒素をアンモニアに変え、その濃度を測定する方法。) を^15N濃度 ( 窒素の同位体である^15Nの割合。植物や土壌中の窒素の動態を調べるために使われる。) で測定しました。また、試料中の塩素を除去するために硫酸銀と水酸化バリウムを使いました。発光分光法 ( 物質が光を発する性質を利用して、その成分を分析する方法。)
- 結論と意義:
-
この研究により、IC分析法を使うことで、従来よりも正確に植物試料中の硝酸の
を測定できることが示されました。特に、従来の方法で問題となっていた汚染の影響が少なく、高い精度で測定が可能になりました。この方法は、植物の中の硝酸の^15N濃度を厳密に測定する必要がある場合や、硝酸含有量が少ない試料の分析に非常に有効です。^15N濃度 ( 窒素の同位体である^15Nの割合。植物や土壌中の窒素の動態を調べるために使われる。)
- 今後の展望:
-
今後、高純度の溶離液や試薬を使うことで、さらに測定精度が向上することが期待されます。また、この方法を使って他の植物や異なる環境条件での硝酸の動きを解析することで、植物の窒素代謝についての理解が深まり、農業や環境科学に役立つでしょう。さらに、^15N以外の安定同位体を使った研究も進めることで、より多くの栄養素の動きを解析できるようになり、植物生理学や生態学の新たな知見が得られることが期待されます。
- 何のために?:
-
昔は、植物の中にある
(ちっそ)を調べるのに、窒素 ( 植物の成長 に必要 な大事な元素 です。) というミクロ通気 蒸留 法 ( 昔使っていた窒素 を調べる方法 です。) 方法 を使っていました。だけど、この方法 にはうまくいかないこともありました。たとえば、試 しに使うものに特別 な成分 があると、正確 に調べられませんでした。最近 、 という新しいイオンクロマトグラフィー(IC) ( 新しい方法 で、もっと正確 に成分 を分けることができます。) 方法 ができました。この方法 なら、もっと正確 に調べられるかもしれません。だから、この研究でICを使って、植物の中の窒素 をもっと正確 に調べることにしました。
- 何が分かったの?:
-
この研究でICを使うと、
試 しに使うものの中の を、昔の窒素 ( 植物の成長 に必要 な大事な元素 です。) 方法 よりも正確 に調べられるとわかりました。特 に、窒素 が少ししかないものでも、正確 に調べられました。たとえば、ダイズの根や葉、茎 を使って実験 をしました。その結果 、ICを使うと葉や茎 の中の窒素 を正確 に調べられました。
- どうやったの?:
-
というIC 分析 装置 ( イオンクロマトグラフィーに使う機械 です。) 機械 を使いました。 とWESCANアニオンカラム ( IC分析 装置 の部品で、特定 の成分 を分けるのに使います。) を使い、4mM電導 率 検出器 ( IC分析 装置 の部品で、電気の通りやすさを調べます。) というフタル 酸 ( IC分析 装置 に使う液体 の一種 です。) 液体 を使いました。植物はエタノールで溶 かして、カラムに通して を分けました。分けた窒素 ( 植物の成長 に必要 な大事な元素 です。) 窒素 は という還元 蒸留 ( 成分 を分ける方法 です。) 方法 でアンモニアに変 えて、その窒素 を で調べました。また、発光分光 法 ( 成分 を調べる方法 です。) 試 しに使うものの中の塩素 を除 くために、 と硫酸 銀( 塩素 を除 くために使います) 水酸化 バリウムを使いました。
- 研究のまとめ:
-
この研究で、ICを使うことで、昔よりも
正確 に植物の中の を調べられるとわかりました。窒素 ( 植物の成長 に必要 な大事な元素 です。) 特 に、昔の方法 で問題だった汚 れの影響 が少なく、正確 に調べられました。この方法 は、特 に窒素 が少ない植物を調べるのにとても良 いです。
- これからどうする?:
-
これからは、もっと
純度 の高い液体 や薬品を使うことで、さらに正確 に調べられるようになることが期待されます。また、ICを使って他の植物や別 の環境 での の動きを調べることもできます。これにより、植物の窒素 ( 植物の成長 に必要 な大事な元素 です。) 成長 についてもっと理解 が深まります。農業や環境 の研究に役立つでしょう。さらに、窒素 以外 の成分 も調べることで、もっと多くのことがわかるようになります。植物の生理学や生態学 の新しい発見が期待されます。
- 著者名:
- 大山 卓爾
- 掲載誌名:
- 日本土壌肥料學雜誌
- 巻:
- 57
- 号:
- 5
- ページ:
- 503 - 505
- 発行日:
- 1986-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30548
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