論文詳細
医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
完全閉じ込め状態(communication stage V)に至った筋萎縮性側索硬化症例の臨床病理学的特徴
- AI解説:
- 気管切開下人工呼吸(tracheostomy with invasive ventilation: TIV)に依存するようになった筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)の患者は、時間の経過とともに非言語コミュニケーション手段が次第に限られていくことが多い。著者らは以前、進行ALSにおけるコミュニケーション能力を5段階に分類する枠組みを提案しており、コミュニケーションStage Vは「あらゆる手段でコミュニケーションができない」状態を指し、臨床的には「totally locked-in state」に相当する。先行研究では、急速な機能低下の後にStage Vへ至る患者がいること、また一部ではTIVがより早期に必要となることや、家族性ALSあるいは遺伝子変異との関連が示唆されていた。しかし、Stage Vに関する既存の神経病理学的知見は孤立した症例報告に大きく依存しており、大脳皮質の関与(比較的保たれているものから著明な脳萎縮まで)や病変分布に関する報告は不均一であった。そこで本研究は、コミュニケーションStage Vへ進行したALS患者について、臨床病理学的および免疫組織化学的特徴を包括的に記述し、共通する病変パターンを明らかにするとともに、大脳皮質病理が蓄積タンパク質(pTDP-43、FUS、SOD1)の種類とどのように関係するかを検討することを目的とした。
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医歯学系
大学院医歯学総合研究科(医)
#学位論文
完全閉じ込め状態(communication stage V)に至った筋萎縮性側索硬化症例の臨床病理学的特徴
AI解説
- 背景と目的:
-
気管切開下人工呼吸(tracheostomy with invasive ventilation: TIV)に依存するようになった筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis: ALS)の患者は、時間の経過とともに非言語コミュニケーション手段が次第に限られていくことが多い。著者らは以前、進行ALSにおけるコミュニケーション能力を5段階に分類する枠組みを提案しており、コミュニケーションStage Vは「あらゆる手段でコミュニケーションができない」状態を指し、臨床的には「totally locked-in state」に相当する。先行研究では、急速な機能低下の後にStage Vへ至る患者がいること、また一部ではTIVがより早期に必要となることや、家族性ALSあるいは遺伝子変異との関連が示唆されていた。しかし、Stage Vに関する既存の神経病理学的知見は孤立した症例報告に大きく依存しており、大脳皮質の関与(比較的保たれているものから著明な脳萎縮まで)や病変分布に関する報告は不均一であった。そこで本研究は、コミュニケーションStage Vへ進行したALS患者について、臨床病理学的および免疫組織化学的特徴を包括的に記述し、共通する病変パターンを明らかにするとともに、大脳皮質病理が蓄積タンパク質(pTDP-43、FUS、SOD1)の種類とどのように関係するかを検討することを目的とした。
- 主要な発見:
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臨床的には、ほぼ全例でALSは成人期に発症しており(FUSの1例を除く)、多くは発症から24か月以内にTIVを要した(10/11)。一方で、1例は56か月でTIVを要しており、TIVが遅いことが必ずしもStage Vへの進行を妨げないことが示された。全例が完全四肢麻痺へ進行し、その後、重度の眼球運動障害が進行して最終的に完全眼筋麻痺に至った。Stage V直前には、コミュニケーションは眼球運動のみに完全に依存していた。
神経病理学的には、蓄積タンパク質が異なっていても(pTDP-43が6例、FUSが2例、SOD1が3例)、全例で上位・下位運動ニューロンの重度変性に加え、黒質、淡蒼球、視床下核、脳幹網様体(brainstem reticular formation)の顕著な障害が共通してみられ、さらに小脳遠心系(歯状核、上小脳脚、赤核)にも軽度〜重度の変性が認められた。大脳萎縮の程度は症例間でばらつきがあり(脳重量610–1395 g;平均1032.3 g)、4例で重度の萎縮(<1000 g)がみられた。視覚路(視神経/視索/視放線、外側膝状体、ならびに概ね一次視覚野〔striate cortex〕)は、症例全体として比較的保たれていた。
大脳皮質の病変パターンはタンパク質タイプで異なった。pTDP-43例はtype Bであり、海馬の歯状回顆粒細胞にneuronal cytoplasmic inclusions(NCI)が出現するかどうかで亜分類された。歯状回顆粒細胞にNCIがある群では側頭葉/海馬および皮質の変性がより広範であることと関連し、歯状回の関与がない群では、明確な神経細胞脱落を伴わない、より限局した前頭葉病理がみられた。SOD1例では、NCIはまれで、運動野以外の皮質は概ね保たれており、Stage Vには広範な大脳皮質病変が必須ではないという著者らの見解を支持した。
- 方法論:
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著者らは、コミュニケーションStage Vへ進行した日本人ALS患者を対象に、後ろ向きの臨床病理学的剖検研究を行った。神経病理学的にALSと確定した剖検320例(東京都立神経病院:1980–2012年の150例;新潟大学:1963–2012年の170例)から、Stage V患者11例(3.4%)を同定した。臨床経過の把握のため診療録をレビューし、特に、Stage V以前に認知または行動障害が記録されていた症例はなく、また病期中に無酸素性イベント(例:人工呼吸器の事故、窒息、あるいは血圧<80 mmHgを伴うショック)の臨床的証拠もなかった。
11例全て(既報例を含む)に対し、標準化した神経病理学的再評価を実施し、免疫組織化学の一貫した基準により、蓄積タンパク質をpTDP-43、FUS、SOD1に対する免疫反応性NCIとして分類した。脳と脊髄はホルマリン(20%)固定後にパラフィン包埋し、hematoxylin and eosin染色およびKlüver–Barrera染色を用い、必要に応じてBodian染色とHolzer染色も行った。免疫組織化学では広範な神経解剖学的領域をサンプリングし、pTDP-43(pS409/410)、FUS、SOD1に対する抗体を用い、必要に応じてAT8(phosphorylated tau)、α-synuclein、ubiquitinも用いた。抗原賦活化にはマイクロ波処理を用い、streptavidin–biotin法で可視化した。変性(神経細胞脱落とグリオーシス)およびNCI頻度は、事前に定めた順序尺度に基づき、2名の神経病理医が半定量的にスコア化した。
- 結論と意義:
-
本研究は、コミュニケーションStage Vへ進行するALS患者は剖検ALS全体の中では稀(3.4%)であるものの、皮質脊髄路および下位運動ニューロン系を超えた共通の病変のまとまりを示すと結論づけた。pTDP-43、FUS、SOD1の各サブグループに共通して、pallido–nigro–luysian system(淡蒼球、黒質、視床下核)と脳幹網様体に重度の変性がみられ、これに小脳遠心系(歯状核、上小脳脚、赤核)の変性が加わっていた。著者らは、Stage Vへ進行しなかったTIV依存ALS患者の報告との比較に基づき、pallido–nigro–luysian変性のみでは不十分であり、Stage Vには脳幹網様体と小脳遠心系の追加の関与が必要である可能性が高いと論じている。重要な点として、大脳皮質変性の程度が症例間で変動し、とくにSOD1例で大脳が相対的に保たれていたことは、totally locked-in stateへの進行に大脳皮質の関与が必須ではないという主張を支持する。さらに本論文は、前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration: FTLD)との鑑別上の切り分けも強調している。すなわち、コミュニケーション喪失後は認知評価が制限されるものの、Stage V以前に臨床的な認知/行動障害を示した患者はおらず、病理学的にもFTLD所見は一貫して存在したわけではなかった。
- 今後の展望:
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著者らは、共通する病変部位の同定が、深刻なコミュニケーション不全へ進行するリスクをもつALS患者の把握に役立つ可能性があると提案する。錐体外路系および非運動系の関与を反映する症状に臨床的注意を向け、共有される病変ネットワーク(とくにpallido–nigro–luysian構造、脳幹網様体、小脳遠心路)を標的とした画像評価を組み合わせることで、コミュニケーション障害の予測が改善し得るとしており、特に発症からTIVまでの進行が速い患者で有用である可能性を示唆している。あわせて未解決の課題として、主要部位で重度の神経細胞脱落が生じていたため、NCI量と神経変性との正確な相関づけが制限された点を挙げ、Stage VのALSにおけるタンパク質凝集と組織脱落の時間的・領域的関係を明らかにする追加研究が必要だとしている。さらに、タンパク質タイプ間、ならびにpTDP-43例のうち海馬歯状回顆粒細胞NCIの有無で層別化した場合にも皮質関与が不均一であったことから、より大規模で体系的に特徴づけられたコホートにより、臨床病理学的サブタイピングを精緻化し、Stage Vへ至る臨床経過に最も密接に対応する病変パターンを特定することの有用性が示される。
- 背景と目的:
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の患者さんの中には、気管切開をして人工呼吸器を使う状態(TIV)になる人がいます。病気が進むと体を動かしにくくなり、言葉を使わない方法での意思疎通も、だんだんできることが減っていきます。筋萎縮性側索硬化症(ALS) ( 運動ニューロンが少しずつ壊れていき、筋力低下や麻痺が進む病気です。体を動かす力が失われていくのが特徴で、重症化すると話すことや呼吸も難しくなります。)
研究グループは以前、ALSの人のコミュニケーション能力を5段階に分け、Stage Vを「どんな方法でもコミュニケーションできない状態」としました。これは臨床的には、意識はあるのに体も目も動かせず意思表示ができない「 」にあたります。totally locked-in state ( 意識はあるのに、手足だけでなく目の動きも含めて自分で動かせず、外に意思を伝えられない状態です。医療や支援方法を考えるうえで重要な概念です。)
ただ、Stage Vになった人の脳の変化については、症例報告が中心で情報が少なく、特に大脳皮質(考える・感じるなどに関わる部分)がどれくらい傷むかは報告がばらばらでした。そこでこの研究では、Stage Vまで進んだALS患者の臨床経過と、剖検でわかった脳・脊髄の特徴をまとめ、共通して起こりやすい障害のパターンを調べました。また、たまるタンパク質の種類( 、pTDP-43 ( ALSなどで異常にたまりやすいTDP-43というタンパク質のうち、リン酸化された型です。どの部位にたまるかが病気のタイプ分けに関係します。) 、FUS ( ALSの一部で異常にたまるタンパク質で、遺伝子変異と関係することもあります。症例によって大脳の変化の出方が異なる点が重要です。) )と大脳皮質の変化の関係も調べました。SOD1 ( ALSの一部で関係するタンパク質で、遺伝子変異が原因になるタイプが知られています。この研究では、大脳皮質が比較的保たれる例が多い点が注目されました。)
- 主要な発見:
-
臨床面では、ほとんどが大人になってから発症し、多くの患者さんは発症から24か月以内にTIVが必要になっていました。ただし、TIVまで56か月かかった人もいて、TIVが遅くてもStage Vを防げるとは限らないことが示されました。全員が完全に手足を動かせない状態になり、その後、目の動きが大きく悪化して、最終的に目の筋肉も動かせない状態になりました。Stage Vの直前は、コミュニケーションが目の動きだけに完全に頼っていました。
病理(剖検)では、たまるタンパク質の種類が違っていても、共通して強く傷んでいた場所がありました。具体的には、運動ニューロン(上位・下位)の強い障害に加えて、 、黒質 ( 脳の深い部分で、運動の調整に関わります。障害されると動きの問題が起こりやすく、Stage Vの共通病変として重要視されました。) 、淡蒼球 ( 大脳の深部にある運動調節の中枢の一つです。動きのスムーズさに関わり、共通して強い変性がみられました。) 、視床下核 ( 運動の調節に関わる脳の部位です。ここが傷むこともStage Vの共通点として報告されました。) が目立って障害されていました。また、脳幹網様体 ( 脳幹に広がる神経のネットワークで、覚醒、姿勢、さまざまな基本機能の調整に関わります。Stage Vに進むにはこの部位の障害が重要かもしれないと議論されています。) (小脳遠心系 ( 小脳から外へ情報を出して運動を調整する通り道のまとめです。歯状核、上小脳脚、赤核などが含まれ、Stage Vではここにも変性がみられました。) 、歯状核 ( 小脳の中にある核で、運動の細かな調整に関わります。小脳遠心系の中心として調べられました。) 、上小脳脚 ( 小脳から脳幹や大脳へ信号を送る主要な通路です。小脳遠心系の一部として変性が評価されました。) )にも軽いものから重いものまで変性がみられました。赤核 ( 中脳にある運動関連の核で、運動調節に関わります。小脳からの情報が関係する部位として重要です。)
一方で、大脳全体のやせ方(萎縮)は人によって差があり、重い萎縮の人もいれば、比較的保たれている人もいました。視覚に関わる通り道や一次視覚野は、全体として比較的保たれていました。
大脳皮質の変化の出方は、たまるタンパク質のタイプで違いました。 のグループでは、海馬の歯状回にNCIがあるかどうかで、側頭葉や海馬を含む広い変性が起きやすいか、前頭葉中心で限られた変化になりやすいかが分かれました。pTDP-43 ( ALSなどで異常にたまりやすいTDP-43というタンパク質のうち、リン酸化された型です。どの部位にたまるかが病気のタイプ分けに関係します。) のグループでは、運動野以外の大脳皮質が比較的保たれている例が多く、Stage Vになるために広い大脳皮質の障害が必ず必要とは言えないことが示唆されました。SOD1 ( ALSの一部で関係するタンパク質で、遺伝子変異が原因になるタイプが知られています。この研究では、大脳皮質が比較的保たれる例が多い点が注目されました。)
- 方法論:
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日本人のALS患者の剖検例320例の中から、
まで進行した11例(3.4%)を見つけ、後ろ向きに診療録と剖検脳を調べました。Stage Vになる前に認知や行動の障害が記録されていた人はいませんでした。また、窒息や人工呼吸器の事故などの無酸素状態を疑う出来事も、臨床記録上はありませんでした。コミュニケーションStage V ( ALSの進行で意思表示の手段が失われ、「どんな方法でもコミュニケーションできない」段階です。臨床ではtotally locked-in stateに相当します。)
剖検材料は同じ基準で再評価され、 によって、どのタンパク質(免疫組織化学 ( 組織切片に抗体を使い、特定のタンパク質がどこにあるかを染め分けて調べる方法です。どの異常タンパク質がたまっているかの確認に使われます。) 、pTDP-43 ( ALSなどで異常にたまりやすいTDP-43というタンパク質のうち、リン酸化された型です。どの部位にたまるかが病気のタイプ分けに関係します。) 、FUS ( ALSの一部で異常にたまるタンパク質で、遺伝子変異と関係することもあります。症例によって大脳の変化の出方が異なる点が重要です。) )が神経細胞内にたまっているかをNCIとして分類しました。脳と脊髄を染色して、神経細胞の減少やSOD1 ( ALSの一部で関係するタンパク質で、遺伝子変異が原因になるタイプが知られています。この研究では、大脳皮質が比較的保たれる例が多い点が注目されました。) の程度、NCIの出現頻度を、2人の専門医が段階的に評価しました。グリオーシス ( 神経細胞が傷んだ場所で、グリア細胞が増えて反応する状態です。脳がダメージを受けた証拠として病理でよく使われます。)
- 結論と意義:
-
Stage Vまで進むALSは剖検例全体の中では少ないものの、共通して強く障害される部位のまとまりがあると結論づけられました。具体的には、
・淡蒼球 ( 大脳の深部にある運動調節の中枢の一つです。動きのスムーズさに関わり、共通して強い変性がみられました。) ・黒質 ( 脳の深い部分で、運動の調整に関わります。障害されると動きの問題が起こりやすく、Stage Vの共通病変として重要視されました。) からなる領域と視床下核 ( 運動の調節に関わる脳の部位です。ここが傷むこともStage Vの共通点として報告されました。) が重く傷み、さらに脳幹網様体 ( 脳幹に広がる神経のネットワークで、覚醒、姿勢、さまざまな基本機能の調整に関わります。Stage Vに進むにはこの部位の障害が重要かもしれないと議論されています。) の変性が加わることが共通していました。小脳遠心系 ( 小脳から外へ情報を出して運動を調整する通り道のまとめです。歯状核、上小脳脚、赤核などが含まれ、Stage Vではここにも変性がみられました。)
また、他の研究で「TIVになってもStage Vまで進まなかったALS」の剖検所見と比べると、淡蒼球・黒質・視床下核の障害だけではStage Vには足りず、脳幹網様体と小脳遠心系の障害が追加で関わることが重要かもしれない、と述べています。
さらに、大脳皮質の傷み方は症例ごとの差が大きく、特に では大脳が比較的保たれていたため、「SOD1 ( ALSの一部で関係するタンパク質で、遺伝子変異が原因になるタイプが知られています。この研究では、大脳皮質が比較的保たれる例が多い点が注目されました。) 」への進行に大脳皮質の強い障害が必須とは限らない、という見方を支える結果になりました。加えて、totally locked-in state ( 意識はあるのに、手足だけでなく目の動きも含めて自分で動かせず、外に意思を伝えられない状態です。医療や支援方法を考えるうえで重要な概念です。) との区別も重要で、Stage V以前に認知・行動の問題が目立った患者はおらず、病理でもFTLDの所見がいつもそろって見られたわけではありませんでした。前頭側頭葉変性症(FTLD) ( 前頭葉や側頭葉が変性し、性格変化や言語障害などが起こりうる病気のグループです。ALSの一部と似た病理が出ることがあり、区別が重要になります。)
- 今後の展望:
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共通する障害部位がわかれば、将来、深刻なコミュニケーション障害に進みやすいALS患者を早めに見つける手がかりになる可能性があります。特に、
や非運動系の関わりを示す症状に注意し、錐体外路系 ( 運動をなめらかに調節する神経回路の総称で、淡蒼球や黒質などが関わります。障害されると運動の調整が崩れ、ALSの重症化の理解にも関係します。) ・淡蒼球 ( 大脳の深部にある運動調節の中枢の一つです。動きのスムーズさに関わり、共通して強い変性がみられました。) ・黒質 ( 脳の深い部分で、運動の調整に関わります。障害されると動きの問題が起こりやすく、Stage Vの共通病変として重要視されました。) 、視床下核 ( 運動の調節に関わる脳の部位です。ここが傷むこともStage Vの共通点として報告されました。) 、脳幹網様体 ( 脳幹に広がる神経のネットワークで、覚醒、姿勢、さまざまな基本機能の調整に関わります。Stage Vに進むにはこの部位の障害が重要かもしれないと議論されています。) を画像検査などで評価することで、予測の精度が上がるかもしれないとしています。小脳遠心系 ( 小脳から外へ情報を出して運動を調整する通り道のまとめです。歯状核、上小脳脚、赤核などが含まれ、Stage Vではここにも変性がみられました。)
一方で、重い があるため、NCIの量と神経変性の関係を正確に比べにくいという限界もあり、タンパク質の凝集と組織の傷みが「いつ・どこで」起きるのかをより詳しく調べる研究や、より大人数のデータで病型の整理を進める研究が必要だと述べています。神経細胞脱落 ( 神経細胞が失われて数が減ることです。症状の進行や回復しにくさに関わる重要な変化です。)
- 何のために?:
-
は、体が動きにくくなる病気です。ALS ( 体を動かす神経 が少しずつこわれて、手足や話すことや息をすることがむずかしくなる病気の名前です。病気を正しく知るために大切です)
病気が進むと、息を助ける機械 を使います。
のどに穴 をあける手術 をする人もいます。
さらに進むと、気もちを伝 えにくいです。
目の動きなどでも、伝 えにくくなります。
研究では、伝 える力を5だんかいにしました。
は、何もStage V ( 研究で決めた進み方の「だんかい」の名前で、何も気もちを伝 えられない状態 をさします。今どのくらい進んでいるかをそろえて考えるために重要 です) 伝 えられない状態 です。
意識 はあるのに、体も目も動きません。
でも、Stage Vの脳 の変化 はよく不明 でした。
人によって、報告 がばらばらでした。
そこで、Stage Vの人の体と脳 を調べました。
共通 するこわれ方を見つけるためです。
また、たまる のたんぱく ( 体の中にある大事な成分 で、細胞 を作ったりはたらかせたりします。病気のときに特定 のたんぱくがたまることがあり、原因 や種類 のちがいを考える手がかりになります) 違 いも調べました。
- 何が分かったの?:
-
多くの人は、大人になってから発病しました。
多くは、2年以内 に機械 が必要 でした。
でも、もっと時間がかかった人もいました。
ゆっくりでも、 をふせげません。Stage V ( 研究で決めた進み方の「だんかい」の名前で、何も気もちを伝 えられない状態 をさします。今どのくらい進んでいるかをそろえて考えるために重要 です)
みんな、手足がまったく動かなくなりました。
そのあと、目の動きもどんどん悪くなりました。
最後 は、目の筋肉 も動きませんでした。
Stage Vの少し前は、目だけで伝 えていました。
体を見たあと、強くこわれた場所がありました。
のたんぱく ( 体の中にある大事な成分 で、細胞 を作ったりはたらかせたりします。病気のときに特定 のたんぱくがたまることがあり、原因 や種類 のちがいを考える手がかりになります) 種類 がちがっても同じでした。
動かす が、とてもこわれていました。神経 ( 体を動かす命令 や、感じたことの情報 を伝 える体の中の線のようなものです。どこがこわれると何ができなくなるかを知るのに必要 です)
それ以外 にも、深い場所がこわれていました。
という場所にも、こわれがありました。小脳 ( 脳 の一部で、体の動きの調整やバランスに関係 します。ここがこわれると動きがうまくできなくなるため重要 です)
でも、 のやせ方は人でちがいました。大脳 ( 考えることや話すこと、感じることなどに関係 する脳 の大きな部分です。人によってこわれ方がちがう理由を考えるために重要 です)
ひどくやせた人も、元気な人もいました。
目で見る道や場所は、わりと保 たれました。
大脳 のこわれ方は、たんぱくでちがいました。
あるたんぱくでは、広くこわれる人もいました。
別 のたんぱくでは、こわれが少ない人もいました。
広い大脳 のこわれが、必 ずではなさそうです。
- どうやったの?:
-
日本人の
で、体を見たALS ( 体を動かす神経 が少しずつこわれて、手足や話すことや息をすることがむずかしくなる病気の名前です。病気を正しく知るために大切です) 例 が320ありました。
その中で、 まで進んだ人は11人でした。Stage V ( 研究で決めた進み方の「だんかい」の名前で、何も気もちを伝 えられない状態 をさします。今どのくらい進んでいるかをそろえて考えるために重要 です)
研究チームは、前の記録 をくわしく見ました。
体を見た脳 や も、調べ直しました。せきずい ( 背中 の中にある太い神経 の通り道で、脳 と体をつなぎます。体が動かなくなる理由を調べるのに大切です)
Stage V前に、考えの問題はありませんでした。
息が止まる事故 なども、記録 にありませんでした。
脳 の に、何の細ぼう ( 体を作る小さな部品で、神経 も細ぼうの一種 です。細ぼうがへると体のはたらきが弱くなるので重要 です) があるか調べました。たんぱく ( 体の中にある大事な成分 で、細胞 を作ったりはたらかせたりします。病気のときに特定 のたんぱくがたまることがあり、原因 や種類 のちがいを考える手がかりになります)
2人の先生が、こわれ方をだんかいで決めました。
- 研究のまとめ:
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まで進む人は、数は少ないです。Stage V ( 研究で決めた進み方の「だんかい」の名前で、何も気もちを伝 えられない状態 をさします。今どのくらい進んでいるかをそろえて考えるために重要 です)
でも、よくこわれる場所に共通点 がありました。
脳 の深い場所と、 が強くこわれていました。脳幹 ( 脳 の奥 にある部分で、呼吸 や飲みこみなど生きるための大切なはたらきに関係 します。ここがこわれると命に関 わるため重要 です)
さらに、 につながる道もこわれていました。小脳 ( 脳 の一部で、体の動きの調整やバランスに関係 します。ここがこわれると動きがうまくできなくなるため重要 です)
ほかの研究と比 べると、大事な点が見えました。
深い場所だけでは、Stage Vにならないかもです。
脳幹 や小脳 のこわれも、関係 しそうです。
のこわれは、人によって大きくちがいました。大脳 ( 考えることや話すこと、感じることなどに関係 する脳 の大きな部分です。人によってこわれ方がちがう理由を考えるために重要 です)
大脳 があまりこわれなくても、進む人がいました。
だから、大脳 の強いこわれは必 ずではありません。
また、べつの病気との見分けも大切です。
Stage V前に、行動の問題が目立つ人はいません。
- これからどうする?:
-
共通 するこわれる場所が分かると役立ちます。
重い伝 えにくさの前に、見つけられるかもです。
体の動き以外 のサインにも、気をつけます。
で、深い場所を見られるかもしれません。検査 の画像 ( 体の中を写真のように見て調べる方法 です。手術 をしなくても脳 の変化 を見つける手がかりになるため重要 です)
そうすれば、予想が当たりやすくなるかもです。
ただ、調べにくい点もあります。
がへると、細ぼう ( 体を作る小さな部品で、神経 も細ぼうの一種 です。細ぼうがへると体のはたらきが弱くなるので重要 です) のたんぱく ( 体の中にある大事な成分 で、細胞 を作ったりはたらかせたりします。病気のときに特定 のたんぱくがたまることがあり、原因 や種類 のちがいを考える手がかりになります) 量 を比 べにくいです。
いつ、どこでこわれるかも、もっと知りたいです。
だから、もっと多い人数での研究が必要 です。
