論文詳細
自然科学系
理学部
#紀要論文
Cenozoic biostratigraphy, chronostratigraphy and paleoceanography in the Boso Peninsula and Bandai Volcano in the Aizu region, East Japan
- AI解説:
- 本論文は、地質学的にも社会的にも注目度の高い2つの地域である房総半島(千葉県)と磐梯火山(福島県会津地域)に焦点を当て、東日本における新生代の主要な層序学的・古海洋学的記録を紹介する。房総半島では、第四紀の急速な隆起と強い侵食により、北米プレート・フィリピン海プレート・太平洋プレートが相互作用する、世界的にも珍しい三重点近傍の海溝—前弧系に関連した上部新生代の海成堆積物が、陸上で例外的に良好に露出している。これらの地層には、中期中新世から更新世にかけての堆積学・微化石学・古地磁気層序学の記録が保存されており、下部/中部更新統境界(および提案されている「チバニアン期(Chibanian Stage)」)の定義に関わる、Matuyama–Brunhes極性反転をまたぐ高品質な記録も含まれる。微化石には、黒潮と親潮の影響の変化に結びつく低緯度要素と寒帯(boreal)要素がともに含まれるため、これらの層序は、中期中新世以降の中緯度西部太平洋の古海洋学を復元するための資源としても位置づけられる。磐梯火山については、噴火史と山体崩壊史(1888年の災害を含む)を位置づけるとともに、岩屑なだれによる地形発達、およびそれに続く環境・文化への影響を強調しながら、磐梯山ジオパークの教育・保全目標を提示する。
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自然科学系
理学部
#紀要論文
Cenozoic biostratigraphy, chronostratigraphy and paleoceanography in the Boso Peninsula and Bandai Volcano in the Aizu region, East Japan
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、地質学的にも社会的にも注目度の高い2つの地域である房総半島(千葉県)と磐梯火山(福島県会津地域)に焦点を当て、東日本における新生代の主要な層序学的・古海洋学的記録を紹介する。房総半島では、第四紀の急速な隆起と強い侵食により、北米プレート・フィリピン海プレート・太平洋プレートが相互作用する、世界的にも珍しい三重点近傍の海溝—前弧系に関連した上部新生代の海成堆積物が、陸上で例外的に良好に露出している。これらの地層には、中期中新世から更新世にかけての堆積学・微化石学・古地磁気層序学の記録が保存されており、下部/中部更新統境界(および提案されている「チバニアン期(Chibanian Stage)」)の定義に関わる、Matuyama–Brunhes極性反転をまたぐ高品質な記録も含まれる。微化石には、黒潮と親潮の影響の変化に結びつく低緯度要素と寒帯(boreal)要素がともに含まれるため、これらの層序は、中期中新世以降の中緯度西部太平洋の古海洋学を復元するための資源としても位置づけられる。磐梯火山については、噴火史と山体崩壊史(1888年の災害を含む)を位置づけるとともに、岩屑なだれによる地形発達、およびそれに続く環境・文化への影響を強調しながら、磐梯山ジオパークの教育・保全目標を提示する。
- 主要な発見:
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房総半島について本論文は、地域を(i)前弧海盆堆積物が卓越する北部(安房層群・上総層群・下総層群)、(ii)オフィオライト複合体とそれに伴う付加体の岩石を特徴とする嶺岡構造帯、(iii)中新世〜鮮新世の付加体と海溝斜面被覆堆積物(例:南房総層群・千倉層群・豊房層群)を含む南部、の3区分に分けた層序枠組みを総合して示す。年代範囲と堆積環境がよく制約されている点が強調され、安房層群(16–3 Ma;層厚約3,000 m)には、厚い半遠洋性(hemipelagic)の区間(天津層;層厚約1,000 m;12–5.5 Ma)が含まれ、番号付きの多数の火山灰層(AM1–AM98)や、複数の微化石群にわたる広範な既往の生層序研究がある。上総層群(2.4–0.45 Ma;養老川沿いに約3,000 mが露出)は、深海から浅海化へ至る堆積進化を保存し、Matuyama–Brunhes遷移の最重要級の記録を提供する。田淵セクション(国本層、上総層群)では、極性遷移が堆積速度の高い層序(200 cm/kiloyear)中に位置づけられ、酸素同位体層序と対比され、MIS 19内に入る可能性が示唆される。さらに、遷移直下のByakubi-EテフラのU–Pb年代測定により、極性境界が770.2 ±7.3 kaとして較正されたことが述べられる。天津層の放散虫に関する予備的研究では、95タクサが同定され、そのうち温暖水タクサ17、冷水タクサ12が認められ、温流と寒流の双方の影響を受ける温帯的環境の証拠と解釈されている。温暖水タクサの変動は、12.5 Ma、11.5〜10.5 Ma、9.5〜8.5 Maに黒潮が強化した時期を推定するために用いられる。また本論文は、構造的に複雑なユニットから得られた微化石年代(例:保田層群の前期中新世放散虫、西崎層の後期中新世放散虫)を示し、海溝斜面過程の例(例:畑層におけるスランプとカオティック堆積物、野島崎で海溝堆積物と解釈されるチャネル充填礫岩)も提示する。磐梯火山については、テフロクロノロジーに基づく歴史として、約70万年前に活動が開始したこと、約5万年前にプリニー式噴火と岩屑なだれに関連した大規模崩壊が起こり、天然の堰き止めによる猪苗代湖の形成と結びつくこと、そして1888年の水蒸気爆発により小磐梯が崩壊し、死者477名を生じ、多数の堰止湖と特徴的な流れ山(「Nagare-yama」)地形が形成されたことが要約される。
- 方法論:
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本論文は、フィールドガイド様式の総合として構成され、既刊の層序学・微古生物学・古地磁気層序学・テフロクロノロジー・地形学研究を、限られた新規または「予備的」な微化石観察と組み合わせている。房総半島では、複数の化石群(浮遊性有孔虫、石灰質ナンノ化石、放散虫、珪藻)と、対比手法(鍵となるテフラ層および古地磁気層序)を用いた統合層序が重視される。田淵セクションの価値は、Matuyama–Brunhes遷移にわたる高密度の磁極性サンプリング、有孔虫殻を用いた酸素同位体年代学との対比、そしてByakubi-Eテフラの放射年代(U–Pb)測定による極性境界の較正、という観点から述べられる。古海洋学的解釈は、放散虫群集の組成と、温暖水タクサと冷水タクサの相対的存在量変動に依拠しており、Sawada et al.(2009)の先行研究で採取された試料(天津層)に基づく予備的作業や、田淵で進行中の放散虫研究を含む。堆積学的・構造地質学的解釈は、観察された岩相(半遠洋性泥岩、フリッシュ互層、海底扇状地堆積物)、不整合(黒滝不整合)、および付加体ユニットにおける変形構造(断層・褶曲・衝上・繰り返し)から導かれる。磐梯火山では、噴火史は主としてテフロクロノロジーと、山体崩壊・岩屑なだれ堆積物・堰き止め・流れ山内部構造(例:基質支持のブロック、「jigsaw cracks」)に関する地形学的証拠から示され、運搬されたブロック(Mine-no-Oishi:高さ3.1 m、長さ8.2 m)についての測定値が選択的に提示される。各見学地点(field stops)は、これらのデータセットが現地(in situ)でどのように観察されるかを示すための構成枠組みとして機能する。
- 結論と意義:
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本論文は房総半島を、厚く微化石に富む海成層序、発達したテフラ層序、高解像度の磁極性記録を併せ持つ点から、上部新生代における前弧および海溝斜面の発達史を示す国際的に重要な陸上アーカイブとして位置づける。より広い意義として最も明確に述べられているのは年代層序学であり、田淵セクションは、高堆積速度の深海層序に詳細なMatuyama–Brunhes遷移を保存し、酸素同位体層序への独立な整合(MIS 19内という示唆)と、関連テフラのU–Pb年代測定による数値較正(境界が770.2 ±7.3 ka)を備えることから、下部/中部更新統のGSSP有力候補として提示される。古海洋学の面では、房総の層序が、低緯度要素と高緯度要素の寄与が時間とともに変化することを微化石群集が記録し、それが黒潮・親潮の影響変化と整合的であるため、とりわけ有益だと論じられる。中新世の天津層における予備的放散虫結果は、そのような群集情報が海流強度の解釈へと翻訳され得ることを示す例として用いられる。さらに本論文は、変形により層序が複雑化する嶺岡帯および房総南部において、付加体や海溝斜面海盆の履歴を年代決定し復元するうえで、微化石が有用である点を強調する。磐梯火山については、火山過程(プリニー式噴火、水蒸気爆発、山体崩壊)を、地形変化、災害(1888年の死者を含む)、そして磐梯山ジオパークを通じた現代の地質遺産保全・教育活動に結びつけることが意義として示される。
- 今後の展望:
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著者らが述べる現時点の欠落や進行中研究の議論から、いくつかの将来方向が明示または示唆されている。上総層群では、石灰質微化石の研究は進んでいる一方で、珪藻生層序は限定的で、放散虫研究は存在しないとされ、動植物相の特徴づけを進め古海洋学的解釈を強化するために、珪質微化石群集に関する大幅な研究拡充が求められている。田淵セクションに関して著者らは、既存の古地磁気層序と酸素同位体の枠組みに基づき、微化石に基づくより高解像度の研究によって、中期更新世の日本中部における詳細な古気候・古海洋復元が得られる見込みだと述べ、放散虫に基づく古海洋研究が同地点で開始されたことも報告している。房総南部の海溝斜面層序では、生層序学的制約が依然として弱いユニットが指摘され(例:白浜層は鮮新世と推定されるが専用の生層序研究がないと記述される)、年代の精密化と環境復元の改善に明確な余地があることが示される。磐梯火山についての将来志向の内容は分析的というより制度的であり、磐梯山ジオパーク協議会が火山の自然・文化資源の保全と活用に向けて取り組み、UNESCO Global Geopark Networkへの加盟を目指して努力していると述べられている。これは、火山の崩壊に起因する地形・環境進化を中心とした研究、普及(outreach)、遺産管理の継続的発展を含意する。
- 背景と目的:
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この論文は、東日本の地質の歴史を知るうえで特に重要な2つの場所、千葉県の房総半島と福島県会津地方の磐梯火山について紹介しています。
房総半島では、地面が持ち上がる動き(隆起)と川などによる削れ(侵食)のおかげで、海でたまった地層が陸上でよく見える状態になっています。しかもここは、3つの が関わる珍しい場所の近くで、プレート ( 地球表面をおおう硬い岩の板のような部分です。動くことで地震や火山、山脈や海溝の形成に関係します。) や海溝 ( 海の底にある細長く深いくぼみで、海洋プレートが大陸側のプレートの下に沈み込む場所にできます。大地震や火山活動と関係します。) (海溝の陸側)の環境でできた地層がまとまって観察できます。これらの地層には、中期中新世から前弧 ( 海溝と火山帯のあいだの地域で、沈み込み帯に特有の地形や地層が見られます。前弧海盆など、堆積物がたまりやすい場所を作ります。) までの堆積物や更新世 ( 第四紀のうち、約260万年前から約1万年前までの時代です。氷期と間氷期が繰り返され、地形や生物相が大きく変化しました。) 、地球磁場の変化の記録が残っています。特に、地球の磁場の向きが切り替わった出来事(微化石 ( 肉眼では見えないほど小さな化石で、海のプランクトンなどが多いです。種類の変化を使って年代を決めたり、海の環境を推定したりできます。) )をはっきり残す層があり、更新世の区切り(Matuyama–Brunhes極性反転 ( 地球磁場が逆向きから現在と同じ向きに切り替わった出来事で、約78万年前ごろに起きたとされます。更新世の区切りを決める重要な基準です。) の提案を含む)に関わる大切な資料になります。チバニアン期 ( 更新世の途中の時代区分として提案された名称で、房総半島の地層記録に基づく考え方です。地球規模の年代区分に関わるため重要です。)
また微化石の種類から、暖かい黒潮と冷たい親潮の影響が時代によってどう変わったかも読み取れるため、昔の海の環境を復元する材料にもなります。
磐梯火山では、噴火の歴史や山が崩れた歴史(1888年の災害を含む)を整理し、 でできた地形と、その後の自然環境や人々の暮らしへの影響を示しながら、磐梯山岩屑なだれ ( 山体崩壊で生じた大量の岩や土砂が、高速で広い範囲に流れ下る現象です。堰止湖や流れ山など独特の地形を作ります。) の教育や保全の考え方も述べています。ジオパーク ( 地形や地質の価値を守りながら、教育や観光にも生かす地域の取り組みです。自然災害の理解や地域の学びにもつながります。)
- 主要な発見:
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房総半島の地層と岩石は、大きく3つの地域に分けて説明されています。
北部は、 海盆でたまった海の地層が中心で、安房層群、上総層群、下総層群が見られます。嶺岡構造帯は、前弧 ( 海溝と火山帯のあいだの地域で、沈み込み帯に特有の地形や地層が見られます。前弧海盆など、堆積物がたまりやすい場所を作ります。) 複合体やオフィオライト ( もともと海の地殻や上部マントルの岩石が、陸上に持ち上がって見られるものです。昔の海洋プレートの性質を知る手がかりになります。) の岩石が特徴です。南部は、中新世から鮮新世の付加体や付加体 ( 海洋プレートが沈み込むとき、海底の堆積物などがはぎ取られて陸側に積み重なった岩体です。沈み込み帯の歴史を知る重要な材料です。) 斜面の堆積物、さらにそれをおおう地層(南房総層群、千倉層群、豊房層群など)を含みます。海溝 ( 海の底にある細長く深いくぼみで、海洋プレートが大陸側のプレートの下に沈み込む場所にできます。大地震や火山活動と関係します。)
安房層群は約1600万年前から約300万年前の地層で、とても厚く、半遠洋性の泥がたまった区間(天津層)を含みます。天津層には番号のついた多くの火山灰層があり、 を使った年代研究が数多く行われています。微化石 ( 肉眼では見えないほど小さな化石で、海のプランクトンなどが多いです。種類の変化を使って年代を決めたり、海の環境を推定したりできます。)
上総層群は約240万年前から約45万年前の地層で、深い海から浅い海へ変わっていく過程が読み取れます。特に養老川沿いの地層は、 の重要な記録を含みます。田淵セクションでは、地層がとても速くたまったため、磁場の切り替わりの前後が細かく追えること、酸素同位体の記録と比べられること、火山灰(Byakubi EMatuyama–Brunhes極性反転 ( 地球磁場が逆向きから現在と同じ向きに切り替わった出来事で、約78万年前ごろに起きたとされます。更新世の区切りを決める重要な基準です。) )の年代測定によって境界の年代が約77万年前と見積もられたことが示されています。テフラ ( 火山噴火で飛び散った火山灰や軽石などのことです。同じ噴火のテフラは広い地域に分布するため、地層どうしをつなぐ目印になります。)
天津層の の予備的な調査では、暖かい海を好む種類と冷たい海を好む種類の両方が見つかり、黒潮と親潮の両方の影響を受ける環境だった可能性が示されました。暖かい種類の増減から、黒潮が強まった時期の見積もりにもつながっています。放散虫 ( 海のプランクトンの一種で、ガラス質に近い殻を持ち、化石として残ります。海の水温や海流の影響を読み取る材料になります。)
また、地層が変形して複雑な場所でも、微化石の年代が手がかりになり、海溝斜面での地層の動きや堆積のしかた(地滑りで崩れた地層や乱れた堆積物、海溝に流れ込んだと考えられる礫岩など)を示す例が挙げられています。
磐梯火山については、約70万年前に活動が始まり、約5万年前に大きな噴火と が起きて山体崩壊 ( 火山などの山の一部が大きく崩れる現象です。大規模な災害や地形変化につながります。) が広がり、川がせき止められて猪苗代湖の形成と関係したこと、1888年には岩屑なだれ ( 山体崩壊で生じた大量の岩や土砂が、高速で広い範囲に流れ下る現象です。堰止湖や流れ山など独特の地形を作ります。) で小磐梯が崩れて大きな被害が出たこと、さらに水蒸気爆発 ( 地下水が急に加熱されて水蒸気になり、岩石を吹き飛ばす爆発です。マグマが直接出なくても起きることがあり、危険性が高い噴火です。) や堰止湖 ( 土砂や岩屑が川をせき止めてできる湖です。火山災害の後に生まれることが多く、その後の地域環境を大きく変えます。) といった特徴的な地形ができたことがまとめられています。流れ山 ( 岩屑なだれで運ばれた大きな土砂のかたまりが、丘のように残った地形です。岩屑なだれが起きた証拠として重要です。)
- 方法論:
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この論文は現地見学のガイドのような形で、これまでの研究結果を整理し、そこに少しの新しい観察(主に予備的な
観察)を加えています。微化石 ( 肉眼では見えないほど小さな化石で、海のプランクトンなどが多いです。種類の変化を使って年代を決めたり、海の環境を推定したりできます。)
房総半島では、複数の微化石( 、浮遊性有孔虫 ( 海に浮かんで生活する小さな生物で、殻が化石として残ります。年代決定や水温推定、酸素同位体研究に使われます。) 、石灰質ナンノ化石 ( とても小さな藻類が作る石灰質の殻の化石です。広い海に分布しやすく、地層の年代を細かく決めるのに役立ちます。) 、放散虫 ( 海のプランクトンの一種で、ガラス質に近い殻を持ち、化石として残ります。海の水温や海流の影響を読み取る材料になります。) )を組み合わせ、火山灰層や地磁気の記録を使って地層をつなげる方法が重視されています。田淵セクションでは、磁場の向きの変化を細かく測り、同じ地層から得た有孔虫の殻で酸素同位体の記録と比べ、さらに火山灰を放射年代測定して境界の年代を決める流れが重要だとされています。珪藻 ( ガラス質の殻を持つ藻類で、化石として残りやすいです。海や湖の環境、特に水温や栄養状態の推定に役立ちます。)
古海洋の解釈は、放散虫などの微化石の種類の組み合わせや、暖かい海の種類と冷たい海の種類の割合の変化から行われます。
堆積や地層の変形については、岩石の特徴、地層の切れ目、 、断層や褶曲などの観察から説明されます。不整合 ( 地層のつながりが途中で切れていて、堆積していない期間や削られた期間があることを示す境界です。地形変化や地殻変動の証拠になります。)
磐梯火山では、火山灰を使った年代の考え方に加えて、 や山体崩壊 ( 火山などの山の一部が大きく崩れる現象です。大規模な災害や地形変化につながります。) が作った堆積物や地形の特徴、運ばれた大きな岩の測定などを根拠に、噴火史や地形発達が説明されています。岩屑なだれ ( 山体崩壊で生じた大量の岩や土砂が、高速で広い範囲に流れ下る現象です。堰止湖や流れ山など独特の地形を作ります。)
- 結論と意義:
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房総半島は、厚い海成の地層があり、
が豊富で、火山灰の層が多く、地球磁場の記録も細かく残っているため、上部微化石 ( 肉眼では見えないほど小さな化石で、海のプランクトンなどが多いです。種類の変化を使って年代を決めたり、海の環境を推定したりできます。) の新生代 ( 地球史の中で比較的新しい時代で、およそ6600万年前から現在までを指します。哺乳類が発達し、現在の地形や海の環境に近づいていった時代です。) や前弧 ( 海溝と火山帯のあいだの地域で、沈み込み帯に特有の地形や地層が見られます。前弧海盆など、堆積物がたまりやすい場所を作ります。) 斜面の発達史を知るうえで国際的にも重要な場所だと位置づけられています。海溝 ( 海の底にある細長く深いくぼみで、海洋プレートが大陸側のプレートの下に沈み込む場所にできます。大地震や火山活動と関係します。)
特に年代を決める研究の面で、田淵セクションは、 を高い精度で記録し、酸素同位体の記録とも独立に整合し、火山灰の年代測定で数値的にも裏付けられるため、Matuyama–Brunhes極性反転 ( 地球磁場が逆向きから現在と同じ向きに切り替わった出来事で、約78万年前ごろに起きたとされます。更新世の区切りを決める重要な基準です。) の区切りを決める基準地点(更新世 ( 第四紀のうち、約260万年前から約1万年前までの時代です。氷期と間氷期が繰り返され、地形や生物相が大きく変化しました。) )の有力候補とされています。GSSP ( 地質時代の境界を世界で統一して決めるための「基準となる地点」です。どこを境界とするかを国際的に決めるときの根拠になります。)
の面では、微化石が黒潮と親潮の影響の変化を反映しており、中期中新世以降の西部太平洋の海の変化を復元する材料として役立つとされています。古海洋学 ( 昔の海の環境や海流、海の温度などを、地層や化石から推定する研究です。気候変動や海流の変化を理解するのに役立ちます。)
さらに、地層が変形して複雑な地域でも微化石が年代決定に役立ち、 や海溝斜面の歴史を復元する助けになると強調されています。付加体 ( 海洋プレートが沈み込むとき、海底の堆積物などがはぎ取られて陸側に積み重なった岩体です。沈み込み帯の歴史を知る重要な材料です。)
磐梯火山については、噴火や が地形を大きく変え、災害やその後の自然環境、地域の文化にも影響したことを示し、それを山体崩壊 ( 火山などの山の一部が大きく崩れる現象です。大規模な災害や地形変化につながります。) での教育や保全活動につなげる点が意義として述べられています。ジオパーク ( 地形や地質の価値を守りながら、教育や観光にも生かす地域の取り組みです。自然災害の理解や地域の学びにもつながります。)
- 今後の展望:
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上総層群では石灰質の
研究は進んでいますが、微化石 ( 肉眼では見えないほど小さな化石で、海のプランクトンなどが多いです。種類の変化を使って年代を決めたり、海の環境を推定したりできます。) の研究は少なく、珪藻 ( ガラス質の殻を持つ藻類で、化石として残りやすいです。海や湖の環境、特に水温や栄養状態の推定に役立ちます。) の研究はほとんどないため、珪質微化石の研究を大きく増やして、古海洋の解釈を強くする必要があるとされています。放散虫 ( 海のプランクトンの一種で、ガラス質に近い殻を持ち、化石として残ります。海の水温や海流の影響を読み取る材料になります。)
田淵セクションでは、地磁気や酸素同位体の枠組みに加えて、微化石をより細かく調べることで、中期 の気候や海の環境をさらに詳しく復元できる可能性があり、放散虫を使った研究も始まっていると報告されています。更新世 ( 第四紀のうち、約260万年前から約1万年前までの時代です。氷期と間氷期が繰り返され、地形や生物相が大きく変化しました。)
房総南部の 斜面の地層では、年代を決めるための微化石研究が不足している地層があり、年代の精密化や環境復元を改善できる余地が示されています。海溝 ( 海の底にある細長く深いくぼみで、海洋プレートが大陸側のプレートの下に沈み込む場所にできます。大地震や火山活動と関係します。)
磐梯火山では、研究というよりも体制づくりとして、磐梯山 が自然・文化資源を守って活用し、UNESCO世界ジオパークを目指す取り組みを続けていることが述べられています。ジオパーク ( 地形や地質の価値を守りながら、教育や観光にも生かす地域の取り組みです。自然災害の理解や地域の学びにもつながります。)
- 何のために?:
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この文は、日本の土地の話です。
とくに大事な2つの場所を見ます。
千葉の と、福島の房総半島 ( 千葉県にある大きくつき出た半島で海の近くの地形や地層 がよく見える場所で地球の昔を調べるのに役立つ) です。磐梯山 ( 福島県の火山で噴火 や山のくずれの記録 があり災害 や地形の変化 を学ぶのに重要 )
房総半島では、海の地面が見えます。
それは、地面が上がったからです。
川がけずって、 が出ました。地層 ( 土や砂 や火山灰 などが長い時間で積 み重なってできたしま模様 の層 で昔の環境 や年代がわかる手がかり)
地層 は、昔の海のしるしです。
小さな や、化石 ( 昔の生き物の体やあとが石のように残 ったものでもともとどんな生き物がいてどんな海や気候 だったかを知るのに大事) もあります。火山灰 ( 噴火 で出た細かい灰 で地層 の中で同じ時代の目じるしになり年代を決めるのに役立つ)
地球の磁石 みたいな記録 もあります。
磐梯山では、 の噴火 ( 火山から溶岩 や火山灰 やガスが出る現象 で地形やくらしや災害 に大きな影響 を与 える) 歴史 を見ます。
山がくずれた出来事も学びます。
そのあと、人のくらしも変 わりました。
- 何が分かったの?:
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の房総半島 ( 千葉県にある大きくつき出た半島で海の近くの地形や地層 がよく見える場所で地球の昔を調べるのに役立つ) は、3つに分けます。地層 ( 土や砂 や火山灰 などが長い時間で積 み重なってできたしま模様 の層 で昔の環境 や年代がわかる手がかり)
北・まん中・南で、ちがいがあります。
北には、海でたまった地層 があります。
南には、海のふちの地層 もあります。
は、とても安房 層群 ( 房総半島にあるとても厚 い地層 のまとまりの名前で古い時代の記録 が多く研究の基準 になる) 厚 い地層 です。
だいたい1600万年前からあります。
中に の火山灰 ( 噴火 で出た細かい灰 で地層 の中で同じ時代の目じるしになり年代を決めるのに役立つ) 層 がたくさんあります。
は、240万年前ごろからです。上総 層群 ( 房総半島にある地層 のまとまりの名前で海が深い状態 から浅 い状態 へ変 わったようすなどがわかる)
深い海から、浅 い海へ変 わります。
の近くで、大事な養老川 ( 房総半島を流れる川で川が地面をけずって地層 を見やすくするため観察 地点として重要 ) 記録 が見えます。
地球の は、向きが磁場 ( 地球のまわりにある磁石 のような力で向きの記録 が地層 に残 り地層 の年代を比 べるのに使える) 変 わることがあります。
その切りかわりが、地層 に残 ります。
の田淵 ( 房総半島の地層 観察 の場所の名前で磁場 の切りかわりなど細かい記録 が見える重要 地点) 地層 は、それが細かく見えます。
その時期は、約 77万年前と考えます。
小さな から、海のようすが分かります。化石 ( 昔の生き物の体やあとが石のように残 ったものでもともとどんな生き物がいてどんな海や気候 だったかを知るのに大事)
あたたかい流れと、つめたい流れです。
と黒潮 ( 日本の南から北へ流れるあたたかい海流で海の水温や生き物の分布 に大きく関 わる) の力が、親潮 ( 日本の北から南へ流れるつめたい海流で黒潮 と同じく海の環境 を決める大事な流れ) 変 わったと分かります。
は、磐梯山 ( 福島県の火山で噴火 や山のくずれの記録 があり災害 や地形の変化 を学ぶのに重要 ) 約 70万年前から動きました。
約 5万年前に、大きな崩 れも起きました。
川がせき止められ、湖に関係 しました。
1888年にも、爆発 で大きな被害 が出ました。
- どうやったの?:
-
この文は、見学ガイドみたいに書きます。
今までの研究を、まとめています。
少しだけ、新しい観察 も足します。
では、小さな房総半島 ( 千葉県にある大きくつき出た半島で海の近くの地形や地層 がよく見える場所で地球の昔を調べるのに役立つ) を調べます。化石 ( 昔の生き物の体やあとが石のように残 ったものでもともとどんな生き物がいてどんな海や気候 だったかを知るのに大事)
の火山灰 ( 噴火 で出た細かい灰 で地層 の中で同じ時代の目じるしになり年代を決めるのに役立つ) 層 も、目じるしにします。
地球の の磁場 ( 地球のまわりにある磁石 のような力で向きの記録 が地層 に残 り地層 の年代を比 べるのに使える) 記録 も、使います。
では、田淵 ( 房総半島の地層 観察 の場所の名前で磁場 の切りかわりなど細かい記録 が見える重要 地点) 磁場 の向きを細かくはかります。
同じ の貝がらで、くらべます。地層 ( 土や砂 や火山灰 などが長い時間で積 み重なってできたしま模様 の層 で昔の環境 や年代がわかる手がかり)
火山灰 の年れいも、はかって決めます。
海のむかしは、化石の組み合わせで読みます。
あたたかい種類 、つめたい種類 を見ます。
地層 のくずれや曲がりも、観察 します。
岩の形や、切れ目などを見ます。
では、磐梯山 ( 福島県の火山で噴火 や山のくずれの記録 があり災害 や地形の変化 を学ぶのに重要 ) 火山灰 で年を考えます。
くずれた土や岩の広がりも調べます。
大きな岩がどこまで運ばれたかも見ます。
- 研究のまとめ:
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は、とても大事な場所です。房総半島 ( 千葉県にある大きくつき出た半島で海の近くの地形や地層 がよく見える場所で地球の昔を調べるのに役立つ)
海の が地層 ( 土や砂 や火山灰 などが長い時間で積 み重なってできたしま模様 の層 で昔の環境 や年代がわかる手がかり) 厚 く、よく残 っています。
小さな が多く、化石 ( 昔の生き物の体やあとが石のように残 ったものでもともとどんな生き物がいてどんな海や気候 だったかを知るのに大事) も多いです。火山灰 ( 噴火 で出た細かい灰 で地層 の中で同じ時代の目じるしになり年代を決めるのに役立つ)
の磁場 ( 地球のまわりにある磁石 のような力で向きの記録 が地層 に残 り地層 の年代を比 べるのに使える) 記録 も、細かく残 っています。
の田淵 ( 房総半島の地層 観察 の場所の名前で磁場 の切りかわりなど細かい記録 が見える重要 地点) 地層 は、年れいを決めるのに役立ちます。
地球の磁場 が変 わった時を、はっきり見ます。
そのため、世界でも大切だと考えられます。
小さな化石は、海の変化 も教えます。
と黒潮 ( 日本の南から北へ流れるあたたかい海流で海の水温や生き物の分布 に大きく関 わる) の親潮 ( 日本の北から南へ流れるつめたい海流で黒潮 と同じく海の環境 を決める大事な流れ) 影響 が、分かります。
むかしの海を、思いうかべられます。
では、磐梯山 ( 福島県の火山で噴火 や山のくずれの記録 があり災害 や地形の変化 を学ぶのに重要 ) と噴火 ( 火山から溶岩 や火山灰 やガスが出る現象 で地形やくらしや災害 に大きな影響 を与 える) 崩 れが地形を変 えました。
災害 や、くらしにも影響 しました。
それを学び、守ることにつなげます。
- これからどうする?:
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では、まだ足りない調べがあります。上総 層群 ( 房総半島にある地層 のまとまりの名前で海が深い状態 から浅 い状態 へ変 わったようすなどがわかる)
とくに、ちがう種類 の小さな です。化石 ( 昔の生き物の体やあとが石のように残 ったものでもともとどんな生き物がいてどんな海や気候 だったかを知るのに大事)
もっと調べて、海の話を強くします。
では、化石をもっと細かく見ます。田淵 ( 房総半島の地層 観察 の場所の名前で磁場 の切りかわりなど細かい記録 が見える重要 地点)
そうすると、気候 の変化 も分かります。
という化石の研究も始まっています。放散 虫( 海にすむとても小さな生き物の化石で年代や海の環境 を細かく調べるのに使われる)
房総南部でも、年れいが分かりにくい所があります。
化石の研究を増 やすと、もっと分かります。
では、磐梯山 ( 福島県の火山で噴火 や山のくずれの記録 があり災害 や地形の変化 を学ぶのに重要 ) の力を強くします。ジオパーク ( 地球の活動でできた地形や地層 などを守り学び観光 にも生かす地域 のしくみで自然保護 と学習に役立つ)
自然 や文化を守り、上手に使います。
を目ざして世界ジオパーク ( 国際的 に大切だと認 められたジオパークで世界に向けて保護 や学びを進める目標 になる) 続 けます。
- 著者名:
- Motoyama Isao, Itaki Takuya, Kamikuri Shin'ichi, Taketani Yojiro, Okada Makoto
- 掲載誌名:
- Science reports of Niigata University. (Geology)
- 巻:
- 32(Supplement)
- ページ:
- 1 - 27
- 発行日:
- 2017-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/48677
