論文詳細
自然科学系
理学部
#紀要論文
Devonian tabulate corals from pebbles in Mesozoic conglomerate, Kotaki, Niigata Prefecture, central Japan Part 2: Alveolitina
- AI解説:
- 本研究は、日本中部の新潟県糸魚川市小滝地域から得られたデボン紀の床板サンゴ(tabulate corals)を報告する。化石は原地性(in situ)ではなく、礫岩の転石ブロック中に含まれる石灰岩および黒色頁岩の小礫として産出し、この礫岩は下部ジュラ系の来馬層群(Kuruma Group)に由来する可能性が高いと解釈されている。先行研究(Niko et al., 2013)を踏まえた第2部にあたる本稿では、分類学的対象を亜目 **Alveolitina** に絞る。著者らの目的は主として系統分類学的であり、小滝産のAlveolitina標本を記載・図示し、可能な範囲で属および種レベルの帰属を明確化するとともに、分類上の位置づけに関わり得る形態的特徴、そして限定的には化石を含む小礫の推定年代や起源に関係し得る特徴を指摘する。研究は、フォッサマグナミュージアム(FMM)に収蔵された目録登録済み39標本に基づく。
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自然科学系
理学部
#紀要論文
Devonian tabulate corals from pebbles in Mesozoic conglomerate, Kotaki, Niigata Prefecture, central Japan Part 2: Alveolitina
AI解説
- 背景と目的:
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本研究は、日本中部の新潟県糸魚川市小滝地域から得られたデボン紀の床板サンゴ(tabulate corals)を報告する。化石は原地性(in situ)ではなく、礫岩の転石ブロック中に含まれる石灰岩および黒色頁岩の小礫として産出し、この礫岩は下部ジュラ系の来馬層群(Kuruma Group)に由来する可能性が高いと解釈されている。先行研究(Niko et al., 2013)を踏まえた第2部にあたる本稿では、分類学的対象を亜目 **Alveolitina** に絞る。著者らの目的は主として系統分類学的であり、小滝産のAlveolitina標本を記載・図示し、可能な範囲で属および種レベルの帰属を明確化するとともに、分類上の位置づけに関わり得る形態的特徴、そして限定的には化石を含む小礫の推定年代や起源に関係し得る特徴を指摘する。研究は、フォッサマグナミュージアム(FMM)に収蔵された目録登録済み39標本に基づく。
- 主要な発見:
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小滝の小礫試料に基づき、Alveolitinaの5分類群を扱った。新種を1つ設立した:**Crassialveolites niigataensis sp. nov.**。その特徴は、非常に小さいサンゴ小室(corallite)直径(幅約0.40 mm、高さ約0.28 mm)、主として扇形〜半円形の小室断面、著しく肥厚した小室間壁(intercorallite walls;最大0.36 mm)、発達した壁孔(mural pores)、隔壁棘(septal spines)の欠如、そして完全な床板(tabulae;3 mmあたり3–7枚)である。著者らは、非常に小さい小室と、床板腔(tabularia)が狭まった状態を伴う顕著に厚い壁という組合せが *Crassialveolites* への帰属を支持するとし、本属の日本初記録であると述べる。**Squameoalveolites sp. indet.** も日本初記録として報告され、比較的大きく左右に伸長した小室と、しばしば見られるsquamulaeが根拠とされた。さらに断片的な資料について、不確実性を伴いつつ **Alveolites sp. indet.**、**Coenites? sp. indet.**、**Planocoenites sp. indet.**、および **Roseoporella? sp. indet.** に分類した。最後者は、末端側(distal)の小室が強く伸長し壁が比較的薄いことから、*Planocoenites* より *Roseoporella* に近い可能性が示唆された。*Alveolites* sp. indet. については、ギベティアン期(Givetian)の1種(*A. maillieuxi*)や福井産の類似資料との共通点が、小礫の年代と由来の解釈に資する可能性があると述べられるが、著者らはこの推論を暫定的なものにとどめている。また、1標本には、寄生性の可能性がある環形動物 *Chaetosalpinx* を想起させる小さな円筒状の空管(直径約0.2 mm)も認められた。
- 方法論:
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本研究は、博物館収蔵資料に基づく記載的な系統分類学的古生物学の検討であり、小滝地域産でフォッサマグナミュージアムに保管される39標本を対象とする。著者らは群体(corallum)の成長形(例:塊状、結節状、被覆状/層状、板状)、内部骨格構造、ならびに薄片から得られる定量的な微細形態形質を調べた。**Crassialveolites niigataensis sp. nov.** では、ホロタイプ(FMM5293)から4枚の薄片を作製し、パラタイプ(FMM5294)から3枚の薄片を作製した。追加標本(FMM5295, 5296)も評価した。各分類群の診断と記載は、小室の寸法(幅、高さ、幅/高さの「形比」)、壁厚の範囲、壁孔の分布と頻度(肥厚壁中のmural tunnelsを含む)、隔壁棘およびsquamulaeの有無、床板の発達(頻度、完全性、形状)といった測定・観察値に依拠する。分類学的判断は、観察された形質の組合せを既報の種および属の概念と比較して行い、資料が断片的である、または診断的形質が不十分である場合には、「sp. indet.」「Coenites?」「Roseoporella?」など、不確実な帰属であることを明示した。
- 結論と意義:
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本論文は、小滝の礫岩転石ブロックに含まれる再堆積(reworked)の小礫集合が示す、デボン紀Alveolitinaの多様性に関する記録を拡充する。主要な貢献は、入手可能な資料の範囲内での分類学的・生物地理学的なものとして、**Crassialveolites niigataensis sp. nov.** を設立し、**Crassialveolites** と **Squameoalveolites** の日本初産出を報告した点にある。加えて、小滝産の複数のalveolitine/coenitid型の形態的特徴づけを改善しつつ、標本が小断片である場合や診断定義に完全には合致しない場合には適切な慎重さを保っている(例:**Coenites? sp. indet.** の非典型的な莢(calice)、および **Planocoenites** 種を区別するための根拠が限定的である点)。さらに、**Alveolites sp. indet.** がギベティアン期の1種に形態的に類似すること、ならびに1標本で *Chaetosalpinx* 様の管を記録したことにより、化石を含む小礫の年代と起源の解釈に関係し得る観察事項を提示するが、これらを決定的なものとしては提示していない。
- 背景と目的:
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この研究は、新潟県糸魚川市の小滝地域で見つかった、
のデボン紀 ( 今から約4億1900万年前から約3億5900万年前までの地質時代で、海の生き物が多様化した時期です) の化石を報告するものです。化石はサンゴがその場で生きていた場所に残ったものではなく、床板サンゴ ( サンゴの群体の中に床のような板が何枚も入るタイプのサンゴの仲間で、化石としてよく残ります) の礫岩 ( 小石が集まって固まってできた岩石です) (地面に落ちている岩のかたまり)の中に入っていた転石 ( 地層から外れて、地表などにころがっている岩のかたまりです) や石灰岩 ( 主に炭酸カルシウムからなる岩石で、海の生物の殻などがもとになることが多いです) の小さな石(黒色頁岩 ( 泥が固まった岩石で、黒っぽいものは有機物を多く含むことがあります) )として見つかりました。この礫岩は、小礫 ( 礫岩などに入っている小さな石の粒のことです) の下部ジュラ系 ( ジュラ紀の前半にできた地層のことです) に由来する可能性が高いと考えられています。来馬層群 ( 新潟県周辺に分布する下部ジュラ系の地層の集まりの名前です)
本稿は先行研究の続きで、分類対象を にしぼり、小滝産亜目Alveolitina ( 床板サンゴの中の分類グループの1つで、細かな小室構造などで区別されます) を観察して図や記載を行い、どの属・種に当たるかをできるだけはっきりさせることを目的としています。また、分類に関係する形の特徴や、限られた範囲で小礫の年代や由来に関係しそうな手がかりも示します。研究に使ったのは、フォッサマグナミュージアムに保管されている39標本です。標本 ( 研究のために保存・観察する実物の化石や岩石のことです)
- 主要な発見:
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小滝の
から得られた小礫 ( 礫岩などに入っている小さな石の粒のことです) にもとづき、Alveolitinaの5つの分類群を扱いました。その中で、新種Crassialveolites niigataensisを1つ新しく提案しました。この新種は、標本 ( 研究のために保存・観察する実物の化石や岩石のことです) がとても小さいこと、小室の断面が扇形〜半円形であること、小室と小室の間の壁が非常に厚いこと、サンゴ小室 ( 群体の中で1つ1つの個体が入っていた小さな部屋のことです) がよく発達していること、壁孔 ( 小室の壁にある穴で、小室どうしがつながる構造として重要です) が見られないこと、隔壁棘 ( 小室の内側にできるトゲ状の突起で、種類の見分けに役立つことがあります) がよく発達していて枚数が多いことが特徴です。これらの特徴の組合せから、この標本はCrassialveolitesに入ると判断され、この属は日本で初めての報告だと述べています。床板 ( 小室の中にできる板状の構造で、枚数や形が分類に重要です)
またSquameoalveolites も日本初記録として報告されました。根拠は、小室が比較的大きく横にのびる形であることと、squamulaeがしばしば見られることです。sp. indet. ( 属までは分かるが種名までは決められない、という意味で使います)
そのほか、標本が断片的で判断が難しいものについては、Alveolites sp. indet.、Coenites? sp. indet.、Planocoenites sp. indet.、Roseoporella? sp. indet.として分類しました。Roseoporella? sp. indet.は、先端側の小室が強く伸びて壁が比較的薄い点から、PlanocoenitesよりRoseoporellaに近い可能性が示されました。Alveolites sp. indet.は、 中期のデボン紀 ( 今から約4億1900万年前から約3億5900万年前までの地質時代で、海の生き物が多様化した時期です) の既知種に似ている点があり、小礫の年代や由来の推定に役立つかもしれないものの、結論は保留されています。さらに1標本では、ギベティアン期 ( デボン紀中期の一時期で、化石の年代をより細かく示す区分です) の可能性がある寄生性 ( ほかの生物に取りついて生活する性質のことです) 環形動物 ( ミミズやゴカイのように体に節がある動物の仲間です) を思わせる、直径約0.2mmの小さな円筒状の空の管も確認されました。Chaetosalpinx ( 床板サンゴに関係して見つかることがある、寄生の可能性が指摘される管状の生物として知られる名前です)
- 方法論:
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この研究は、博物館に収蔵されている化石
を詳しく観察して分類するタイプの研究です。対象は小滝産でフォッサマグナミュージアムに保管される39標本です。標本 ( 研究のために保存・観察する実物の化石や岩石のことです)
研究者は、 の成長の形(塊状、結節状、層状、板状など)や内部の骨格構造を調べ、群体 ( 小さな個体が集まってできたサンゴ全体のかたまりです) (岩石を薄く切った標本)を顕微鏡で観察して、小室の大きさ、壁の厚さ、薄片 ( 岩石や化石を非常に薄く切って、顕微鏡で内部構造を観察できるようにした標本です) の出方、壁孔 ( 小室の壁にある穴で、小室どうしがつながる構造として重要です) やsquamulaeの有無、隔壁棘 ( 小室の内側にできるトゲ状の突起で、種類の見分けに役立つことがあります) の発達のしかたなどを測定・記録しました。新種の標本では、決め手となる標本から複数枚の薄片を作って詳しく調べています。床板 ( 小室の中にできる板状の構造で、枚数や形が分類に重要です)
また、情報が足りず断定できない場合は、 や「?」を付けて、不確実であることを明確に示しました。sp. indet. ( 属までは分かるが種名までは決められない、という意味で使います)
- 結論と意義:
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この論文は、小滝の
礫岩 ( 小石が集まって固まってできた岩石です) ブロックに含まれる「別の場所でできた化石が混ざって入った転石 ( 地層から外れて、地表などにころがっている岩のかたまりです) 」が示す、小礫 ( 礫岩などに入っている小さな石の粒のことです) Alveolitinaの多様性についての記録を増やしました。特に、新種Crassialveolites niigataensisを提案したこと、そしてCrassialveolitesとSquameoalveolitesを日本で初めて報告したことが大きな成果です。デボン紀 ( 今から約4億1900万年前から約3億5900万年前までの地質時代で、海の生き物が多様化した時期です)
さらに、断片的な でも特徴を丁寧に整理しつつ、判断材料が不足している場合には無理に決めつけない慎重な扱いをしています。また、Alveolites標本 ( 研究のために保存・観察する実物の化石や岩石のことです) の類似性や、sp. indet. ( 属までは分かるが種名までは決められない、という意味で使います) の可能性がある管の発見は、小礫の年代や由来を考えるうえで手がかりになり得ますが、決定的な証拠としては示していません。Chaetosalpinx ( 床板サンゴに関係して見つかることがある、寄生の可能性が指摘される管状の生物として知られる名前です)
- 何のために?:
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この研究は、新潟県の糸魚川市が
舞台 です。
小滝という場所で見つかった を調べます。化石 ( むかし生きていた生き物の体やあとが、石の中に残 ったもの。どんな生き物がいたかや、いつごろの地層 かを考える手がかりになる)
化石は、むかしのサンゴの仲間 です。
化石は、その場で生きたままではありません。
地面にある岩のかたまりの中にありました。
小さな石つぶの中に、化石がありました。
は、そのサンゴの名前を知りたいです。研究者 ( 調べて新しいことを見つけ、まとめて伝 える人。この文では化石を見て種類 を分けたり名前を決めたりする役目をする)
そのために、形をよく見て分けます。
使った化石は、 の39こです。博物館 ( 大事なものを集めて保管 し、調べたり見せたりする場所。研究に使える化石がまとまっている)
- 何が分かったの?:
-
小さな石つぶから、5つの
仲間 を見ました。
その中で、新しい を1つ作りました。種類 ( 生き物を形や特徴 で分けたときの区分。新しい種類 を決めると、その生き物のなかま関係 や記録 がはっきりする)
名前は、 です。クラッシアルベオリテス ( 化石のサンゴのなかまにつけた新しい名前。名前をつけることで他の研究でも同じものとして比 べやすくなる)
日本で初 めて見つかった仲間 だと言います。
この新しい種類 は、部屋がとても小さいです。
部屋の形は、うちわみたいです。
部屋と部屋の間のかべが、とても厚 いです。
かべの小さな穴 が、よく見えます。
とげのようなものは、見つかりません。
中の板のようなものが、たくさんあります。
もう1つ、日本で初 の仲間 も見つかりました。
名前は、 です。スクアメオアルベオリテス ( 日本で初 めて見つかったとされるサンゴのなかまの名前。見つかった場所や特徴 を記録 するために必要 )
部屋が大きめで、横にのびていました。
うろこのような形も、ときどき見えました。
こわれていて、名前が決めにくい もあります。化石 ( むかし生きていた生き物の体やあとが、石の中に残 ったもの。どんな生き物がいたかや、いつごろの地層 かを考える手がかりになる)
そのときは、むりに決めない書き方にします。
小さなくだの穴 も、1つで見つかりました。
ほかの生き物が住んだあとの可能性 があります。
- どうやったの?:
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は、研究者 ( 調べて新しいことを見つけ、まとめて伝 える人。この文では化石を見て種類 を分けたり名前を決めたりする役目をする) の博物館 ( 大事なものを集めて保管 し、調べたり見せたりする場所。研究に使える化石がまとまっている) をよく見ました。化石 ( むかし生きていた生き物の体やあとが、石の中に残 ったもの。どんな生き物がいたかや、いつごろの地層 かを考える手がかりになる)
化石の外の形や、中の形を調べました。
石をとても薄 く切ったものも作りました。
それを、 で見てけんびきょう ( とても小さいものを大きく見えるようにする道具。化石の小さな穴 やかべの厚 さなどをくわしく見るために使う) します。記録 ( 見たことや測 ったことをあとから分かるように書きのこすこと。調べた結果 を間違 えずに伝 えるために必要 )
部屋の大きさや、かべの厚 さを調べます。
小さな穴 や、とげの有無 も見ました。
わからないときは、「たぶん」と書きます。
はっきりしないことを、正直に示 します。
- 研究のまとめ:
-
この研究で、見つかった
が記録 ( 見たことや測 ったことをあとから分かるように書きのこすこと。調べた結果 を間違 えずに伝 えるために必要 ) 増 えました。
小滝の石つぶに、いろいろなサンゴがいました。
新しい を1つ決めたのが大きな種類 ( 生き物を形や特徴 で分けたときの区分。新しい種類 を決めると、その生き物のなかま関係 や記録 がはっきりする) 成果 です。
日本で初 の仲間 を2つ しました。報告 ( 調べて分かったことを文章などで知らせること。ほかの人がその情報 を使ってさらに調べられる)
こわれた も、ていねいに形をまとめました。化石 ( むかし生きていた生き物の体やあとが、石の中に残 ったもの。どんな生き物がいたかや、いつごろの地層 かを考える手がかりになる)
でも、わからないことは決めつけませんでした。
石つぶが、いつのものか考える手がかりも出ました。
ただし、決まりだと言えるほどではありません。
- 著者名:
- Niko Shuji, Ibaraki Yousuke, Tazawa Jun-ichi
- 掲載誌名:
- Science reports of Niigata University. (Geology)
- 巻:
- 30
- ページ:
- 15 - 25
- 発行日:
- 2015-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/32232
