論文詳細
自然科学系
理学部
#紀要論文
The relationship between spatial compositional distribution and field occurrence of peridotites in the southernmost part of Salahi mantle section, the Oman ophiolite
- AI解説:
- オマーン・オフィオライト(Oman ophiolite)のSalahiマントルセクション最南部には、きわめて高い枯渇度(highly refractory)をもつduniteを主体とする大規模な超苦鉄質複合岩体が広く分布し、これに残留性のharzburgiteおよびpyroxenite cumulatesが伴う。先行研究では、こうした複合岩体はオフィオライト基底部からの流体浸透によってharzburgiteのflux meltingが引き起こされ、高枯渇度のduniteに伴うboninitic meltが生成した産物だと解釈されてきた。さらに南南東側にも同規模の超苦鉄質複合岩体が存在することから、高枯渇度peridotiteの空間分布はマントルセクション規模で系統的である可能性が示唆される。以上を背景に、本研究はSalahiマントルセクション最南部における鉱物組成の空間的変動を記載することを目的とする。著者らは特に、duniteの産状パターン、鉱物化学、岩相変化が周辺域と異なる特徴的な領域に着目し、組成分布がperidotiteの野外産状とどのように関係するかを明らかにすることを目指した。
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自然科学系
理学部
#紀要論文
The relationship between spatial compositional distribution and field occurrence of peridotites in the southernmost part of Salahi mantle section, the Oman ophiolite
AI解説
- 背景と目的:
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オマーン・オフィオライト(Oman ophiolite)のSalahiマントルセクション最南部には、きわめて高い枯渇度(highly refractory)をもつduniteを主体とする大規模な超苦鉄質複合岩体が広く分布し、これに残留性のharzburgiteおよびpyroxenite cumulatesが伴う。先行研究では、こうした複合岩体はオフィオライト基底部からの流体浸透によってharzburgiteのflux meltingが引き起こされ、高枯渇度のduniteに伴うboninitic meltが生成した産物だと解釈されてきた。さらに南南東側にも同規模の超苦鉄質複合岩体が存在することから、高枯渇度peridotiteの空間分布はマントルセクション規模で系統的である可能性が示唆される。以上を背景に、本研究はSalahiマントルセクション最南部における鉱物組成の空間的変動を記載することを目的とする。著者らは特に、duniteの産状パターン、鉱物化学、岩相変化が周辺域と異なる特徴的な領域に着目し、組成分布がperidotiteの野外産状とどのように関係するかを明らかにすることを目指した。
- 主要な発見:
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本研究は、Salahiマントルセクション最南部の内部に、duniteの形態(geometry)、spinel組成、clinopyroxene(cpx)の希土類元素(REE)パターンによって区別される、対照的な2つの領域を認定した。調査域南部では、duniteは概してharzburgiteのfoliationと調和的(concordant)であり、非調和的(discordant)なduniteは稀である。harzburgite中のspinel Cr#は0.46–0.67に限られ、harzburgiteおよび調和的duniteの双方に含まれるcpxは、HREEに比べてLREEが強く枯渇している。dunite中のcpxのREE存在量は、同一露頭内で隣接するharzburgite中のcpxのそれと一致し、この環境では両岩相が地球化学的に類似していることを示唆する。南部領域には、plagioclase-bearing peridotitesとwehrliteを含む露頭もあり、plagioclase-bearing peridotites中のcpx REEはabyssal peridotitesの範囲内に入る。著者らはこれを、残留peridotiteにMORB meltがトラップされたことと整合的だと解釈している。加えて、南西隅にはbasal lherzoliteが産し、spinel Cr#が低く(0.15–0.25)、Takazawa et al. (2003) の “Type I lherzolite” に類似する。一方、北東〜東部はdiscordant dunitesが卓越する。そこではduniteのspinel Cr#が0.43–0.80と大きく変動し、東部ではspinel Cr# > 0.7のきわめて高枯渇度のduniteが頻繁に認められる。discordant dunite(および超苦鉄質複合岩体中のdunite)のcpxは、隣接するharzburgite中のcpxに比べてLREEに富み、南部の調和的dunite領域とは明確な地球化学的対比を示す。
- 方法論:
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本研究は、peridotiteの産状に関する野外記載と、鉱物化学・微量元素分析を組み合わせて空間的変動をマッピングした。野外観察では、母岩であるharzburgiteのfoliationに対するdunite岩体の形態に注目し、foliationに平行なconcordant dunitesと、斜交関係を示すdiscordant dunitesを区別した。また、harzburgite、dunite、plagioclase-bearing peridotite、wehrlite、basal lherzoliteといった岩相の共産関係を記載した。鉱物化学は、主要な組成指標としてspinel Cr#を用いて評価し、harzburgite(南部領域で0.46–0.67)、basal lherzolite(0.15–0.25)、dunite(discordant-dunite領域で0.43–0.80、東部では> 0.7が頻出)について報告した。微量元素の解析はcpxのREEパターンを中心とし、LREE–HREEの分別とREEの絶対存在量を岩相間で比較するとともに、特に同一露頭内でduniteと隣接harzburgiteを対比した。MORB-meltトラップの認定は、plagioclase-bearing peridotites中のcpx REEが、報告されているabyssal peridotitesの範囲内にあるという観察に基づく。
- 結論と意義:
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報告された組成の空間的変動は、調査したスケールにおいてSalahiマントルセクション最南部が化学的に一様ではなく、少なくとも2つの異なる領域を含み、それぞれでdunite形成と周囲peridotiteの地球化学との関係が異なることを示している。南部領域では、concordant dunitesが近傍のharzburgiteと同等のcpx REE存在量を示し、強いLREE枯渇シグネチャーを呈することから、この場ではduniteと母岩peridotiteの地球化学的対応が近いことが示唆される。plagioclase-bearing peridotitesとwehrliteの存在に加え、abyssal peridotitesに似たcpx REEパターンが認められることは、著者らが慎重に述べているように、MORB meltが残留peridotite内にトラップされた可能性を支持する。南西部でspinel Cr#の低いbasal lherzoliteが見られることも、既存のlherzoliteタイプ定義と整合的な岩相・組成の多様性を付け加える。これに対し、北東〜東部領域は、spinel Cr#の幅広い変動(高枯渇度組成の頻出を含む)をもつdiscordant dunitesと、隣接harzburgiteに対するcpx LREE富化によって特徴づけられ、南部領域とは異なる様式のmelt–rock interaction、あるいはmeltの影響を示す。総じて本研究の意義は、野外関係(concordantかdiscordantかというduniteの産状)と、鉱物化学指標(spinel Cr#およびcpx REE)がどのように共変するかを記載し、オマーンのマントルセクション内で高枯渇度peridotiteや化学的に異なるduniteを生み出したプロセスに対する観察的制約を与えた点にある。
- 背景と目的:
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オマーン・
のSalahiオフィオライト ( 海のプレートの一部が大陸側に押し上げられて地表に出てきた岩体のことです。海洋地殻やその下のマントルの岩石を陸上で観察できるため、地球内部のしくみを調べるのに重要です。) 最南部には、マントルセクション ( オフィオライトの中でも、地殻の下にあったマントル由来の岩石がまとまって見られる部分です。マントルの岩石がどのように変化したかを追う手がかりになります。) が多い大きなdunite ( peridotiteの中でも特にかんらん石が非常に多い岩石です。マグマが通ったり反応したりした痕跡として現れることがあり、マントル内の物質移動を考える材料になります。) の岩体が広く分布しており、超苦鉄質 ( 鉄とマグネシウムに富み、ケイ酸が少ないタイプの岩石の分類です。マントルの代表的な岩石がこの仲間に入り、地球内部の物質を知る基本になります。) やpyroxeniteも一緒に見られます。これまでの研究では、オフィオライトの下の方から入ってきた流体がharzburgiteを部分的に溶かし、その結果としてharzburgite ( peridotiteの一種で、かんらん石と斜方輝石が多く、マグマ成分が抜けた「残りもの」に近い性質を持つことが多い岩石です。マントルがどれだけ溶けたかを推定するのに使われます。) がとても高いduniteと、それに関係する枯渇度 ( 岩石が部分的に溶けたときに、溶けやすい成分がどれだけ抜けたかの程度を表す考え方です。枯渇度が高いほど「溶けた後の残り」に近く、マントルの履歴を示します。) ができたと考えられてきました。また、南南東側にも同じような大規模岩体があるため、枯渇度の高いboninitic melt ( 沈み込み帯に関連してできる、マグネシウムが多くシリカも比較的多い特殊なマグマのことです。マントルが強く溶けた条件や流体の影響を示す指標になります。) がマントルセクション全体の中で一定の並び方をしている可能性があります。peridotite ( マントルを代表する岩石で、主にかんらん石などからできています。マグマができる元の物質として重要です。)
そこで本研究は、Salahiマントルセクション最南部で、鉱物の組成が場所によってどう変わるのかを調べることを目的としています。特に、duniteの出方、鉱物の化学組成、岩石の種類の変化が周囲と違う特徴的な地域に注目し、組成の分布とperidotiteの野外での見え方の関係を明らかにしようとしました。
- 主要な発見:
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研究の結果、最南部の調査地域の中に、
の形(分布のしかた)、dunite ( peridotiteの中でも特にかんらん石が非常に多い岩石です。マグマが通ったり反応したりした痕跡として現れることがあり、マントル内の物質移動を考える材料になります。) の組成、spinel ( 超苦鉄質岩に含まれる鉱物の一つで、化学組成がマントルがどれだけ溶けたかなどを反映します。小さな粒でも情報量が多い鉱物です。) のclinopyroxene ( 単斜輝石と呼ばれる鉱物で、微量元素を取り込みやすい性質があります。そのため、マグマや岩石の履歴を化学的に読み解く重要な対象になります。) パターンによって区別できる、性質の違う2つの領域があると分かりました。REE ( 希土類元素のことで、岩石や鉱物に少量含まれますが、マグマの生成や分化、岩石とマグマの反応を追うのに役立つ「手がかり元素」です。)
南側の領域では、duniteは多くの場合 のharzburgite ( peridotiteの一種で、かんらん石と斜方輝石が多く、マグマ成分が抜けた「残りもの」に近い性質を持つことが多い岩石です。マントルがどれだけ溶けたかを推定するのに使われます。) に沿って分布し、斜めに切るようなduniteはほとんど見られませんでした。harzburgite中のspinel Cr#は0.46〜0.67の狭い範囲で、harzburgiteと調和的なduniteの両方に入っているclinopyroxeneは、foliation ( 岩石の中で鉱物が一定方向に並び、面状の構造として見えるものです。岩石が変形した方向や流れた向きを読み取る手がかりになります。) に比べてHREE ( 希土類元素のうち原子番号が大きいグループです。LREEより動きにくい場合が多く、LREEとの比べ方で溶け方や反応の特徴を推定します。) が大きく少ない特徴を示しました。さらに、dunite中のclinopyroxeneのREE量は、同じ露頭で隣にあるharzburgite中のclinopyroxeneとよく一致し、この地域では両者が化学的に似ていることが示されました。南側ではLREE ( 希土類元素のうち原子番号が小さいグループです。マグマや流体の影響で増えたり減ったりしやすく、プロセスの違いを見分けるのに役立ちます。) sやplagioclase-bearing peridotite ( 斜長石を含むperidotiteのことです。マントルの浅い場所での変化や、マグマが入り込んだ影響を示す場合があります。) も見つかり、plagioclase-bearing peridotites中のclinopyroxeneのREEはwehrlite ( かんらん石と単斜輝石が多い超苦鉄質岩です。マグマが入り込んで反応・結晶化した過程を示すことがあり、マントル中のマグマの影響を考えるのに重要です。) の範囲に入っていました。これは、残ったabyssal peridotites ( 海嶺付近の海底で採取されるマントル由来のperidotiteです。海洋マントルの性質を知る代表例として、他地域との比較に使われます。) の中にperidotite ( マントルを代表する岩石で、主にかんらん石などからできています。マグマができる元の物質として重要です。) が閉じ込められた可能性と合います。また南西隅にはMORB melt ( 海嶺でできる玄武岩質マグマのことです。海洋プレートが生まれる場所の代表的なマグマで、マントルの基本的な溶融を考える基準になります。) があり、spinel Cr#が0.15〜0.25と低く、既存研究のType Ibasal lherzolite ( マントルセクションの基底付近で見られるlherzoliteを指します。セクションの下部がどのような物質からできているかを考える手がかりになります。) に似ていました。lherzolite ( peridotiteの一種で、斜方輝石に加えて単斜輝石も比較的多く含みます。harzburgiteより「溶け残り度合い」が小さい場合が多く、マントルの元の性質を考えるのに役立ちます。)
一方、北東〜東側の領域では、harzburgiteのfoliationを斜めに切る が多く見られました。ここではduniteのspinel Cr#が0.43〜0.80まで大きく変化し、東側ではCr#が0.7を超える非常にdiscordant dunite ( 周囲のharzburgiteのfoliationを斜めに切るように入るduniteのことです。後からマグマが通った通路など、別の成因を示す可能性があり重要です。) の高いduniteがよく見つかりました。またdiscordant duniteのclinopyroxeneは、隣のharzburgiteのclinopyroxeneよりLREEが多く、南側領域とははっきり違う特徴を示しました。枯渇度 ( 岩石が部分的に溶けたときに、溶けやすい成分がどれだけ抜けたかの程度を表す考え方です。枯渇度が高いほど「溶けた後の残り」に近く、マントルの履歴を示します。)
- 方法論:
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本研究では、野外での観察による岩石の分布記載と、鉱物の化学分析・微量元素分析を組み合わせて、場所ごとの変化を地図化しました。野外では、
のharzburgite ( peridotiteの一種で、かんらん石と斜方輝石が多く、マグマ成分が抜けた「残りもの」に近い性質を持つことが多い岩石です。マントルがどれだけ溶けたかを推定するのに使われます。) に対してfoliation ( 岩石の中で鉱物が一定方向に並び、面状の構造として見えるものです。岩石が変形した方向や流れた向きを読み取る手がかりになります。) が平行に伸びるか(concordant)斜めに切るか(discordant)に注目して区別し、harzburgite、dunite、dunite ( peridotiteの中でも特にかんらん石が非常に多い岩石です。マグマが通ったり反応したりした痕跡として現れることがあり、マントル内の物質移動を考える材料になります。) 、plagioclase-bearing peridotite ( 斜長石を含むperidotiteのことです。マントルの浅い場所での変化や、マグマが入り込んだ影響を示す場合があります。) 、wehrlite ( かんらん石と単斜輝石が多い超苦鉄質岩です。マグマが入り込んで反応・結晶化した過程を示すことがあり、マントル中のマグマの影響を考えるのに重要です。) がどのように一緒に出るかを記録しました。basal lherzolite ( マントルセクションの基底付近で見られるlherzoliteを指します。セクションの下部がどのような物質からできているかを考える手がかりになります。)
鉱物化学では Cr#を重要な指標として用い、岩相ごとの値の範囲を比較しました。微量元素は主にspinel ( 超苦鉄質岩に含まれる鉱物の一つで、化学組成がマントルがどれだけ溶けたかなどを反映します。小さな粒でも情報量が多い鉱物です。) のclinopyroxene ( 単斜輝石と呼ばれる鉱物で、微量元素を取り込みやすい性質があります。そのため、マグマや岩石の履歴を化学的に読み解く重要な対象になります。) パターンを調べ、REE ( 希土類元素のことで、岩石や鉱物に少量含まれますが、マグマの生成や分化、岩石とマグマの反応を追うのに役立つ「手がかり元素」です。) とLREE ( 希土類元素のうち原子番号が小さいグループです。マグマや流体の影響で増えたり減ったりしやすく、プロセスの違いを見分けるのに役立ちます。) の違いとREEの量を岩相間で比べました。特に、同じ露頭内でduniteと隣接するharzburgiteを直接比べることで、両者の関係を確かめました。HREE ( 希土類元素のうち原子番号が大きいグループです。LREEより動きにくい場合が多く、LREEとの比べ方で溶け方や反応の特徴を推定します。) がトラップされた可能性は、plagioclase-bearing peridotites中のclinopyroxeneのREEがMORB melt ( 海嶺でできる玄武岩質マグマのことです。海洋プレートが生まれる場所の代表的なマグマで、マントルの基本的な溶融を考える基準になります。) の範囲に入るという観察に基づいて判断しました。abyssal peridotites ( 海嶺付近の海底で採取されるマントル由来のperidotiteです。海洋マントルの性質を知る代表例として、他地域との比較に使われます。)
- 結論と意義:
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この地域の鉱物組成は一様ではなく、少なくとも2つの性質の異なる領域があり、
のでき方や周囲のdunite ( peridotiteの中でも特にかんらん石が非常に多い岩石です。マグマが通ったり反応したりした痕跡として現れることがあり、マントル内の物質移動を考える材料になります。) との化学的な関係が領域ごとに違うことが示されました。peridotite ( マントルを代表する岩石で、主にかんらん石などからできています。マグマができる元の物質として重要です。)
南側領域では、 が近くのconcordant dunite ( 周囲のharzburgiteのfoliationに平行にのびるduniteのことです。周囲の構造と一緒に形成・変形した可能性を考える材料になります。) と同程度のharzburgite ( peridotiteの一種で、かんらん石と斜方輝石が多く、マグマ成分が抜けた「残りもの」に近い性質を持つことが多い岩石です。マントルがどれだけ溶けたかを推定するのに使われます。) のclinopyroxene ( 単斜輝石と呼ばれる鉱物で、微量元素を取り込みやすい性質があります。そのため、マグマや岩石の履歴を化学的に読み解く重要な対象になります。) 量を持ち、REE ( 希土類元素のことで、岩石や鉱物に少量含まれますが、マグマの生成や分化、岩石とマグマの反応を追うのに役立つ「手がかり元素」です。) がとても少ない特徴を共有するため、duniteと母岩の化学的な対応が強いと考えられます。またLREE ( 希土類元素のうち原子番号が小さいグループです。マグマや流体の影響で増えたり減ったりしやすく、プロセスの違いを見分けるのに役立ちます。) sとplagioclase-bearing peridotite ( 斜長石を含むperidotiteのことです。マントルの浅い場所での変化や、マグマが入り込んだ影響を示す場合があります。) の存在や、wehrlite ( かんらん石と単斜輝石が多い超苦鉄質岩です。マグマが入り込んで反応・結晶化した過程を示すことがあり、マントル中のマグマの影響を考えるのに重要です。) に似たREEパターンは、abyssal peridotites ( 海嶺付近の海底で採取されるマントル由来のperidotiteです。海洋マントルの性質を知る代表例として、他地域との比較に使われます。) が残留peridotiteに閉じ込められた可能性を支えます。南西部の低Cr#のMORB melt ( 海嶺でできる玄武岩質マグマのことです。海洋プレートが生まれる場所の代表的なマグマで、マントルの基本的な溶融を考える基準になります。) の発見も、この地域の岩相と組成が多様であることを示します。basal lherzolite ( マントルセクションの基底付近で見られるlherzoliteを指します。セクションの下部がどのような物質からできているかを考える手がかりになります。)
これに対して北東〜東側領域は、 Cr#が大きく変動するspinel ( 超苦鉄質岩に含まれる鉱物の一つで、化学組成がマントルがどれだけ溶けたかなどを反映します。小さな粒でも情報量が多い鉱物です。) (非常に枯渇したものを含む)と、隣のharzburgiteに比べたclinopyroxeneのLREEの増加で特徴づけられます。これは、南側とは異なるタイプのdiscordant dunite ( 周囲のharzburgiteのfoliationを斜めに切るように入るduniteのことです。後からマグマが通った通路など、別の成因を示す可能性があり重要です。) 、つまりマグマが岩石と反応した影響があった可能性を示します。melt–rock interaction ( マグマと周囲の岩石が接触して、溶かしたり成分を交換したりして互いに変化する現象です。duniteの形成や化学組成の違いを説明する鍵になります。)
本研究の意義は、野外でのduniteの出方(concordantかdiscordantか)と、鉱物化学の指標(spinel Cr#やclinopyroxeneのREE)がどのように一緒に変わるのかを整理し、オマーンの で化学的に特徴の違うduniteや高マントルセクション ( オフィオライトの中でも、地殻の下にあったマントル由来の岩石がまとまって見られる部分です。マントルの岩石がどのように変化したかを追う手がかりになります。) peridotiteができる過程を考えるための重要な手がかりを示した点にあります。枯渇度 ( 岩石が部分的に溶けたときに、溶けやすい成分がどれだけ抜けたかの程度を表す考え方です。枯渇度が高いほど「溶けた後の残り」に近く、マントルの履歴を示します。)
- 何のために?:
-
オマーンという国の山で、岩石を調べました。
そこには、かたい岩が広くあります。
岩の種類 は、 がとても多いです。ダナイト ( 地球の中の深いところにある岩からできた、とてもかたい岩の名前。山や地面の下の物質 がどうなっているかを知る手がかりになる)
ほかに、 もあります。ハルツバージャイト ( ダナイトとにた、地球の中の深いところにある岩の名前。場所によって岩の種類 がどう変 わるかを調べるのに大事)
も見つかります。ピロキシナイト ( 特別 な鉱物 が多い岩の名前。マグマが関 わったかどうかを考える手がかりになる)
前の研究では、下から水のようなものが来て、岩が少しとけたと考えました。
その結果 、ダナイトができたと言われます。
南のほうにも、にた岩のかたまりがあります。
だから、岩のならび方に決まりがあるかもです。
この研究は、場所で岩の中身がどう変 わるかを見ます。
とくに、ダナイトがどこに出るかを見ます。
岩の種類 が変 わるところも見ます。
そして、その関係 を分かりやすくします。
- 何が分かったの?:
-
調べた場所には、ちがう2つの
地域 がありました。
そのちがいは、 の出方で分かります。ダナイト ( 地球の中の深いところにある岩からできた、とてもかたい岩の名前。山や地面の下の物質 がどうなっているかを知る手がかりになる)
岩の中の小さなつぶの中身でも分かります。
南の地域 では、ダナイトは岩のしまにそって出ました。
しまをななめに切るダナイトは、ほぼありません。
南では、となりの岩と中身がよくにています。
南では、ほかの種類 の岩も見つかりました。
それは、 が少し入ったサインかもです。マグマ ( 地下にある高温でどろどろにとけた岩。岩ができる原因 になり、岩の種類 や中身のちがいを生む)
南西のすみでは、また別 の岩も見つかりました。
北東から東の地域 では、ななめに切るダナイトが多いです。
北東から東では、つぶの中身が大きく変 わりました。
東では、とてもかたよったダナイトも多いです。
そのダナイトは、となりの岩と中身がちがいました。
南の地域 とは、はっきりちがいます。
- どうやったの?:
-
まず、山で岩の出方をくわしく見ました。
が、しまに平行かを見ました。ダナイト ( 地球の中の深いところにある岩からできた、とてもかたい岩の名前。山や地面の下の物質 がどうなっているかを知る手がかりになる)
また、しまをななめに切るかも見ました。
それぞれの岩が、どこに出るかを書きました。
つぎに、岩のつぶを で調べました。けんびきょう ( 小さなものを大きく見えるようにする道具。岩の中の小さなつぶを調べるために使う)
つぶの中の を、数字でくらべました。成分 ( ものを作っている材料 の割合 や中身。岩どうしのちがいを数字で比 べるときに大事)
とくに、 というつぶを見ました。スピネル ( 岩の中にある小さなつぶの名前。岩がどんな条件 でできたかを知る手がかりになる)
また、 も調べました。クリノパイロキシン ( 岩の中にある鉱物 の名前。岩の中身の変化 やマグマとの関係 を調べるのに使う)
同じ場所で、ダナイトととなりの岩をくらべました。
それで、にているかをたしかめました。
- 研究のまとめ:
-
この場所の岩の中身は、どこも同じではありません。
少なくとも、2つのちがう地域 がありました。
南の地域 では、 はとなりの岩とよくにています。ダナイト ( 地球の中の深いところにある岩からできた、とてもかたい岩の名前。山や地面の下の物質 がどうなっているかを知る手がかりになる)
だから、いっしょにできた可能性 があります。
また、 がとじこめられたかもしれません。マグマ ( 地下にある高温でどろどろにとけた岩。岩ができる原因 になり、岩の種類 や中身のちがいを生む)
南西のすみの岩も、ちがいがあることを示 します。
北東から東の地域 は、ななめのダナイトが多いです。
そこでは、岩がマグマと反応 したかもしれません。
この研究は、 の見え方と中身を野外 ( 山や川など外の自然 の場所で直接 観察 すること。実際 の岩の出方と中身を結 びつけるために大事) 結 びつけました。
それで、岩がどうできたか考える手がかりになります。
- 著者名:
- Fujii Satoru, Takazawa Eiichi
- 掲載誌名:
- Science reports of Niigata University. (Geology)
- 巻:
- 29(Supplement)
- ページ:
- 51 - 52
- 発行日:
- 2014-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/30739
