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人文学部
#紀要論文
醍醐寺蔵探要法花験記に見る和化漢文の用字 : 出典との比較から
- AI解説:
- 醍醐寺蔵探要法花験記は、日本と中国の物語を交互に並べたもので、「
」というお経の奇跡を集めた作品です。日本の部分は『大日本国法華経験記』から、中国の部分は『法華伝記』から引用されています。この研究の目的は、探要法花験記とその元の物語との違いを明らかにし、特に漢字の使い方がどのように変わったかを調べることです。法華経 ( 仏教の経典の一つで、多くの奇跡や教えが書かれています。)
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人文学部
#紀要論文
醍醐寺蔵探要法花験記に見る和化漢文の用字 : 出典との比較から
AI解説
- 背景と目的:
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醍醐寺蔵探要法花験記は、日本と中国の説話を交互に排列し、法華経霊験譚の集成を目指したものである。その出典は、日本の部が『大日本国法華経験記』、中国の部が『法華伝記』から採用されていると考えられる。筆者はこれまで、仏教説話や霊験記に見られる和化漢文資料の特有の事象を明らかにすることを目的としてきたが、特に和化漢文と正格漢文の差異、および和化漢文内部の差異に注目してきた。本稿では、探要法花験記と出典説話との比較から「出典との差異」を明らかにし、特に漢字文の質的転換が和化漢文とどのように関連しているかを考察することを目的としている。
- 主要な発見:
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探要法花験記の日本部と中国部の漢字使用は、使用頻度や漢字の形態において類似していることが確認された。特に、接続詞的用法を担う「時」「即」「然」や文末の助字「也」が、探要法花験記において出典資料よりも頻繁に使用されていることが判明した。この増加傾向は、探要法花験記が独自の文体を形成するために、これらの漢字を積極的に用いていることを示している。特に「時」「即」「然」については、出典からの添加が多く見られ、探要法花験記成立に際してこれらの漢字の使用が増加したことが分かる。
- 方法論:
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本研究では、探要法花験記の漢字使用の全体像を把握するために、漢字の使用頻度を一覧として示し、これを出典資料と比較した。特に、接続詞的用法を担う漢字群と助字群に注目し、その使用頻度と用法を詳細に検討した。また、探要法花験記と類似の性格を持つ中国の漢文資料(法華伝記、華厳経伝記、大唐西域求法高僧伝、天台九祖伝、浄土往生伝)との比較も行い、和化漢文としての特徴を明らかにするためのデータを収集した。
- 結論と意義:
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探要法花験記の日本・中国両部から指標となる漢字表記を抽出し、出典資料との比較を行った結果、探要法花験記は異なる二つの出典を持ちながらも、それぞれの用字を共通の「用字基盤」に近づけようとする姿勢が確認された。特に、接続詞的用法を担う「時」「即」「然」と文末の助字「也」の増加が見られた。これは、和化漢文としての探要法花験記が、出典資料との差異を意識しつつ独自の文体を形成していることを示している。また、和化漢文研究の持つ問題点として、正格漢文の表記システムからの距離を問題にするだけでは見えてこない、和化の事象が存在する可能性が示された。
- 今後の展望:
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今後の課題として、探要法花験記の接続詞や助字の使用傾向が、どのように日本語文化(和化)を取り入れているかをさらに詳細に検討する必要がある。また、和化漢文資料のみを検討の対象とし、正格漢文との比較を行うことで探要法花験記の用字を位置付けるさらなる研究が求められる。特に、正格漢文の規範の中にあるように見える用字が、日本語文の表記に則ったものであることを証明するための具体的な方法論の構築が必要である。このような研究を通じて、和化漢文の新たな側面を明らかにし、より深い理解を得ることが期待される。
- 背景と目的:
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醍醐寺蔵探要法花験記は、日本と中国の物語を交互に並べたもので、「
」というお経の奇跡を集めた作品です。日本の部分は『大日本国法華経験記』から、中国の部分は『法華伝記』から引用されています。この研究の目的は、探要法花験記とその元の物語との違いを明らかにし、特に漢字の使い方がどのように変わったかを調べることです。法華経 ( 仏教の経典の一つで、多くの奇跡や教えが書かれています。)
- 主要な発見:
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探要法花験記の日本の部分と中国の部分では、漢字の使い方が似ていることが分かりました。特に、「時」「即」「然」といった接続詞や、「也」という文末の助詞がよく使われていることが確認されました。これらの漢字は、探要法花験記が独自の文体を作るために積極的に使われており、元の資料よりも頻繁に使用されています。
- 方法論:
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この研究では、探要法花験記に使われている漢字の頻度を一覧にまとめ、元の資料と比較しました。特に接続詞や助詞の使い方に注目し、詳細に調べました。また、探要法花験記と似た性格を持つ中国の漢文資料とも比較し、特徴を明らかにしました。
- 結論と意義:
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探要法花験記の日本と中国の両方の部分から特徴的な漢字を抽出し、元の資料と比較した結果、探要法花験記は独自の文体を作るために、漢字の使い方を工夫していることが分かりました。特に接続詞の「時」「即」「然」と、文末の助詞「也」の増加が見られました。これは、探要法花験記が元の資料との差異を意識しながらも、独自の文体を形成していることを示しています。
- 今後の展望:
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今後の課題として、探要法花験記の接続詞や助詞の使い方がどのように日本文化を取り入れているかをさらに詳しく調べる必要があります。また、
の研究を深めるために、和化漢文 ( 日本文化や言葉の影響を受けた漢文のことです。日本で独自に発展した漢文の一種です。) との比較を行い、新しい視点から探要法花験記の漢字の使い方を明らかにすることが求められます。正格漢文 ( 中国で標準的に使われていた漢文のことです。伝統的な漢文のスタイルです。)
- 何のために?:
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醍醐 寺にある「探要 法花 験 記」という本は、日本と中国の物語が書かれています。この本には「法華 経 」というお経 の がたくさん集められています。日本の話は『大日本国奇跡 ( 普通 では起こらないような不思議 な出来事です。) 法華 経験 記』から、中国の話は『法華 伝記 』から取られています。この研究の目的 は、「探要 法花 験 記」が元の話とどう違 うかを調べることです。特 に の使い方がどう漢字 ( 日本や中国で使われる文字で、一つ一つに意味があります。) 変 わったかを見ます。
- 何が分かったの?:
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日本の話と中国の話では、
の使い方が漢字 ( 日本や中国で使われる文字で、一つ一つに意味があります。) 似 ていることが分かりました。「時」「即 」「然 」という接続詞 、「也 」という助詞 がよく使われています。これらの漢字は、特 に多く使われています。
- どうやったの?:
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この研究では、「探
要 法花 験 記」に使われている の数を調べました。元の漢字 ( 日本や中国で使われる文字で、一つ一つに意味があります。) 資料 と比 べて、接続詞 や助詞 の使い方を詳 しく見ました。また、似 たような中国の本とも比 べて、特徴 を調べました。
- 研究のまとめ:
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「探
要 法花 験 記」の日本の話と中国の話から、特徴 のある を見つけました。それを元の漢字 ( 日本や中国で使われる文字で、一つ一つに意味があります。) 資料 と比 べました。その結果 、「探要 法花 験 記」は独自 の を作るために、漢字の使い方を文体 ( 文章の書き方やスタイルのことです。) 工夫 していることが分かりました。「時」「即 」「然 」と「也 」が特 によく使われています。これは「探要 法花 験 記」が元の資料 と違 う文体を作っていることを示 しています。
- これからどうする?:
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これからは、「探
要 法花 験 記」の接続詞 や助詞 の使い方が日本文化にどう影響 されたか、もっと詳 しく調べる必要 があります。また、 と和化漢文 ( 日本人が日本の文章として読むために少し変 えた中国の漢文です。) を正格 漢文( 元々の中国の漢文そのままの書き方です。) 比 べて、新しい見方で「探要 法花 験 記」の の使い方を明らかにすることが漢字 ( 日本や中国で使われる文字で、一つ一つに意味があります。) 求 められます。
- 著者名:
- 磯貝 淳一
- 掲載誌名:
- ことばとくらし
- 巻:
- 20
- ページ:
- 3 - 12
- 発行日:
- 2008-10
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/31287