集安所在、高句麗壁画墓の基礎的整理 : 『洞溝古墓群 1997年調査測絵報告』に関するメモ

本論文は、中国吉林省集安市における高句麗時代の壁画墓に関する基礎的かつ初歩的な整理を行うことを目的としています。集安市には、かつて高句麗の国都であった丸都山城址と国内城址があり、その周辺には広範囲に渡って古墓群が点在しています。これらの古墓群の中には、墓室の壁面などに図像を描いた壁画墓が含まれており、古くから知られていました。戦前から戦後にかけて多くの調査が行われ、多くの成果が蓄積されていますが、依然としてこの地域の壁画墓を包括的に俯瞰できる資料が不足しているため、著者はこれを整理し、多くの研究者と共有することを目指しています。

本論文では、集安市にある高句麗時代の壁画墓を地域ごとに分類し、その位置関係や時期区分、壁画の内容について詳細に整理しています。特に、壁画墓の時期区分に関しては、4世紀中葉から7世紀初頭までの4期に分けており、それぞれの期ごとに特徴的な墓の構造や壁画のモチーフを明らかにしています。また、墓主像の配置やその変化についても検討し、第1期と第2期では墓主像が後壁に描かれていたのに対し、第3期以降では墓主像が墓室内で門近くの壁面に移動していることが指摘されています。このような変化は、墓主像の役割が低下していることを示唆しています。

本論文では、主に『中国文物地図集 吉林分冊』と『洞溝古墓群 1997年調査測絵報告』のデータを基に、高句麗時代の壁画墓を抽出し、その位置関係や時期区分、壁画の内容を整理しています。特に、洞溝古墓群については、包括的な調査データと分布図を用いて、墓型・規模・現状などの詳細な情報を提供しています。また、各期ごとに代表的な壁画墓を挙げ、その特徴を比較・分析することで、壁画墓の変遷や墓主像の配置の変化を明らかにしています。

本論文は、集安市における高句麗時代の壁画墓の基礎的なデータを整理し、その時期区分や壁画の内容に関する新たな知見を提供しています。特に、墓主像の配置の変化や壁画のモチーフの変遷など、壁画墓内部での継承関係に焦点を当てた点が意義深いです。このような基礎的な整理は、今後の高句麗壁画墓に関する研究において重要な参考資料となり、多くの研究者によるさらなる研究の発展を促すことが期待されます。

今後の研究では、集安市の壁画墓にとどまらず、平壌とその周辺各地に点在する壁画墓との総合的・比較的検討が求められます。また、壁画墓の技法やモチーフに関して、中国各地の壁画墓との影響関係や思想の混淆についてもさらなる分析が必要です。特に、仏教信仰の影響が認められる点については、中国・河西地域の壁画墓には見られない特徴であり、このような思想の混淆をどのように説明するかが今後の重要な課題となります。これらの課題に対する包括的な研究が進むことで、高句麗壁画墓の全体像がより明確になることが期待されます。

この研究は、中国の吉林省にある古いお墓(はか)について調べました。お墓(はか)には絵が描(えが)かれています。たくさんの調査(ちょうさ)が行われましたが、全部をまとめた資料(しりょう)がまだ足りません。研究者はこれを整理して、みんなと共有(きょうゆう)したいと思っています。

この研究では、お墓(はか)がどこにあるかや、いつ作られたか、どんな絵が描(えが)かれているかを調べました。お墓(はか)は4つの時期(お墓(はか)が作られた年代や時代のことです。)に分けられ、それぞれ違(ちが)う特徴(とくちょう)があります。絵の中に描(えが)かれた人の位置(いち)が、時期によって変(か)わることも発見しました。最初(さいしょ)は奥(おく)に描(えが)かれていましたが、後になると入口に近くなりました。

この研究では、いろいろな本や地図を使って、お墓(はか)の場所や時期(お墓(はか)が作られた年代や時代のことです。)、絵の内容(ないよう)を調べました。特(とく)に、洞溝古墓(こぼ)群(ぐん)(吉林省にある、たくさんのお墓(はか)が集まっている場所です。)という場所について詳(くわ)しく調べました。お墓(はか)の形や大きさ、今の状態(じょうたい)についても調べました。また、代表的(だいひょうてき)なお墓(はか)を選(えら)んで、それぞれの特徴(とくちょう)を比(くら)べました。

この研究は、お墓(はか)についての基本的(きほんてき)な情報(じょうほう)を整理しました。特(とく)に、絵の中の人の位置(いち)やテーマ(絵や図に描(えが)かれている内容(ないよう)や題材(だいざい)のことです。)の変化(へんか)を調べました。これにより、今後の研究に役立つ資料(しりょう)となり、さらに研究が進むことが期待されます。

今後の研究では、他の地域(ちいき)のお墓(はか)とも比(くら)べて調べることが大切です。特(とく)に、仏教(ぶっきょう)(インドで生まれた宗教(しゅうきょう)で、中国にも広まりました。)の影響(えいきょう)が見られる点について、他の地域(ちいき)とどう違(ちが)うかを分析(ぶんせき)する必要(ひつよう)があります。これにより、もっと詳(くわ)しいことがわかるでしょう。