論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Legal Remedies for Non-conformity of Goods under CISG, UCC and UK Law
- AI解説:
- 本論文は、売主が契約に適合しない(non-conforming)商品を引き渡した場合に、それを契約違反として扱い、買主が利用できる法的救済を検討する。救済を、自力救済(self-help remedies:例として履行の停止や取消し/解除(avoidance/termination))と、司法の関与を要する法的救済に区別し、後者、とりわけ特定履行(specific performance)と損害賠償(damages)に焦点を当てる。著者は、特定履行について、法体系ごとに利用可能性の判断基準(doctrinal thresholds)が異なるため議論の多い救済だと位置づける。具体的には、CISGでは、買主が代替品(substitute goods)を求められるかどうかが不適合(non-conformity)が根本的契約違反(fundamental breach)に当たるかに依存する一方、コモン・ロー体系では一般に、特定履行は商品の固有性(uniqueness)や金銭賠償の不十分性(inadequacy of monetary compensation)と結び付けられる。本論文は損害賠償に関する第二の中核的問いとして、損害賠償をどのように算定し、どのように制限すべきか、また算定・予見可能性/隔たり(foreseeability/remoteness)・損害軽減(mitigation)に関するルールを踏まえると、実務上、損害賠償は買主を十分に補償しているのかを提起する。目的は、CISG、UCC、UK Sale of Goods Act 1979(以下、SGA)における特定履行と損害賠償の比較分析である。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Legal Remedies for Non-conformity of Goods under CISG, UCC and UK Law
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、売主が契約に適合しない(non-conforming)商品を引き渡した場合に、それを契約違反として扱い、買主が利用できる法的救済を検討する。救済を、自力救済(self-help remedies:例として履行の停止や取消し/解除(avoidance/termination))と、司法の関与を要する法的救済に区別し、後者、とりわけ特定履行(specific performance)と損害賠償(damages)に焦点を当てる。著者は、特定履行について、法体系ごとに利用可能性の判断基準(doctrinal thresholds)が異なるため議論の多い救済だと位置づける。具体的には、CISGでは、買主が代替品(substitute goods)を求められるかどうかが不適合(non-conformity)が根本的契約違反(fundamental breach)に当たるかに依存する一方、コモン・ロー体系では一般に、特定履行は商品の固有性(uniqueness)や金銭賠償の不十分性(inadequacy of monetary compensation)と結び付けられる。本論文は損害賠償に関する第二の中核的問いとして、損害賠償をどのように算定し、どのように制限すべきか、また算定・予見可能性/隔たり(foreseeability/remoteness)・損害軽減(mitigation)に関するルールを踏まえると、実務上、損害賠償は買主を十分に補償しているのかを提起する。目的は、CISG、UCC、UK Sale of Goods Act 1979(以下、SGA)における特定履行と損害賠償の比較分析である。
- 主要な発見:
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3つの法制度を通じて、損害賠償は主として制裁(punitive)ではなく補償(compensatory)を目的とするものとして提示される。CISGは第74条により損害賠償を「逸失利益(loss of profit)を含む損失(loss)に等しい金額」に限定し、懲罰的損害賠償(punitive damages)を排除する。UCCとSGAも、契約損害賠償の目的は処罰ではなく補償であるとして、懲罰的損害賠償を退けるものとして説明される。本論文は、全制度に共通する損害賠償回収の制限原理として、因果関係(損失が違反から生じること)、予見可能性/隔たり(契約締結時に予見可能であること、または隔たりが大きすぎないこと)、損害軽減(被害当事者が損失を減らす合理的措置をとること)を挙げる。
同時に、重要な相違も強調される。特定履行について、CISGは買主による代替品請求(第46条2項)を「根本的契約違反(fundamental breach)」を軸に構成し、修理(repair)については合理的である場合に認める(第46条3項)。しかし第28条により、裁判所は、同種の非CISG売買で国内法が特定履行を認めない場合には、特定履行を否定できる。これに対し、UCCとSGAは特定履行を例外的な救済として扱い、通常、商品の固有性または「その他の適切な事情(other proper circumstances)」(UCC 2-716)を要求し、SGAでは一般に「特定物または確定物(specific or ascertained goods)」(第52条1項)に結び付けるとされる。ただし、裁量や市場例外の事案(例:代替供給が得られない場合)がある。
損害賠償の算定については、CISGは厳格な計算式を提示せず、事実関係に基づいて裁判所・仲裁廷(tribunals)が損失を認定すると説明される一方、UCCとSGAはより構造化された算定方法を定め、その基準時点(timing reference points)が異なる。すなわちUCCは、受領した商品については受領(acceptance)の時点/場所を、マーケット損害(market damages)については違反を知った時点(time learned of breach)を重視し、SGAは品質保証違反(breach of warranty)について引渡時(time of delivery)の価値に焦点を当てる。さらに著者は、実務上、特定履行と損害賠償のどちらを選ぶかは、買主が商品を受け入れる(accept)か拒絶する(reject)かに沿って決まることが多いと主張する。また、予見可能性による制限のために一定の損失が回収不能となり得るとして、本稿の文脈では買主が回収できない損失の例として営業上の評判(loss of business reputation)を挙げている。
- 方法論:
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本論文は、ドクトリン(doctrinal)および比較法の方法を用いる。分析は法体系別に構成され、まずCISG、次にUCC、最後に英国の売買法を扱い、各体系の中で(i)特定履行の利用可能性と制限、(ii)損害賠償の権利とその算定/制限を検討する。議論は法令・条約の規定に根拠づけられ、CISG第45条、第46条、第74条〜第77条、第28条、UCCの2-712、2-713、2-714、2-715、2-716、2-718、SGA 1979の第52条、第53条、第48A条〜第48E条、ならびに隔たり(remoteness)と損害軽減に関する関連法理が含まれる。著者は、複数法域の公刊裁判例および仲裁判断を用いてこれらのルールの運用を示し、通知における「合理的期間(reasonable time)」、修理に対する合理性制約、特定履行を否定する裁量(長期にわたる履行の強制に伴う執行困難を含む)、結果損害(consequential losses)および付随損害(incidental losses)への予見可能性・損害軽減の適用といった概念を例示する。アプローチは実証的というより解釈的かつ事例ベースであり、法規範を統合し、ドクトリン上の閾値と例外を強調しつつ、3つの枠組みで類似の救済上の問題がどのように扱われるかを比較する。
- 結論と意義:
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本論文は、CISG、UCC、英国法が、損害賠償の制限原理(因果関係、予見可能性、損害軽減)と補償志向を共有する一方で、特定履行と損害賠償算定の捉え方および具体的運用において大きく異なると結論づける。UCCとSGAの下では、特定履行は例外的救済として扱われ、一般に商品が固有である場合や損害賠償が不十分な場合にのみ正当化され、特に継続的監督を要する執行となる場合には、裁判所は裁量を保持する。他方CISGでは、買主が代替品を要求できるかは不適合が根本的契約違反に当たるかに依存し、根本的契約違反に至らない不適合に対しては、合理性の制約の下で修理が典型的な履行ベースの救済となる。しかし第28条の意義として、CISGに基づく履行請求の権利はコモン・ローの裁判地(fora)では必ずしも担保されず、裁判所が特定履行を制限する国内基準に立ち戻り得るためである。損害賠償について著者は、CISGは広範な請求権と類型(逸失利益を含む)を与えるものの精密な算定式を提供しないのに対し、UCCとSGAはより明示的な評価ルールを提示し、評価時点(受領か引渡しか)の違いにより、市場価格が変動する場合に結果が異なり得ることを強調する。本論文は、これらの差異を、救済戦略上、すなわち損害賠償で十分となる場面と、履行ベースの救済を求めたくなるが取得が困難となり得る場面を見極めるうえで、実務的に重要だと位置づける。
- 今後の展望:
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本論文は将来の研究や改革のための専用の課題設定を示してはいないが、未解決または実務上困難な領域をいくつか指摘し、今後の方向性を示唆している。第一に、CISG第28条により特定履行の利用可能性が法廷地の国内救済伝統に左右され得るという不確実性を取り上げ、統一売買条約の下でも救済結果が一様にならないという継続的問題を示す。第二に、第74条に基づく損害賠償算定について、CISGには詳細な指針が欠けており、裁判所・仲裁廷の裁量が大きく、価格変動の大きい市場では評価の時点・場所に関する曖昧さが生じ得る点を指摘し、当事者が契約で参照点を特定することで対応し得ると述べる。第三に、完全補償とドクトリン上の制約、特に予見可能性と損害軽減との間の反復する緊張関係を強調し、違反が認められても一定の損失の完全回復が妨げられ得るとする。最後に、長期の売買関係では特定履行に執行・監督上の困難が伴うこと(仲裁廷が損害賠償を優先する事例で示される)を挙げ、継続的義務が問題となる場合、履行救済の実用性は引き続き争点であることを示している。
- 背景と目的:
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この論文は、売主が契約どおりではない商品を渡したときに、それが
になることを前提に、買主がどんな契約違反 ( 契約で約束した義務を果たさないことで、相手が救済を求める出発点になります) を使えるのかを考えています。救済 ( 契約違反が起きたときに、被害を受けた側が使える対応手段のことです)
救済は、大きく分けて当事者だけでできる方法と、裁判所などの判断が必要な方法があります。論文は後者に注目し、特に と特定履行 ( お金ではなく、契約どおりの行為そのものをするよう裁判所が命じる救済で、代替が難しいときに重要になります) を比べます。損害賠償 ( 契約違反で生じた損失をお金で埋め合わせる救済で、3制度で中心的に使われます)
特定履行は、どんな場合に認められるかが法律の仕組みごとに違い、意見が分かれやすい救済だとされています。たとえば では、CISG ( 国際的な売買契約に使われる条約で、国をまたぐ取引のルールをできるだけ共通化するために重要です) を求められるかどうかが代替品 ( 契約どおりの商品を別のものに交換して渡すことを意味し、手に入るかどうかが救済選択に影響します) かどうかに関わります。一方、コモンローの国では、商品が特別で他で手に入らない場合や、お金だけでは補えない場合に特定履行が認められやすいと説明されます。根本的契約違反 ( 違反が重大で、契約の目的が大きく壊れるレベルの違反を指し、CISGで代替品請求などの条件になります)
また損害賠償については、どう計算するか、どんなルールで制限されるか、そして実際に買主を十分に補償できているのかが問題になります。目的は、CISG、アメリカの 、イギリスのSGAで、特定履行と損害賠償を比較することです。UCC ( アメリカの統一商事法典で、州ごとの違いを小さくしながら売買のルールを整える目的があります)
- 主要な発見:
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3つの制度すべてで、
は基本的に罰ではなく、損失を埋めるためのものだと整理されています。損害賠償 ( 契約違反で生じた損失をお金で埋め合わせる救済で、3制度で中心的に使われます) は損害賠償を「損失とCISG ( 国際的な売買契約に使われる条約で、国をまたぐ取引のルールをできるだけ共通化するために重要です) に等しい金額」に限り、逸失利益 ( 本来得られたはずの利益が契約違反で失われたものを指し、損害賠償に含まれ得ます) を認めません。懲罰的損害賠償 ( 相手を罰する目的で損失以上の金額を命じる考え方で、3制度の売買契約では基本的に否定されます) とSGAも同じ考え方です。UCC ( アメリカの統一商事法典で、州ごとの違いを小さくしながら売買のルールを整える目的があります)
また共通する制限として、損失が から生じたこと、契約を結んだ時点で予想できる範囲であること、被害を受けた側が損失を増やさないように合理的な工夫をすることが挙げられます。契約違反 ( 契約で約束した義務を果たさないことで、相手が救済を求める出発点になります)
一方で違いも大きいです。 について、CISGは特定履行 ( お金ではなく、契約どおりの行為そのものをするよう裁判所が命じる救済で、代替が難しいときに重要になります) を求めるには代替品 ( 契約どおりの商品を別のものに交換して渡すことを意味し、手に入るかどうかが救済選択に影響します) が必要で、根本的契約違反でない場合は、状況的に無理がないなら根本的契約違反 ( 違反が重大で、契約の目的が大きく壊れるレベルの違反を指し、CISGで代替品請求などの条件になります) を求められる形になっています。ただしCISG第28条により、裁判所は自国法で特定履行をあまり認めない場合、CISGでも特定履行を認めない判断ができます。修理 ( 不適合を直して契約どおりに近づける方法で、CISGでは根本的でない違反への典型的な対応になります)
これに対してUCCとSGAは、特定履行を例外的な として扱い、普通は商品が特別であることや、お金の補償では足りないことが必要になります。SGAでは特に、特定履行は基本的に特定物や確定物に結びつけて考えられます。ただし、市場で代替品が手に入らないような例外的な状況では柔軟に認められる場合があります。救済 ( 契約違反が起きたときに、被害を受けた側が使える対応手段のことです)
損害賠償の計算でも違いがあります。CISGは細かい計算式を用意しておらず、裁判所や仲裁が具体的事情を見て損失を決めるとされます。UCCとSGAは計算方法が比較的はっきりしていて、どの時点の価格を見るかが違います。UCCは や違反を知った時点を重視し、SGAは受領 ( 買主が商品を受け取ることで、UCCでは損害賠償計算の基準になり得ます) 点を重視します。市場価格が変わりやすい商品だと、この違いで結果が変わり得ます。引渡時 ( 売主が商品を渡すタイミングで、SGAでは価値評価の中心になりやすいです)
さらに実務では、買主が商品を か受け入れる ( 買主が商品を契約上受け取る扱いにすることで、その後の救済が損害賠償中心になりやすいです) かによって、特定履行か損害賠償かの選択が決まりやすいとも述べています。加えて、拒絶する ( 買主が商品を受け取らないとすることで、返品や代替購入など別の救済が選びやすくなります) の制限のため、営業上の評判の低下のような損失は回収できない場合があると指摘されています。予見可能性 ( 契約を結ぶ時点で起こり得ると予想できた損失に限って賠償を認める考え方で、賠償範囲を絞る役割があります)
- 方法論:
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論文は、法律の条文や考え方を中心に分析し、比較法の方法で
、CISG ( 国際的な売買契約に使われる条約で、国をまたぐ取引のルールをできるだけ共通化するために重要です) 、イギリス法の順に整理して比べます。各制度について、UCC ( アメリカの統一商事法典で、州ごとの違いを小さくしながら売買のルールを整える目的があります) がどんな条件で認められるか、特定履行 ( お金ではなく、契約どおりの行為そのものをするよう裁判所が命じる救済で、代替が難しいときに重要になります) を請求できる範囲や計算・制限のルールを検討します。損害賠償 ( 契約違反で生じた損失をお金で埋め合わせる救済で、3制度で中心的に使われます)
また、裁判例や仲裁判断も使い、通知の合理的期間、 を求める際の合理性、裁判所が特定履行を認めない修理 ( 不適合を直して契約どおりに近づける方法で、CISGでは根本的でない違反への典型的な対応になります) 、裁量 ( 裁判所が事情を見て結論を選べる幅のことで、特定履行が認められるかに影響します) や付随損害 ( 検査や保管など、契約違反への対応で追加的にかかった費用で、条件を満たせば回収対象になり得ます) に対する結果損害 ( 契約違反が原因で二次的に広がった損失で、予見可能性などの制限を受けやすいです) ・予見可能性 ( 契約を結ぶ時点で起こり得ると予想できた損失に限って賠償を認める考え方で、賠償範囲を絞る役割があります) の適用などを具体例として示します。損害軽減 ( 被害者側も合理的に損失を小さくする努力を求められるルールで、努力しないと賠償が減ることがあります)
- 結論と意義:
-
結論として、3つの制度は、
が補償目的であること、そして損害賠償 ( 契約違反で生じた損失をお金で埋め合わせる救済で、3制度で中心的に使われます) ・因果関係 ( その損失が契約違反から生じたと言えるつながりで、損害賠償が認められる前提になります) ・予見可能性 ( 契約を結ぶ時点で起こり得ると予想できた損失に限って賠償を認める考え方で、賠償範囲を絞る役割があります) という制限ルールを共有しています。損害軽減 ( 被害者側も合理的に損失を小さくする努力を求められるルールで、努力しないと賠償が減ることがあります)
しかし、 を認める考え方や、損害賠償の計算方法は大きく違います。特定履行 ( お金ではなく、契約どおりの行為そのものをするよう裁判所が命じる救済で、代替が難しいときに重要になります) とSGAでは特定履行は例外で、商品が特別だったり金銭賠償では足りなかったりする場合に限られ、長期の監督が必要なときは裁判所が認めにくいです。UCC ( アメリカの統一商事法典で、州ごとの違いを小さくしながら売買のルールを整える目的があります) ではCISG ( 国際的な売買契約に使われる条約で、国をまたぐ取引のルールをできるだけ共通化するために重要です) かどうかが中心で、根本的でない場合は根本的契約違反 ( 違反が重大で、契約の目的が大きく壊れるレベルの違反を指し、CISGで代替品請求などの条件になります) が重要な修理 ( 不適合を直して契約どおりに近づける方法で、CISGでは根本的でない違反への典型的な対応になります) になりますが、第28条のため、国によっては特定履行が必ずしも認められません。救済 ( 契約違反が起きたときに、被害を受けた側が使える対応手段のことです)
損害賠償については、CISGは幅広く認める一方で細かな計算ルールが弱く、UCCとSGAは評価ルールが明確で、評価時点の違いが結果に影響します。これらの違いは、実務で「損害賠償で足りるのか」「履行を求めたいが通るのか」を判断するうえで重要だと位置づけられます。
- 今後の展望:
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論文は明確な研究課題を新しく設定するというより、実務上の難しさが残る点を示しています。
第28条によって、同じ条約を使っていても国によってCISG ( 国際的な売買契約に使われる条約で、国をまたぐ取引のルールをできるだけ共通化するために重要です) の結果がそろわない不確実性があります。特定履行 ( お金ではなく、契約どおりの行為そのものをするよう裁判所が命じる救済で、代替が難しいときに重要になります) についても、CISG第74条は計算の細かい指針が少ないため、裁判所や仲裁の判断に幅が出やすく、価格変動の大きい市場では評価の時点や場所が問題になり得ます。そのため契約で基準となる時点などを決めておく工夫が考えられます。損害賠償 ( 契約違反で生じた損失をお金で埋め合わせる救済で、3制度で中心的に使われます)
また、完全に補償したいという考えと、 や予見可能性 ( 契約を結ぶ時点で起こり得ると予想できた損失に限って賠償を認める考え方で、賠償範囲を絞る役割があります) による制限の間にはずっと緊張関係があり、損害軽減 ( 被害者側も合理的に損失を小さくする努力を求められるルールで、努力しないと賠償が減ることがあります) があっても損失の全額を回収できない場合があると示しています。さらに長期契約では特定履行の監督が難しく、履行を命じる契約違反 ( 契約で約束した義務を果たさないことで、相手が救済を求める出発点になります) が本当に使いやすいのかは今後も争点だとされています。救済 ( 契約違反が起きたときに、被害を受けた側が使える対応手段のことです)
- 何のために?:
-
この文は、売る人が
約束 とちがう品を、
わたしたときの話です。
それは、約束 をやぶったことになります。
買った人が、何をしてもらえるかを考えます。
たとえば、お金をもらう方法 があります。
また、きちんと品を出してもらう方法 もあります。
この文は、後の方法 を中心に見ます。
とくに、二つのやり方をくらべます。
一つは、約束 どおりに出してもらうことです。
もう一つは、お金でうめてもらうことです。
国やルールで、できることがちがいます。
三つのルールをくらべるのが目的 です。
- 何が分かったの?:
-
三つのルールでは
共通点 があります。
お金をはらうのは、ばつではありません。
へった分を、もとにもどすためです。
また、いくつかの決まりも同じです。
そのへりは、約束 やぶりが原因 であること。
約束 したときに、そうなると予想できること。
へりをふやさない工夫 をすること。
でも、ちがうところも大きいです。
約束 どおりを求 める決まりがちがいます。
あるルールでは、重大なら代わりを求 められます。
重大でないなら、直してもらえることがあります。
ただ、国の決まりで、みとめないこともあります。
ほかのルールでは、これは特別 なときだけです。
その品がとても特別 で、他で買えないときです。
または、お金だけでは足りないときです。
お金の計算のしかたも、ルールでちがいます。
あるルールは、式が少なく、場合で決めます。
ほかのルールは、計算の決まりがはっきりです。
いつのねだんを見るかで、金が変 わります。
ねだんがよく動く品だと、差 が出ます。
また、買った人が受け取るかでも変 わります。
よそうできないへりは、もらえないこともあります。
- どうやったの?:
-
この文は、決まりの文をよく読んで
比 べます。
三つのルールを、順 に整理します。
約束 どおりを求 める条件 を調べます。
お金をもらえるはんいも調べます。
計算や、もらえない決まりも見ます。
また、実さいの の裁判 ( けんかやもめごとが起きたときに、裁判所 で「どちらが正しいか」「どうするか」を決めるしくみです。この文では、実さいの裁判 の例 を使って、ルールが本当にどう動くかをたしかめます。ルールは文章だけでなく、実さいの判断 でどう使われるかが大事です。) 例 も使います。
いつ知らせるか、どれがふつうかも見ます。
直してと言えるかも、例 で示 します。
国によって、みとめない力がある点も見ます。
- 研究のまとめ:
-
三つのルールには、同じ考えがあります。
お金は、うめるためにあるという考えです。
原因 があること、よそう、へりをへらす決まりも同じです。
でも、約束 どおりをみとめる考えはちがいます。
ある国のルールでは、それは になりやすいです。例外 ( ふだんの決まりとはちがって、「特別 なときだけ」別 の扱 いをすることです。この文では、約束 どおりをみとめるのが、国によっては例外 になりやすいと言っています。例外 があると、いつも同じ結論 にならないので、判断 がむずかしくなります。)
品が特別 なときなどに、みとめられます。
長く見はる必要 があると、みとめにくいです。
別 のルールでは、重大かどうかが大事です。
重大でないなら、直すことが大切になります。
ただ、国により、みとめないこともあります。
お金の計算も、ルールで差 が出ます。
このちがいは、どう動くか決めるときに大事です。
お金で足りるか、出してもらえるかを考えます。
- これからどうする?:
-
同じルールでも、国で
結果 がそろいません。
それは、約束 どおりがみとめられないことがあるからです。
お金の計算も、決め方がぶれやすいです。
ねだんが大きく動くと、いつのねだんかが問題です。
だから、約束 の文で決めておく工夫 が考えられます。
また、全部うめたい気もちもあります。
でも、よそうできるへりだけ、という決まりもあります。
そのため、全部はもらえないことがあります。
長い約束 では、やりきったか見はるのも大変 です。
約束 どおりの命れいが、使いやすいかは今後の話題です。
- 著者名:
- Nan Kham Mai
- 掲載誌名:
- 現代社会文化研究
- 巻:
- 62
- ページ:
- 273 - 302
- 発行日:
- 2016-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/41805
