論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Bery Good is Very Good in More Ways than One : The Intelligibility of /b/ or /β/ Phoneme Substitutions for the /v/ Phoneme in Japanese & Chinese Non-native English Speaker Conversations
- AI解説:
- 本研究はEnglish as a Lingua Franca(ELF)研究に位置づく質的研究であり、非母語話者(non-native English speakers: NNSs)が自然発生的な相互行為の中で、どのように相互の理解可能性(mutual intelligibility)を達成しているかに焦点を当てる。著者は、これまでのELF発音研究の多くが、修復(repair)や交渉(negotiation)を引き起こす「逸脱した(deviant)」形式に注目してきた一方で、母語話者(native-speaker: NS)の引用形(citation forms)からは外れていても相互行為上の支障を生まない発音が十分に検討されてこなかったと論じる。さらに、実験的な理解可能性測定が理解可能性を話者側に過度に帰属させているという批判を踏まえ、本研究は、理解可能性が参加者間で動的に成立するという相互行為的観点を採用する。本論文の中心的な実証的焦点は、発音辞書が/v/を要求する位置での/b/または/β/への置換の理解可能性であり、とりわけ日本の大学における日本語話者–中国語話者のNNS同士のペア(Japanese–Chinese NNS dyads)を対象とする。/v/からの逸脱が重要な結果をもつのか、またNNS–NNSの英会話において/v/を/b/または/β/に置き換えることが理解可能性に影響するのかを問うとともに、日本語(および中国語)のLingua Franca Core(LFC)に含めるべき発音特徴に関する提案に資することも目的とする。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
Bery Good is Very Good in More Ways than One : The Intelligibility of /b/ or /β/ Phoneme Substitutions for the /v/ Phoneme in Japanese & Chinese Non-native English Speaker Conversations
AI解説
- 背景と目的:
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本研究はEnglish as a Lingua Franca(ELF)研究に位置づく質的研究であり、非母語話者(non-native English speakers: NNSs)が自然発生的な相互行為の中で、どのように相互の理解可能性(mutual intelligibility)を達成しているかに焦点を当てる。著者は、これまでのELF発音研究の多くが、修復(repair)や交渉(negotiation)を引き起こす「逸脱した(deviant)」形式に注目してきた一方で、母語話者(native-speaker: NS)の引用形(citation forms)からは外れていても相互行為上の支障を生まない発音が十分に検討されてこなかったと論じる。さらに、実験的な理解可能性測定が理解可能性を話者側に過度に帰属させているという批判を踏まえ、本研究は、理解可能性が参加者間で動的に成立するという相互行為的観点を採用する。本論文の中心的な実証的焦点は、発音辞書が/v/を要求する位置での/b/または/β/への置換の理解可能性であり、とりわけ日本の大学における日本語話者–中国語話者のNNS同士のペア(Japanese–Chinese NNS dyads)を対象とする。/v/からの逸脱が重要な結果をもつのか、またNNS–NNSの英会話において/v/を/b/または/β/に置き換えることが理解可能性に影響するのかを問うとともに、日本語(および中国語)のLingua Franca Core(LFC)に含めるべき発音特徴に関する提案に資することも目的とする。
- 主要な発見:
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コーパス全体を通じて、“visited”“very”“river”といった語で/v/が/b/または/β/に置換された発音は、参加者によって圧倒的に理解可能であり、相互行為上問題のないものとして扱われていた。著者の会話分析的な用語で言えば、これらの発音は修復を誘発せず、その場の文脈において規範的(normative)なものとして志向されていた。すなわち、相手は進行中の行為を理解していることが示される応答(例:受領トークンの産出、系列を適切に継続すること、理解を前提としたフォローアップ質問の産出)を行っていた。このことから論文は、検討対象となった相互行為において、日本語話者と中国語話者のNNS間で相互理解可能性を確保するために、NSのように正確に/v/を調音することは必要ではないと主張する。/β/による/v/置換の近傍で修復が生じた系列が1つあったが、詳細な系列分析によれば、トラブルの原因は「river」の発音ではなく固有名詞 “Shinkawa” であった。特に、引用形ではない発音の「river」という語彙項目が、指示対象を明確化するための資源として機能していた。著者は、/v/の正確さが理解可能性にとって決定的だとする先行研究の主張は、この相互行為的設定に関しては誇張されており、「近似的(proximate)」な実現(/b/や/β/を含む)でもNNS–NNSのコミュニケーションは成功し得ると結論づける。
- 方法論:
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本研究はConversation Analysis(CA)、とりわけ系列分析(sequential analysis)を用い、理解可能性を当事者的(emic)で参加者にとって関連的(participant-relevant)な現象として操作的に定義する。理解可能な発話とは修復の対象にならないものとして定義し、理解不能は、参加者がトラブルに志向し修復系列を開始する場合に示される(Schegloff et al. 1977などの研究に従う)。著者は、理解しやすさ(comprehensibility)を主観的な困難さとして測定することを明確に退け、実験室ベースの理解可能性課題(例:ディクテーション)が、理解可能性が話者に静的に存在するかのように含意し、話者と聞き手の間で交渉されるという側面を捉え損なうとして批判する。データは、2010年9月から2011年2月にかけて、日本の主要大学でSkypeを用いて行われ録音された44件の英会話であり、日本語母語のNNSと非日本語母語のNNSがペアになっている。焦点分析は主として日本語話者–中国語話者のペアを扱う。録音は著者の英語授業における学生の宿題として作成されたもので、同意した学生には授業内の加点が与えられた。転写はJefferson式の慣習に松本(2011)の修正を加えた方法に従い、音韻分析に関連する語彙項目についてはIPA転写(ダイアクリティカルマーク付き)も含める。著者はまた、このコーパスに対して「allophone(異音)」の概念を調整して用いる。すなわち、逸脱した音素であっても、参加者が理解可能で問題ないものとして志向する発話に現れる場合には異音的変異(allophonic variant)として扱う。これは、データセット内にNSが存在しないため、NSの受容可能性(acceptability)を根拠として異音性を定めることができない点を踏まえたものである。
- 結論と意義:
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本論文は、これらのELF相互行為において、/v/を/b/または/β/に置換することそれ自体は、会話における参加者の志向のされ方から見て、理解可能性を損なわないと結論づける。これに基づき著者は、NS発音規範が効果的なコミュニケーションに必要であるという欠如志向(deficit-oriented)の前提に異議を唱え、目標がNNS–NNSの理解可能性である場合、/v/を正確に達成することへの教育上の強調は正当化されにくい可能性があると論じる。結果は、/v/の正確さが重要だと示唆する先行研究(Jenkins 2000ほか)を批判するためにも用いられ、先行研究はNSの判断に依拠していること、理解可能性(intelligibility)と理解しやすさ(comprehensibility)を混同していること、または教育的な有効性(pedagogical payoff)を示していないことが多いと指摘する。Lingua Franca Coreに関する理論的含意として著者は、日本語話者・中国語話者のELF話者にとって/v/は中核的な分節音特徴(core segmental feature)として扱うべきではなく、むしろ非中核(non-core)に分類すべきだと提案する。というのも、分析した相互行為では、/b/または/β/による置換という形で/v/が欠けても誤解や意思疎通の失敗につながらなかったためである。論文はまた、参加者が地域的な英語変種に慣れていた可能性に関する限界も認める。すなわち、話者が時間の経過とともに互いの発音に慣れていたかどうかは不明である。ただし著者は、どちらの解釈であっても/v/訓練の教育的優先度を下げることを支持すると論じる。なぜなら、置換は、容易に適応(accommodatable)可能であるか、あるいは相互行為において本質的に重要でない(intrinsically inconsequential)ように見えるからである。
- 今後の展望:
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本論文は、ELFにおいて理解可能性にとって重要な発音特徴を同定するという、より広範で継続中のプロジェクトへの貢献として位置づけられ、とりわけ日本語話者に関して、現実の相互行為の中で参加者が実際に何を問題として扱うのかを検討する、実証に根ざしたCA研究のさらなる必要性を示唆する。また、発音規範は普遍的なNS基準として外部から課されるのではなく、特定のコミュニケーション生態(communicative ecologies)におけるELF使用者によって定まるという見方に沿って、局所的に適応可能なLingua Franca Coreの各版を発展させていく方向性も示している。具体的な実験計画の詳細は提示しないものの、議論は、相互行為に基づく分析を拡張し、NNS–NNSコミュニケーションを目的とする発音教育において、どの分節的(segmental)・超分節的(suprasegmental)特徴を優先(あるいは低優先)とすべきかを精緻化する必要性を示唆する。さらに論文は、発音教育における「post-normative」アプローチを長期的な方向性として位置づける。これは、NNSを理解可能性の正当な判断者(legitimate arbiters)として受け入れ、NSベンチマークへの依存を減らし、自然発生的なコミュニケーション実践において相互行為上の成功に実際に影響することが示される特徴に基づいてシラバスを構築する立場である。
- 背景と目的:
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この研究は、英語を「共通語」として使う場面を扱う研究です。英語が母語ではない人同士が、自然な会話の中でどうやってお互いを理解できているのかに注目しています。
これまでの研究は、発音が原因で聞き返しや言い直しが起きた場面を中心に調べることが多くありました。しかしこの研究は、英語の母語話者の標準的な発音と違っていても、会話が問題なく進む発音にも目を向けます。
特に、英語では本来/v/で発音される部分が、/b/や/β/のように発音される場合でも、日本語話者と中国語話者の英会話で本当に困りごとが起きるのかを確かめます。さらに、その結果を、英語の発音学習で何を優先すべきかという提案にもつなげることを目的としています。
- 主要な発見:
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会話データ全体を見ると、“visited”“very”“river”などで、本来/v/のところが/b/や/β/になっていても、ほとんどの場合相手は問題なく理解していました。聞き返しや言い直しが起きず、会話の流れも止まりませんでした。
また、/β/が出てくる近くで一度だけ会話が止まった場面がありましたが、詳しく調べると原因は「river」の発音ではなく、固有名詞 “Shinkawa” が相手に伝わらなかったことでした。むしろ「river」という語は、場所の説明に役立つ言葉として使われていました。
これらから、この研究は、日本語話者と中国語話者の英会話では、母語話者のように正確に/v/を発音できなくても、/b/や/β/のような近い音で十分通じる場合が多いと結論づけています。
- 方法論:
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この研究は、会話を細かく観察して分析する方法を使っています。ここでは「理解できたかどうか」を、テストの点数のように測るのではなく、会話の中で実際に参加者が困っていないかどうかで判断します。
具体的には、聞き返しや言い直しなどの「 」が起きなかった発話を「理解可能」とします。逆に、参加者が困った様子を見せて修復が始まった場合は「理解できていない」とみなします。修復 ( 会話の中で「聞き取れない」「意味がわからない」などの問題が起きたときに、聞き返しや言い直しで立て直すやりとりのことです。修復が起きるかどうかが、理解できているかを見分ける重要な手がかりになります。)
データは、日本の大学でSkypeを使って録音された英会話44件です。主に日本語話者と中国語話者のペアの会話を詳しく分析しています。発音の分析が必要な部分は、IPAという記号を使って音を細かく書き起こしています。また、母語話者がいないデータなので、「母語話者にとって正しいか」ではなく、「その会話の参加者にとって問題がないか」を基準にして音の違いを扱っています。
- 結論と意義:
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この研究は、対象となった英会話では、/v/を/b/や/β/に置き換えること自体は、理解の妨げにならないことが多いと結論づけます。
そのうえで、母語話者の発音に近づけられないことを「欠けている」と考える見方に疑問を出し、英語が母語ではない人同士の会話が目的なら、/v/の正確な練習を強く優先する必要は低いかもしれないと述べます。
また、発音教育で重要だとされてきた考え方の中には、母語話者の判断に頼りすぎていたり、「どれだけ理解できたか」と「聞き取りやすいと感じたか」を混ぜてしまっていたりする問題があると指摘します。
さらに、英語を共通語として使うときに重要な発音のポイントをまとめたLFCについて、日本語話者・中国語話者の組み合わせでは/v/は「必ず守るべき中心」ではなく、「優先度の低い特徴」に入れるべきだと提案します。
- 今後の展望:
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この研究は、英語が共通語として使われる場面で「本当に大事な発音は何か」を明らかにしていく取り組みの一部です。今後は、実際の会話の中で参加者が何を問題として扱うのかを、もっと多くのデータで確かめる必要があると述べています。
また、発音の基準は最初から決まった母語話者の型ではなく、その場の話し手同士が作っていくものだという考え方に立ち、地域や状況に合わせてLFCを調整していく方向性も示します。
そして、発音教育では、英語母語話者の発音を絶対の目標にするのではなく、英語が母語ではない人同士の会話で「実際に通じること」に役立つ特徴を中心に教える考え方を、長期的な方針として位置づけています。
- 何のために?:
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この研究は、
英語 を共通 のことばとして、
みんなが使うときの話です。
英語 が でない人どうしが、母語 ( 生まれてからいちばん多く使ってきた自分のことばのことです。英語 が母語でない人という言い方で英語 が第一のことばではない人を表します。この研究では母語の人を目標 にしすぎない考え方が大事になります)
どうやって分かり合うかを見ます。
今までの研究は、発音がちがって、
聞き返す場面をよく調べました。
でも今回は、発音が少しちがっても、
会話が進むときにも注目します。
とくに「v」の音が「b」みたいでも、
困 るかどうかをたしかめます。
そして、発音のれんしゅうで、
何を大事にするか考えます。
- 何が分かったの?:
-
会話の中では、「v」の音が「b」でも、
ほとんど分かってもらえました。
聞き返しも少なく、会話は止まりません。
一度だけ会話が止まった場面がありました。
でも原因 は「river」ではありません。
「Shinkawa」という名前が、
うまく伝 わらなかったからです。
むしろ「river」は、場所の説明 に
役立つことばになっていました。
だから「v」が正しく言えなくても、
近い音で通じることが多いです。
- どうやったの?:
-
この研究は、会話をよく見て、
くわしく調べるやり方です。
テストみたいに点数で見ません。
会話で困 っているかで決めます。
聞き返しや言い直しがないときは、
「分かった」と考えます。
困 った様子で直しが始まったら、
「分かっていない」と考えます。
は、大学でデータ ( 調べるために集めた材料 のことです。ここでは録音 した英会話 などがデータです。データがあることで研究の説明 が根拠 のあるものになります) を使い、Skype ( インターネットで通話やビデオ通話ができるサービスの名前です。会話のデータを集めるために使います。この研究では録音 した英会話 を集める道具として重要 です)
した録音 ( 声を機械 やアプリに残 してあとで聞けるようにすることです。会話をくわしく調べるために必要 です) 英会話 44こです。
日本語の人と中国語の人の会話を、
中心に調べました。
音をくわしく書くときは、
特別 な記号も使いました。
大事なのは、 の人の正しさより、母語 ( 生まれてからいちばん多く使ってきた自分のことばのことです。英語 が母語でない人という言い方で英語 が第一のことばではない人を表します。この研究では母語の人を目標 にしすぎない考え方が大事になります)
その会話で困 らないことです。
- 研究のまとめ:
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この研究では、「v」を「b」みたいにしても、
じゃまにならないことが多いです。
の人みたいに言えないことを、母語 ( 生まれてからいちばん多く使ってきた自分のことばのことです。英語 が母語でない人という言い方で英語 が第一のことばではない人を表します。この研究では母語の人を目標 にしすぎない考え方が大事になります)
足りないと決めつけないで、と言います。
英語 が母語でない人どうしなら、
「v」を一番に練習しなくてもよいかもです。
また、母語の人の判断 だけに頼 ると、
まちがえることもあると指摘 します。
「分かること」と「聞きやすさ」は、
同じではないとも言います。
そして という考え方では、LFC ( 英語 の発音で通じるために特 に大事な点をまとめて考える考え方の名前です。どの音を優先 して練習するかを決めるときに使います。この文章では v の音が LFC では重要度 が低 いと提案 しています)
この組み合わせだと「v」は、
大事さが低 いほうに入ると提案 します。
- これからどうする?:
-
この研究は、本当に大事な発音を、
見つけるための取り組みです。
これからは、もっと多い会話で、
何が問題かをたしかめます。
発音のきまりは、最初 から決まらず、
話す人どうしで作るとも考えます。
だから、場所や場面に合わせて、
をLFC ( 英語 の発音で通じるために特 に大事な点をまとめて考える考え方の名前です。どの音を優先 して練習するかを決めるときに使います。この文章では v の音が LFC では重要度 が低 いと提案 しています) 変 える考えも示 します。
発音の勉強では、 の人を母語 ( 生まれてからいちばん多く使ってきた自分のことばのことです。英語 が母語でない人という言い方で英語 が第一のことばではない人を表します。この研究では母語の人を目標 にしすぎない考え方が大事になります) 目標 にしすぎず、
通じるために大事な点を教える、
という方針 を大切にします。
- 著者名:
- O'neal George
- 掲載誌名:
- 言語の普遍性と個別性
- 巻:
- 4
- ページ:
- 53 - 77
- 発行日:
- 2013-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/27100
