論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
ゾレドロン酸で前処置した白血病性形質細胞様樹状細胞株PMDC11を用いたγδT細胞の効果的な誘導
- AI解説:
- 本研究の背景として、樹状細胞(DC)は抗原を取り込み、MHC分子上に抗原を提示することでナイーブT細胞を活性化し、エフェクターT細胞へと誘導する重要な役割を果たしている点が挙げられます。近年、DCを用いた免疫療法は抗腫瘍効果が期待されているが、特定の腫瘍抗原が同定されていない腫瘍に対する治療法は確立されていません。そこで本研究は、白血病性形質細胞様樹状細胞株(PMDC05)を用いて、OK432およびIFN-γによる刺激がどのように細胞傷害活性および抗原提示能に影響を与えるかを解析することを目的としています。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
ゾレドロン酸で前処置した白血病性形質細胞様樹状細胞株PMDC11を用いたγδT細胞の効果的な誘導
AI解説
- 背景と目的:
-
本研究の背景として、樹状細胞(DC)は抗原を取り込み、MHC分子上に抗原を提示することでナイーブT細胞を活性化し、エフェクターT細胞へと誘導する重要な役割を果たしている点が挙げられます。近年、DCを用いた免疫療法は抗腫瘍効果が期待されているが、特定の腫瘍抗原が同定されていない腫瘍に対する治療法は確立されていません。そこで本研究は、白血病性形質細胞様樹状細胞株(PMDC05)を用いて、OK432およびIFN-γによる刺激がどのように細胞傷害活性および抗原提示能に影響を与えるかを解析することを目的としています。
- 主要な発見:
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本研究での主要な発見は、OK432およびIFN-γによる刺激がPMDC05の細胞表面抗原であるTRAILおよびCCR7の発現を増強し、これにより腫瘍細胞に対する直接的な細胞傷害活性が有意に増加することが確認された点です。また、OK432およびIFN-γで刺激されたPMDC05は、サイトカイン(IL-6およびTNF-α)の産生が増加し、免疫応答を強化する可能性があることが示されました。特にTRAILは腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する能力を持ち、これがPMDC05の細胞傷害活性の一因であると考えられます。
- 方法論:
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実験では、PMDC05細胞株をOK432およびIFN-γで刺激した後、フローサイトメトリーを用いて細胞表面抗原の発現を解析しました。また、Cytometric Bead Array(CBA)法を用いてサイトカイン産生を測定し、T2A24細胞を標的細胞とする細胞傷害性試験を行いました。細胞傷害活性はFACSを用いて測定し、得られたデータを統計解析しました。これにより、刺激されたPMDC05の細胞機能およびサイトカイン産生能の変化を詳細に評価しました。
- 結論と意義:
-
本研究の結果、OK432およびIFN-γ刺激によりPMDC05のTRAILおよびCCR7の発現が増強し、これにより腫瘍細胞に対する直接的な細胞傷害活性が向上することが示されました。また、サイトカイン産生の増加も確認され、PMDC05が強力な抗原提示細胞として機能する可能性が示唆されました。この結果は、PMDC05を用いた新たな抗腫瘍免疫療法の開発において重要な知見を提供するものであり、特に腫瘍抗原が同定されていない場合でも有効な治療法の基盤となり得ます。
- 今後の展望:
-
今後の研究では、異なるアッセイを用いたPMDC05の遊走能試験を含むさらなる解析が必要です。また、in vivoでの実験を通じて、OK432およびIFN-γで刺激されたPMDC05の治療効果を確認することが重要です。さらに、臨床試験を通じて安全性および効果の検証を行うことで、PMDC05を用いた抗腫瘍免疫療法の実用化を目指すべきです。これにより、特定の腫瘍抗原が同定されていない腫瘍に対する新たな治療法が確立されることが期待されます。
- 背景と目的:
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本研究の背景として、
は、体内に入ってきた異物(樹状細胞(DC) ( 体の中に入ってきた異物(抗原)を取り込み、T細胞に見せることで免疫反応を引き起こす細胞です。) )を取り込み、抗原 ( 免疫反応を引き起こす物質のことです。細菌やウイルスの一部がこれに当たります。) という部分にその抗原を貼りつけてT細胞に見せることで、T細胞を活性化し、免疫反応を引き起こす重要な役割を持っています。最近、DCを使った免疫療法ががんの治療に効果があると期待されていますが、特定のがん細胞の特徴がわかっていない場合の治療法はまだ確立されていません。そこで、この研究では、特別な種類の樹状細胞(MHC分子 ( 体内の異物(抗原)をT細胞に提示するための重要な分子です。) )を使い、PMDC05 ( 特別な種類の樹状細胞で、がん治療に使われることを期待されています。) とOK432 ( 特定の菌から作られた免疫刺激物質です。) という物質で刺激して、その細胞障害活性(がん細胞を傷つける能力)や抗原提示能(T細胞に抗原を見せる能力)がどう変わるかを調べることを目的としています。IFN-γ ( 免疫反応を強化する働きを持つ物質です。)
- 主要な発見:
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この研究でわかったことは、
とOK432 ( 特定の菌から作られた免疫刺激物質です。) による刺激がIFN-γ ( 免疫反応を強化する働きを持つ物質です。) の細胞表面にあるPMDC05 ( 特別な種類の樹状細胞で、がん治療に使われることを期待されています。) とTRAIL ( がん細胞を細胞死に導く力を持つ分子です。) という分子の量を増やし、それによってがん細胞に対する細胞障害活性が大幅に増加することです。また、OK432とIFN-γで刺激されたPMDC05は、CCR7 ( 樹状細胞がリンパ節に移動するために必要な分子です。) やIL-6 ( 炎症や免疫反応に関与するサイトカインです。) という物質の産生が増え、免疫応答を強化する可能性があることも示されました。特にTRAILは、がん細胞を細胞死(TNF-α ( がん細胞の細胞死を引き起こすサイトカインです。) )に導く力があり、これがPMDC05の細胞障害活性の一因であると考えられます。アポトーシス ( 細胞が計画的に死ぬ現象のことです。)
- 方法論:
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実験では、
細胞をPMDC05 ( 特別な種類の樹状細胞で、がん治療に使われることを期待されています。) とOK432 ( 特定の菌から作られた免疫刺激物質です。) で刺激した後、フローサイトメトリーという方法を使って細胞表面の分子の量を調べました。また、Cytometric Bead Array(CBA)法でIFN-γ ( 免疫反応を強化する働きを持つ物質です。) やIL-6 ( 炎症や免疫反応に関与するサイトカインです。) の量を測定し、T2A24細胞という標的細胞を使って細胞障害性試験を行いました。細胞障害活性はFACSという装置で測定し、得られたデータを分析しました。これにより、刺激されたPMDC05の機能やTNF-α ( がん細胞の細胞死を引き起こすサイトカインです。) 産生の変化を詳しく評価しました。サイトカイン ( 免疫細胞が分泌する物質で、免疫反応を調整する役割があります。)
- 結論と意義:
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この研究の結果、
とOK432 ( 特定の菌から作られた免疫刺激物質です。) で刺激することで、IFN-γ ( 免疫反応を強化する働きを持つ物質です。) のPMDC05 ( 特別な種類の樹状細胞で、がん治療に使われることを期待されています。) とTRAIL ( がん細胞を細胞死に導く力を持つ分子です。) の量が増え、がん細胞に対する細胞障害活性が向上することがわかりました。また、CCR7 ( 樹状細胞がリンパ節に移動するために必要な分子です。) やIL-6 ( 炎症や免疫反応に関与するサイトカインです。) の産生も増え、PMDC05が効果的なTNF-α ( がん細胞の細胞死を引き起こすサイトカインです。) 提示細胞として働く可能性が示されました。この結果は、PMDC05を使った新しいがん治療法の開発に役立つ重要な情報を提供しています。特に、がん細胞の特徴がわかっていない場合でも効果的な治療法になるかもしれません。抗原 ( 免疫反応を引き起こす物質のことです。細菌やウイルスの一部がこれに当たります。)
- 今後の展望:
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今後の研究では、
の動きや他の方法を使ったさらなる分析が必要です。また、生体内での実験を通じて、PMDC05 ( 特別な種類の樹状細胞で、がん治療に使われることを期待されています。) とOK432 ( 特定の菌から作られた免疫刺激物質です。) で刺激されたPMDC05の治療効果を確認することが重要です。さらに、臨床試験で安全性と効果を検証し、PMDC05を使ったがん免疫療法の実用化を目指すべきです。これにより、がん細胞の特徴がわかっていない場合でも新しい治療法が確立されることが期待されます。IFN-γ ( 免疫反応を強化する働きを持つ物質です。)
- 何のために?:
-
体の中には、
(じゅじょうさいぼう)という樹状 細胞 ( 体に入ってきた悪いものを捕 まえて、T細胞 に見せる細胞 で、体の免疫 システムの一部) 細胞 があります。この細胞 は、体に入ってきた悪いもの( )を抗原 ( 体にとって悪いもので、免疫 システムが攻撃 する目標 ) 捕 まえます。そして、それを というT 細胞 ( 体を守る働 きをする細胞 で、免疫 システムの重要 な部分) 仲間 に見せます。そうすることで、T細胞 が元気になり、体を守る働 きが始まります。最近 、この樹状 細胞 を使った治療 ががんに効 くかもしれないと考えられています。でも、どんながんにも効 く方法 はまだ見つかっていません。そこで、特別 な樹状 細胞 ( )を使って、がんをやっつける力がどうPMDC05 ( 特別 な種類 の樹状 細胞 で、がん治療 に使われる可能性 がある) 変 わるかを調べました。
- 何が分かったの?:
-
この研究でわかったことがあります。
というPMDC05 ( 特別 な種類 の樹状 細胞 で、がん治療 に使われる可能性 がある) 細胞 を、 とOK432 ( 細胞 を元気にする物質 で、がん治療 の一環 として使われる) というものを使って元気にします。すると、がんをやっつける力が強くなりました。また、IFN-γ ( インターフェロンガンマという名前の物質 で、免疫 システムを元気にする) やIL-6 ( インターロイキン6という物質 で、体の守る力を強くする) というTNF-α ( 腫瘍 壊死 因子 アルファという物質 で、体の守る力を強化する) 物質 も増 えて、体を守る力が強くなりました。特 に、 というものががんをやっつけるのにとても大事だということです。TRAIL ( 腫瘍 細胞 を死滅 )
- どうやったの?:
-
まず、
というPMDC05 ( 特別 な種類 の樹状 細胞 で、がん治療 に使われる可能性 がある) 細胞 に とOK432 ( 細胞 を元気にする物質 で、がん治療 の一環 として使われる) を使いました。そして、そのIFN-γ ( インターフェロンガンマという名前の物質 で、免疫 システムを元気にする) 細胞 にどんな変化 があるかをフローサイトメトリーという方法 で調べました。次に、 やIL-6 ( インターロイキン6という物質 で、体の守る力を強くする) というTNF-α ( 腫瘍 壊死 因子 アルファという物質 で、体の守る力を強化する) 物質 の量 をCytometric Bead Array(CBA)という方法 で測 りました。最後 に、T2A24という細胞 を使って、がんをやっつける力をFACSという装置 で調べました。
- 研究のまとめ:
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とOK432 ( 細胞 を元気にする物質 で、がん治療 の一環 として使われる) を使うと、IFN-γ ( インターフェロンガンマという名前の物質 で、免疫 システムを元気にする) のPMDC05 ( 特別 な種類 の樹状 細胞 で、がん治療 に使われる可能性 がある) とCCR7のTRAIL ( 腫瘍 細胞 を死滅 ) 量 が増 えました。そして、がんをやっつける力が強くなりました。また、 やIL-6 ( インターロイキン6という物質 で、体の守る力を強くする) もTNF-α ( 腫瘍 壊死 因子 アルファという物質 で、体の守る力を強化する) 増 えて、体を守る力が強くなりました。この結果 は、新しいがんの治療 法 を見つけるのに役立ちます。特 に、どんながんにも効 く方法 が見つかるかもしれません。
- これからどうする?:
-
これからは、
のPMDC05 ( 特別 な種類 の樹状 細胞 で、がん治療 に使われる可能性 がある) 働 きをもっとよく調べます。また、体の中での実験 も行います。そして、本当に安全で効果 があるかを確認 します。PMDC05を使った治療 法 が、どんながんにも効 くようになると良 いですね。
- 著者名:
- 西澤 幹則, 成田 美和子, 岩谷 俊平, 大岩 恵理, 内山 孝由, 高橋 益廣
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 12
- 号:
- 1
- ページ:
- 69 - 75
- 発行日:
- 2015-09
- 著者による要約:
- γδT細胞は様々な腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を有しており, in vitroにおいてゾレドロン酸を用いる事で末梢血単核球(PBMNC)から選択的に誘導することが可能であることから, γδT細胞の腫瘍に対する養子免疫療法への応用が期待されている。また, ゾレドロン酸で前処置した単球由来樹状細胞(moDC)でPBMNCを刺激することで, 従来の培養法に比べ効果的にγδT細胞を誘導すること可能であるという報告がある。そこで本検討では, 当研究室で樹立した白血病性形質細胞様樹状細胞株PMDC11を用いた場合でも, moDCと同様にγδT細胞をより効果的に誘導出来るか否かを検討した。ゾレドロン酸で24時間前処置したPMDC11でPBMNCを刺激することで従来の培養法に比べより効果的にγδT細胞を誘導することが可能であった。また,誘導されたγδT細胞の腫瘍細胞株に対する細胞傷害活性も確認された。以上のことから, γδT細胞を用いた養子免疫療法へのPMDC11の応用の可能性が示唆された。
γδT cells possess a cytotoxic activity against various human tumor cells and can be easily expanded by phosphoantigen stimulation in vitro. Thus, adoptive immunotherapy with γδT cells is an attractive strategy for tumor. It has been reported that dendritic cells (DCs) treated with aminobisphosphonates, such as zoledoronic acid (ZA), could more efficiently expand γδT cells than conventional culture protocol without DCs in tumor patients. On the other hand, we have reported that a leukemic plasmacytoid dendritic cell line transduced with CD80 gene, PMDC11, which was previously established in our laboratory, possess the function equivalent to conventional DCs. Here, in order to establish the method of generating potent γδT cells, we investigated whether ZA-treated PMDC11 cells could also expand γδT cells efficiently. γδT cell expansions were performed by co-culturing PB mononuclear cells (MNCs) with PMDC11 cells incubated with ZA for 24 hours. Co-culturing of PBMNCs with ZA-treated PMDC11 cells induced efficient expansion of γδT cells compared with the conventional culture protocol without PMDC11 cells. In the cytotoxicity assay, expanded γδT cells were used as effector cells and myeloma cell line (RPMI8226) was used as target cells. This assay demonstrated that expanded γδT cells possessed cytotoxicity against RPMI8226 in an effector-to-target ratiodependent manner. These finding showed that ZA-treated PMDC11 cells efficiently expanded γδT cells with cytotoxic activity. The present date suggested that the method of generating γδT cells by co-culturing PBMNCs with ZA-treated PMDC11 cells could be applicable to an efficient γδT cell adoptive immunotherapy for tumors.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38964
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