4D-CTの画質改善と新たな虚血評価手法の開発に関する研究

脳卒中は、日本人の死亡原因として癌、心疾患についで第3位であり、寝たきりになる疾患では第1位です。特に急性期脳梗塞は迅速な診断と治療が求められます。CT検査はその迅速性と簡便性から、急性期脳梗塞の診断において重要な役割を果たします。本研究の目的は、頭部四次元CT(4D-CT)における画質改善手法の有用性を確認するとともに、新たな虚血評価手法を開発し、その有用性を検証することです。

本研究では、画像ノイズの低減を図るためにtemporal average (TA)法を考案しました。TA法は、連続撮影された画像を時間軸で加算平均することで画像ノイズを減少させる手法です。TA法により作成された4D-CTA画像は、従来のハイブリッド逐次近似再構成(HIR)法と比較して、皮質枝の視認性が顕著に改善されました。また、新たな灌流評価用画像であるphaseratioimagemap (PImap)を開発し、その有用性を検証した結果、PImapは従来のCTPの灌流画像よりもPET-CBFと強い相関を示し、灌流評価用画像として有用であることが示されました。

最初に、4D-CT検査では造影剤を注入して血行動態を観察し、連続撮影された画像を取得します。TA法では、隣接する2画像を加算平均して画像ノイズを低減し、結果として皮質枝の視認性を向上させることができます。次に、PImapの作成手順として、連続撮影画像を加算平均処理して早期相(EPI)と遅延相(LPI)を作成し、EPIをLPIで除算することでPImapを得ます。さらに、MP-CTAの視覚評価と比較して、PRmapの精度を検証するために、カットオフ値による脳梗塞領域の面積を算出しました。

TA法により、CT検査の画像ノイズを低減しながら、皮質枝の視認性を改善することができました。また、簡便で特別な解析ソフトウェアを必要としないPImapは、PET-CBFと強い相関を示し、灌流評価用画像として有用であることが確認されました。PRmapでは、脳梗塞領域の客観的評価が可能となり、MP-CTAの視覚評価結果と一致することが示されました。これにより、迅速かつ正確な脳虚血の病態評価ができることが示唆されました。

今後は、虚血の程度に応じた早期相および遅延相の時相差、加算平均の時相数についてさらなる検証が必要です。また、PRmapの精度向上に向けた血管情報の除去などの課題解決も重要です。急性期脳梗塞症例を対象にした追加検証により、PImapの有用性をより明確にする必要があります。これらの手法が確立されれば、CT検査による急性期脳梗塞の診断精度向上に寄与し、患者の予後改善に貢献できると考えられます。

脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、命に関わることがあります。)は、日本人の死亡原因として癌、心疾患についで第3位であり、寝たきりになる原因としては第1位です。特に急性期脳梗塞(脳の血管が急に詰まって血液が流れなくなる状態のことです。)は早急な診断と治療が重要です。CT検査(X線を使って体の内部を画像化する検査です。)は、迅速に実施できるため、急性期脳梗塞の診断において重要な役割を果たします。本研究の目的は、頭部四次元CT (4D-CT(時間の経過に伴って連続して撮影されたCT画像のことです。)) の画質を向上させる手法の有用性を確認し、新たな虚血評価手法を開発してその有用性を検証することです。

本研究では、画像ノイズ(画像中の不要なざわざわした部分のことです。)（画像の不要なざわざわした部分）を減らすために、temporal average (TA) 法(連続して撮影された画像を時間ごとに平均して画像ノイズを減らす方法です。)を考案しました。これは、連続して撮影された画像を時間ごとに平均して画像ノイズを減らす方法です。TA法を使って作成された4D-CT(時間の経過に伴って連続して撮影されたCT画像のことです。)A画像は、従来の方法よりも脳の細かい血管がよく見えるようになりました。また、新しい灌流（血流）評価用画像であるphaseratioimagemap (PImap)(血流の状態を評価するための新しい画像手法です。) を開発し、その有用性を検証した結果、PImapは他の灌流画像よりも正確な情報を提供することが分かりました。

まず、4D-CT(時間の経過に伴って連続して撮影されたCT画像のことです。)検査では造影剤を注入して血流を観察し、連続した画像を取得します。TA法では、連続した2つの画像を平均することでノイズを減らし、脳の血管がよく見えるようにします。次に、PImapの作成手順として、連続した画像を平均して早期相 (EPI) と遅延相 (LPI) の画像を作成し、これらを利用してPImapを得ます。また、MP-CTA(複数のタイミングで撮影されたCT血管画像のことです。)の視覚評価と比較して、PRmap(PImapをもとに、脳梗塞の範囲を評価するための手法です。)の精度を確認するために、脳梗塞の領域をカットオフ値を使って算出しました。

TA法は、CT検査(X線を使って体の内部を画像化する検査です。)の画像ノイズ(画像中の不要なざわざわした部分のことです。)を減らしながら、脳の細かい血管の視認性を向上させることができました。また、特別な解析ソフトウェアを必要としないPImapは、正確な灌流評価ができることが分かりました。PRmap(PImapをもとに、脳梗塞の範囲を評価するための手法です。)を使うことで、脳梗塞の客観的な評価が可能となり、迅速かつ正確に脳虚血の状態を評価することができることが示されました。

今後は、虚血の程度に応じた早期相および遅延相の調整や、さらに精度の高いPRmap(PImapをもとに、脳梗塞の範囲を評価するための手法です。)を作成するための方法を検討する必要があります。また、急性期脳梗塞(脳の血管が急に詰まって血液が流れなくなる状態のことです。)の患者を対象にした追加の検証により、PImapの有用性をより明確にすることが求められます。これらの手法が確立されれば、CT検査(X線を使って体の内部を画像化する検査です。)による急性期脳梗塞の診断精度が向上し、患者の治療結果の改善に寄与することが期待されます。