論文詳細
大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
1852年朝鮮『平安道中和府壬子式年戸籍』初探
- AI解説:
- 本論文は、東北大学附属図書館に所蔵されている『平安道中和府壬子式年戸籍』(以下、『中和府戸籍』)について分析し、その特徴を検討することを目的としている。この戸籍は朝鮮北西部の平安道中和府で1852年に作成されたものであり、日本に現存する唯一の平安道地域の旧式戸籍である。従来の朝鮮戸籍研究は主に南部の慶尚道地域に焦点を当てており、北部地域の戸籍はほとんど研究されてこなかった。本研究は、このギャップを埋めるために、中和府戸籍の内容を体系的に分析し、慶尚道地域の戸籍と比較することで、朝鮮時代後期の北部の社会構造や身分制度の解体傾向を明らかにしようとしている。
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大学院現代社会文化研究科
#紀要論文
1852年朝鮮『平安道中和府壬子式年戸籍』初探
AI解説
- 背景と目的:
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本論文は、東北大学附属図書館に所蔵されている『平安道中和府壬子式年戸籍』(以下、『中和府戸籍』)について分析し、その特徴を検討することを目的としている。この戸籍は朝鮮北西部の平安道中和府で1852年に作成されたものであり、日本に現存する唯一の平安道地域の旧式戸籍である。従来の朝鮮戸籍研究は主に南部の慶尚道地域に焦点を当てており、北部地域の戸籍はほとんど研究されてこなかった。本研究は、このギャップを埋めるために、中和府戸籍の内容を体系的に分析し、慶尚道地域の戸籍と比較することで、朝鮮時代後期の北部の社会構造や身分制度の解体傾向を明らかにしようとしている。
- 主要な発見:
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中和府戸籍の分析から、いくつかの重要な発見が得られた。第一に、この戸籍には相当数の漏戸および漏口が存在し、特に女性や若年層の記載が非常に少ないことが判明した。第二に、戸主のうち大半が「幼学」と「閑良」であり、軍役などの身役負担者が非常に少なかったことが明らかになった。これは、慶尚道地域以上に軍役制の解体が進行していた可能性を示している。第三に、戸内に記載されている奴婢が極めて少なく、奴婢制がほとんど解体されていたことが確認された。これらの発見は、平安道地域における社会変動と身分制度の解体傾向を示唆しており、慶尚道地域とは異なる特徴が浮き彫りにされた。
- 方法論:
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本研究では、『中和府戸籍』の記載内容を詳細に分析し、特に戸主、戸内登載者、職役、人数などのデータを収集して整理した。分析の基礎としては、戸籍の基本構成、記載様式、登載者の属性、戸内人数の分布などを検討した。また、他地域、特に慶尚道地域の同時期の戸籍データと比較することで、『中和府戸籍』の特徴を浮き彫りにした。この比較分析により、地域ごとの違いや共通点を明確にし、中和府地域の特異性を評価することができた。
- 結論と意義:
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『中和府戸籍』の分析から導かれた結論は、平安道地域における戸籍の特徴とその史料的価値について重要な洞察を提供するものである。中和府戸籍の記載方式や内容は、慶尚道地域の戸籍と基本的には共通しているものの、いくつかの点で異なり、特に漏戸・漏口の多さや軍役制の早期解体が際立っている。また、奴婢制の解体傾向も顕著であり、これは中和府地域における社会変動を反映している。この研究は、朝鮮時代後期の北部地域の社会構造や身分制度の変化を理解する上で貴重な資料を提供し、今後の朝鮮史研究における重要な指針となる。
- 今後の展望:
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今後の研究では、平安道地域の他の戸籍や関連史料の発掘と分析を進めることで、より広範な視点から中和府戸籍の特徴とその背景を理解することが求められる。また、南部の慶尚道地域との比較だけでなく、他の地域との比較研究も進めることで、朝鮮全土における戸籍制度の変遷や地域ごとの社会構造の違いをより明確にすることが可能となる。さらに、現存する他の旧式戸籍や新式戸籍との連続性を検討し、19世紀後半から20世紀初頭にかけての朝鮮社会の変動を包括的に理解するための基盤を築くことが期待される。
- 背景と目的:
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この研究は、東北大学にある『平安道中和府壬子式年
』という1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析することを目的としています。この戸籍は朝鮮北西部の平安道中和府で作られたもので、現存する唯一の平安道地域の旧式戸籍です。これまでの研究は主に朝鮮南部の慶尚道地域に焦点を当てていたため、北部の情報はほとんどありませんでした。本研究はそのギャップを埋めるために行われました。戸籍 ( 個人や家族の情報を記載した公式な記録です。この研究では1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析しています。)
- 主要な発見:
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この
を分析した結果、いくつか重要な発見がありました。まず、女性や若い人の記載が非常に少ないことがわかりました。次に、戸主(家の代表者)の多くが「戸籍 ( 個人や家族の情報を記載した公式な記録です。この研究では1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析しています。) 」や「幼学 ( 官職についていない儒生(学問を学ぶ人)のことを指します。身役(軍務などの義務)を免除されていることが多いです。) 」という役割で、軍務などの負担が少なかったことが明らかになりました。最後に、ほとんど奴隷や召使いが記載されておらず、閑良 ( 軍務などの負担がなく、特定の役割を持たない人のことを指します。) 制度がほぼ解体されていたことが確認されました。これらの発見は、平安道地域の社会構造や身分制度の変化を示しています。奴婢 ( 奴隷や召使いのことを指します。朝鮮では奴婢制度がありましたが、この研究ではその制度がほとんど解体されていたことが確認されました。)
- 方法論:
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『中和府
』の記載内容を詳細に分析し、戸主や家族構成、役割などのデータを収集しました。そして、他の地域、特に南部の慶尚道地域の戸籍と比較することで、違いや共通点を明らかにしました。戸籍 ( 個人や家族の情報を記載した公式な記録です。この研究では1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析しています。)
- 結論と意義:
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この分析から、平安道地域の
には慶尚道地域と共通する点と異なる点があることがわかりました。特に、女性や子供の記載が少ないことや、軍務の解体が進んでいること、戸籍 ( 個人や家族の情報を記載した公式な記録です。この研究では1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析しています。) 制がほとんど解体されていることが特徴的です。この研究は、朝鮮時代後期の北部地域の社会構造や身分制度の変化を理解するために重要な資料を提供します。奴婢 ( 奴隷や召使いのことを指します。朝鮮では奴婢制度がありましたが、この研究ではその制度がほとんど解体されていたことが確認されました。)
- 今後の展望:
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今後は、平安道地域の他の
や関連する史料を分析することで、さらに詳しい理解を深めることが期待されます。また、南部以外の地域との比較研究も進めることで、朝鮮全土の戸籍制度の変遷や社会構造の違いを明らかにすることができます。戸籍 ( 個人や家族の情報を記載した公式な記録です。この研究では1852年に作成された朝鮮の古い戸籍について分析しています。)
- 何のために?:
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この研究は、東北大学にある昔の朝鮮の
を調べることが戸籍 ( 家族や個々 の人々の情報 を公式に記録 した文書) 目的 です。この戸籍 は という平安道 ( 昔の朝鮮の地域 の名前) 地域 で1852年に作られました。これまでの研究は主に朝鮮南部に関 するものでした。北部の情報 は少なかったので、そのギャップを埋 めるために行いました。
- 何が分かったの?:
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この
を調べた戸籍 ( 家族や個々 の人々の情報 を公式に記録 した文書) 結果 、いくつかの大切なことがわかりました。まず、女性 や若 い人の名前が少ないです。次に、家の代表者の多くは「 」や「幼 学( 若 い学生の称号 ) 」という閑 良 ( 特 に定職 を持たない人、主に農民 や一般 市民 など) 役割 でした。これらの人は軍 の仕事が少なかったです。最後 に、ほとんど奴隷 や召使 いが記載 されていませんでした。 がほとんどなくなっていることがわかりました。奴婢 制度 ( 人々を奴隷 や召使 いとして働 かせる制度 )
- どうやったの?:
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この
の戸籍 ( 家族や個々 の人々の情報 を公式に記録 した文書) 内容 を詳 しく調べました。家の代表者や家族の構成 、役割 などのデータを集めました。そして他の地域 、特 に南部の戸籍 と比 べました。違 いや共通点 を確認 しました。
- 研究のまとめ:
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この
分析 から、平安道 ( 昔の朝鮮の地域 の名前) 地域 の には南部と戸籍 ( 家族や個々 の人々の情報 を公式に記録 した文書) 共通 する点と違 いがあることがわかりました。特 に、女性 や子供 の記載 が少ないこと、 の軍務 ( 軍 の仕事や兵役 ) 解体 が進んでいること、奴婢 制 がほとんどなくなっていることが特徴 です。この研究は、 の北部朝鮮時代後期 ( 朝鮮半島の歴史 の中で、1392年から1910年までの時代の中の後半部分) 地域 の社会の変化 を理解 するために重要 です。
- これからどうする?:
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これからは、
平安道 ( 昔の朝鮮の地域 の名前) 地域 の他の や戸籍 ( 家族や個々 の人々の情報 を公式に記録 した文書) 関連 する資料 も調べます。さらに詳 しく理解 することが期待されます。また、南部以外 の地域 とも比 べることで、朝鮮全土の戸籍 制度 や社会の違 いがわかります。
- 著者名:
- 山内 民博
- 掲載誌名:
- 資料学研究
- 巻:
- 16
- ページ:
- 16 - 32
- 発行日:
- 2019-03
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/51051
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