論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
看護系大学と自治体との連携による災害支援組織の発展過程 : 新潟県大学災害支援連携協議会活動のエコマップを用いた分析
- AI解説:
- 本研究の背景には、新潟県が過去に複数の大規模な自然災害を経験してきたことがある。2004年の集中豪雨と新潟県中越地震、2007年の中越沖地震などにより、新潟県は甚大な被害を受けた。その経験をもとに、新潟県内の看護系大学と自治体が防災および災害支援活動を行うための連携組織「新潟県大学災害支援連携協議会」を2009年2月に発足させた。この研究の目的は、協議会が発足してからの連携・組織化の発展を明らかにし、大学と自治体との連携の要因を考察することにある。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
看護系大学と自治体との連携による災害支援組織の発展過程 : 新潟県大学災害支援連携協議会活動のエコマップを用いた分析
AI解説
- 背景と目的:
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本研究の背景には、新潟県が過去に複数の大規模な自然災害を経験してきたことがある。2004年の集中豪雨と新潟県中越地震、2007年の中越沖地震などにより、新潟県は甚大な被害を受けた。その経験をもとに、新潟県内の看護系大学と自治体が防災および災害支援活動を行うための連携組織「新潟県大学災害支援連携協議会」を2009年2月に発足させた。この研究の目的は、協議会が発足してからの連携・組織化の発展を明らかにし、大学と自治体との連携の要因を考察することにある。
- 主要な発見:
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本研究では、協議会発足時の2009年2月と、2012年7月時点のエコマップを比較分析した結果、発足当初の連携数が51であったのが、3年5か月後には80に増加したことが明らかとなった。連携は、大学内の他部署、大学同士、大学と自治体間で進展し、さらに災害医療コーディネートチームやNPO、看護職ボランティアなど専門性の高い組織から個人まで幅広く組織化が進んだ。この増加は、防災という明確な目的と東日本大震災時の協働活動が組織化を推進した要因であると考えられた。
- 方法論:
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研究方法としては、エコマップを用いた事例分析を採用した。エコマップは構成員が認識する関係性を図式化する手法で、2009年2月と2012年7月の2回にわたり描かれた。エコマップの描画により、構成員間の連携や交流の量的・質的変化を分析した。連携の量的変化は、エコマップに描かれた連携を表す線の数を数えることで評価し、質的変化は線の種類や関係形成のエピソードに基づいて評価した。これにより、協議会の組織化と連携の進展を明らかにした。
- 結論と意義:
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本研究の結果から、協議会が発足してからの3年5か月間で連携の数と質が大幅に向上したことが確認された。特に、大学と自治体、大学内の他部署、災害医療コーディネートチーム、NPO、看護職ボランティアなどとの連携が拡大し、協議会自体が組織としてより強化された。この研究は、防災という明確な目標が連携を進める上で重要であり、日常的な交流が有事の際の迅速かつ効果的な連携を可能にすることを示している。協議会の活動は、他の地域や分野でも参考になるモデルとなるだろう。
- 今後の展望:
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今後の展望としては、協議会のさらなる組織化と拡大が求められる。特に、新潟県のように離島や豪雪地域を有する地域では、連携方法に課題が残るため、これらの地域に適した連携体制の構築が必要である。また、大学は地域の防災教育や防災計画に積極的に関与し、自治体との連携を強化することが期待される。さらに、災害時における具体的な支援活動の計画を明確にし、実施可能な体制を整備することで、より効果的な災害支援が可能となるだろう。
- 背景と目的:
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新潟県は過去に大きな自然災害を何度も経験してきました。2004年の大雨と中越地震、2007年の中越沖地震などで大きな被害を受けたことが背景にあります。これを受けて、新潟県内の看護系大学と自治体が協力して防災と災害支援の活動を行うために「新潟県大学災害支援連携協議会」が2009年に設立されました。この研究の目的は、その協議会がどのように発展したかを明らかにし、大学と自治体がどう連携したかを考察することです。
- 主要な発見:
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研究では、2009年2月と2012年7月の
を比較しました。これにより、協議会発足当初の連携数は51だったのが、3年5か月後には80に増えたことがわかりました。連携は大学内の他部署、大学同士、大学と自治体の間で進み、災害医療チームやエコマップ ( 関係性を図で表す方法で、個人や組織間のつながりを視覚的に示すものです。これにより、どのような連携や交流があるかがわかりやすくなります。) 、看護ボランティアなど専門性の高い組織から個人まで幅広く進んでいました。この増加は、防災という明確な目的と東日本大震災時の協力活動が要因と考えられました。NPO ( Non-Profit Organizationの略で、利益を追求しない団体のことです。主に社会貢献や福祉活動を行います。)
- 方法論:
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研究では
という方法を使って分析を行いました。エコマップは、関係性を図で表す手法です。協議会発足時の2009年2月と2012年7月のエコマップを描き、連携や交流の変化を見ました。連携の数はエコマップに描かれた線の数を数え、質の変化は線の種類や関係のエピソードに基づいて評価しました。エコマップ ( 関係性を図で表す方法で、個人や組織間のつながりを視覚的に示すものです。これにより、どのような連携や交流があるかがわかりやすくなります。)
- 結論と意義:
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研究結果として、協議会発足から3年5か月間で連携の数と質が大幅に向上したことが確認されました。大学と自治体、大学内の他部署、災害医療チーム、
、看護ボランティアなどとの連携が拡大し、協議会自体がより強化されました。この研究は、防災という明確な目標が連携を進めるために重要であり、普段からの交流が災害時の迅速な連携を可能にすることを示しています。協議会の活動は他の地域や分野でも参考になるモデルとなるでしょう。NPO ( Non-Profit Organizationの略で、利益を追求しない団体のことです。主に社会貢献や福祉活動を行います。)
- 今後の展望:
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今後の展望としては、協議会のさらなる組織化と拡大が求められます。特に、新潟県のように離島や豪雪地域を持つ地域では、連携方法に課題があるため、これらの地域に適した連携体制の構築が必要です。また、大学は地域の防災教育や計画に積極的に関与し、自治体との連携を強化することが期待されます。さらに、災害時に具体的な支援活動の計画を明確にし、実施可能な体制を整えることで、より効果的な災害支援が可能となるでしょう。
- 何のために?:
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新潟県は、たくさんの大きな
自然 を災害 ( 地震 や台風など、自然 が原因 で大きな被害 をもたらす出来事です。) 経験 してきました。2004年の大雨や中越地震 、2007年の中越沖 地震 などです。このため、新潟県の看護 系 大学と が自治体 ( 市や町などの地域 を管理 する政府 の部分です。) 協力 して、「新潟県大学災害 支援 連携 ( 一緒 に協力 して働 くことです。) 」を作りました。この協議会 ( いろいろな人や組織 が集まって話し合い、問題を解決 するための会議 やグループです。) 協議会 がどう発展 したかを調べるために、この研究が行われました。
- 何が分かったの?:
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2009年と2012年の
をエコマップ ( 人や組織 の関係性 を図で表す方法 です。どのように協力 しているかがわかります。) 比 べました。 の協議会 ( いろいろな人や組織 が集まって話し合い、問題を解決 するための会議 やグループです。) 数は、2009年は51でしたが、3年5か月後には80に連携 ( 一緒 に協力 して働 くことです。) 増 えました。連携 は、大学の他の部署 や大学同士 、 との間で進みました。自治体 ( 市や町などの地域 を管理 する政府 の部分です。) や災害 医療 チーム( 災害 が起きたときに、けが人や病気の人を助けるための専門家 のグループです。) 、NPO ( 非営利 組織 のことです。お金のためではなく、人を助けることを目的 に活動します。) とも看護 ボランティア( けがや病気の人を助けるために、自分の時間を使って働 く人たちです。) 協力 しました。この増加 は、 の防災 ( 災害 が起きる前に、その被害 ) 目的 や東日本 大震 災 時の協力 活動が要因 でした。
- どうやったの?:
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という図を使って調べました。エコマップは、エコマップ ( 人や組織 の関係性 を図で表す方法 です。どのように協力 しているかがわかります。) 関係性 を図で表す方法 です。2009年と2012年のエコマップを描 きました。 の数は、図に連携 ( 一緒 に協力 して働 くことです。) 描 かれた線の数を数えました。質 の変化 は、線の種類 や関係 の話に基 づいて評価 しました。
- 研究のまとめ:
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の数と連携 ( 一緒 に協力 して働 くことです。) 質 は、3年5か月で大きく向上しました。大学と 、大学内の他の自治体 ( 市や町などの地域 を管理 する政府 の部分です。) 部署 、 、災害 医療 チーム( 災害 が起きたときに、けが人や病気の人を助けるための専門家 のグループです。) 、NPO ( 非営利 組織 のことです。お金のためではなく、人を助けることを目的 に活動します。) との看護 ボランティア( けがや病気の人を助けるために、自分の時間を使って働 く人たちです。) 連携 が広がりました。この研究は、 の防災 ( 災害 が起きる前に、その被害 ) 目標 が連携 を進めるために大切だと示 しています。 の活動は、他の協議会 ( いろいろな人や組織 が集まって話し合い、問題を解決 するための会議 やグループです。) 地域 や分野でも参考 になるでしょう。
- これからどうする?:
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のさらなる協議会 ( いろいろな人や組織 が集まって話し合い、問題を解決 するための会議 やグループです。) 組織化 と拡大 が求 められます。特 に、離 島 や豪雪 地域 では、連携 ( 一緒 に協力 して働 くことです。) 方法 に課題 があります。大学は地域 の 教育や計画に防災 ( 災害 が起きる前に、その被害 ) 積極的 に関 わり、 との自治体 ( 市や町などの地域 を管理 する政府 の部分です。) 連携 を強化することが期待されます。 時に災害 ( 地震 や台風など、自然 が原因 で大きな被害 をもたらす出来事です。) 具体的 な支援 活動の計画を明確 にし、実行できる体制 を整えることが重要 です。
- 著者名:
- 青木 萩子, 齋藤 智子, 岩佐 有華, 宇田 優子, 袖山 悦子, 杉本 洋, 飯吉 令枝, 山田 正実, 本間 昭子, 坪川 トモ子, 田辺 生子, 野上 聡子, 佐藤 順子, 榎田 健, 高野 真弓, 清水 智子
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 12
- 号:
- 1
- ページ:
- 47 - 55
- 発行日:
- 2015-09
- 著者による要約:
- 過去に被災県として経験した災害看護を基盤に,2009年2月に防災及び災害支援の一環として自治体と新潟県内の5看護系大学等教育機関の7構成員で組織する新潟県大学災害支援連携協議会が発足した.本研究は,協議会発足後どのように連携・組織化が発展したかを明らかにするために,7構成員がそれぞれ発足時の2009年2月と,2012年7月当時のエコマップを画き,変化を分析した.結果,発足当時は全構成員の連携数が合計51,3年5か月後には80と増加した.連携先の変化としては,大学内の他部署との連携,大学同士の連携,大学と自治体との連携がみられた.さらに災害医療コーディネートチームやNPO,そして有志等個人と,専門性の高い組織から個人の参加まで幅広く組織化し,協議会自体が拡大した.連携と組織化が進んだ要因は,防災という目的が明確であったことと,東日本大震災による近隣県の被災者を救護した際の協働活動が組織化を推進したと考察した.
On the basis of the experiences of Niigata Prefecture in disaster nursing in past disaster situations, the University of Niigata Prefecture Disaster Aid Cooperation Council was constituted in February 2009 as part of a system for disaster prevention and disaster support, consisting of autonomous communities and educational facilities, including nursing universities. In the present study, 7 members of the council drew their ecomaps in February 2009 and July 2012, and the differences were analyzed, in order to clarify how the council developed cooperation and achieved systemization after it was constituted. The results showed that the number of cooperative relationships for all of the members increased from 51 in total at the time of constitution of the council to 80 after 3 years and 5 months. The changes in the systemization of the members showed the development of cooperation between different departments within a nursing university, among universities, and between universities and autonomous communities. It was also found that a wide variety of members from highly specialized agencies to individuals, such as disaster medical coordination teams, NPOs and volunteers participated and achieved systemization in the council, leading to expansion of the whole organization. Such development in cooperation and systemization was considered to be due to the establishment of substantive mutual exchanges among nursing universities and autonomous communities, as well as due to push forward the organization by its collaborative works in disaster relief for victims of the Great East Japan Earthquake also in neighboring prefectures.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38960
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