論文詳細
医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
看護学生の危険予知に関する研究 : 小児臨床写真を用いた視線運動と観察による分析
- AI解説:
- 日本の看護基礎教育において、2008年に行われたカリキュラム改正で「医療安全」が明記され、医療現場における医療安全の重要度と期待度が高まっています。しかし、小児看護学領域における学生の危険予知に関する報告は少なく、安全教育の効果的な方略の明確化が急務となっています。本研究の目的は、卒業年次の看護学生が小児臨床写真を観察する際の視線運動と観察意図から、彼らの危険予知の実態を明らかにすることです。
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医学部保健学科
医歯学系
#紀要論文
看護学生の危険予知に関する研究 : 小児臨床写真を用いた視線運動と観察による分析
AI解説
- 背景と目的:
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日本の看護基礎教育において、2008年に行われたカリキュラム改正で「医療安全」が明記され、医療現場における医療安全の重要度と期待度が高まっています。しかし、小児看護学領域における学生の危険予知に関する報告は少なく、安全教育の効果的な方略の明確化が急務となっています。本研究の目的は、卒業年次の看護学生が小児臨床写真を観察する際の視線運動と観察意図から、彼らの危険予知の実態を明らかにすることです。
- 主要な発見:
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本研究の結果、卒業年次の看護学生が小児臨床写真を観察する際に、転倒・転落に関する危険予知は多くの学生ができていた一方で、輸液の流量設定の間違いや薬剤無投与の危険については誰も指摘できなかったことが分かりました。また、視線解析の結果からは、学生が特に「左の子ども」に対して長時間注視していることが明らかになり、探索的観察が促進されていることが示唆されました。
- 方法論:
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本研究は、視線運動の解析による準実験法および半構造化面接法を用いた混合型研究法を採用しました。研究対象は4年制大学の看護学専攻に在籍する卒業年次の看護学生11名であり、研究期間は平成25年7月から9月までです。視線測定にはモバイル型アイマークレコーダーを使用し、定量データと定性データを収集しました。データの分析には、注視回数と注視時間を主な指標とし、Friedman検定とSpearman順位相関係数を用いて統計処理を行いました。
- 結論と意義:
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本研究の結果から、看護学生は危険をスクリーニングしようとする探索的な観察法を実施していることが明らかになりました。また、転落や輸液ラインの自然抜去については予知できていたものの、輸液ポンプの流量設定の間違いや薬剤無投与の危険については予知できていませんでした。これにより、卒業年次の学生でも危険予測の能力に差があることが示され、より早期からの段階的な教育支援が必要であることが示唆されました。
- 今後の展望:
-
本研究は、看護基礎教育における医療安全教育の重要性を再確認するものであり、今後は医療安全教育のカリキュラム上の位置づけや関連性を明確にする必要があります。各学年や学習進度に沿った教材と教育支援方法の開発が急務であり、特に薬剤や医療機器に関する知識や経験を強化するための教育が求められます。また、視線解析技術を活用して、学生の観察力や危険予知能力を客観的に評価し、教育効果の検証を行うことが今後の課題です。
- 背景と目的:
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日本の看護教育では、2008年のカリキュラム改正で「医療安全」が明記され、医療現場での安全対策が重要視されています。しかし、小児看護における学生の
に関する研究は少なく、効果的な安全教育方法が必要とされています。本研究の目的は、卒業間近の看護学生が小児の臨床写真を観察する際の危険予知 ( 危険が起こりそうな状況をあらかじめ見つけることです。知識や経験に基づいて行います。) と観察の意図を通じて、学生の危険予知の実態を明らかにすることです。視線運動 ( 人が何かを見るときの目の動きのことです。特にどこを見ているかを調べるために使います。)
- 主要な発見:
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研究の結果、卒業間近の看護学生は転倒や転落の
は多くの学生ができていましたが、輸液の流量設定の誤りや薬剤無投与の危険については誰も指摘できませんでした。また、視線解析の結果、学生は特に「左の子ども」を長時間見ていることが分かり、探索的な観察が促進されていることが示唆されました。危険予知 ( 危険が起こりそうな状況をあらかじめ見つけることです。知識や経験に基づいて行います。)
- 方法論:
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本研究では、
の解析を使った準実験法と半構造化面接法を用いました。研究対象は4年制大学の看護学専攻に在籍する卒業年次の看護学生11名で、研究期間は平成25年7月から9月までです。視線測定にはモバイル型アイマークレコーダーを使用し、視線運動 ( 人が何かを見るときの目の動きのことです。特にどこを見ているかを調べるために使います。) と定量データ ( 数値で表せるデータのことです。例えば、視線の動きの回数や時間などです。) を収集しました。データの分析には、注視回数と注視時間を主な指標とし、Friedman検定とSpearman順位相関係数を使って統計処理を行いました。定性データ ( 数値ではなく言葉で表されるデータのことです。例えば、インタビューの内容などです。)
- 結論と意義:
-
研究結果から、看護学生は転落や輸液ラインの自然抜去については予知できていたものの、
の流量設定の間違いや薬剤無投与の危険については予知できていませんでした。これにより、卒業間近の学生でも危険予測の能力に差があることが分かり、より早い段階からの段階的な教育支援が必要であることが示唆されました。輸液ポンプ ( 患者に液体(薬や栄養)を点滴するための機械です。流量や量を正確に設定する必要があります。)
- 今後の展望:
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本研究は、看護教育における医療安全教育の重要性を再確認する結果となりました。今後は、医療安全教育のカリキュラムの位置づけや関連性を明確にする必要があります。各学年や学習進度に応じた教材と教育支援方法の開発が急務であり、特に薬剤や医療機器に関する知識や経験を強化する教育が求められます。また、視線解析技術を活用して、学生の観察力や
能力を客観的に評価し、教育効果を検証することが今後の課題です。危険予知 ( 危険が起こりそうな状況をあらかじめ見つけることです。知識や経験に基づいて行います。)
- 何のために?:
-
日本の
看護 の勉強では、2008年に「病院での安全」が大事だと決まりました。ですが、子どもの看護 での危険 を予測 する研究は少ないです。この研究の目的 は、もうすぐ卒業 する看護 学生が子どもの写真を見る時の目の動きと、その理由を調べることです。
- 何が分かったの?:
-
研究の
結果 、看護 学生は子どもが転ぶ危険 は分かりました。しかし、薬の使い方の間違 いについては誰 も気づきませんでした。目の動きを調べると、学生たちは特 に「左の子ども」を長く見ていました。
- どうやったの?:
-
この研究では、目の動きを調べる
方法 とインタビューを使いました。研究に参加 したのは大学4年生の看護 学生11人です。研究期間は平成25年7月から9月までです。目の動きを測 るために特別 な機械 を使いました。データを分析 するために、注目する回数と時間を数えました。
- 研究のまとめ:
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研究の
結果 、看護 学生は転ぶ危険 には気づきましたが、薬の流れの間違 いや薬を使わない危険 には気づきませんでした。これにより、早い段階 からの教育が必要 だと分かりました。
- これからどうする?:
-
この研究は、
看護 の勉強で安全について教えることが大事だと再 確認 できました。今後は、もっと良 い教材 や教え方を開発することが急務 です。特 に、薬や医療機器 に関 する勉強を強化する必要 があります。また、目の動きを使って学生の観察力 を評価 することも大事です。
- 著者名:
- 五十嵐 真理, 田中 千晶, 住吉 智子, 坂本 信, 田中 美央, 渡邉 タミ子
- 掲載誌名:
- 新潟大学保健学雑誌
- 巻:
- 11
- 号:
- 1
- ページ:
- 17 - 24
- 発行日:
- 2014-03
- 著者による要約:
- 本研究の目的は,小児臨床写真を観察している時の視線運動と,その観察意図から,卒業年次の看護学生の危険予知の実態を明らかにすることである.大学4年生の看護学生11名を対象に,小児臨床写真を1分間観察させた後,その視線運動の解析ならびに面接調査から分析を行った。写真は危険を予知できる8領域を区分し,その領域間の注視回数,注視時間を比較した。その結果,以下の点が明らかとなった。対象者は,画面から危険を探ろうとする視線の動きと探索的な観察法を認めた.危険予知の内容では,転倒・転落は多くの対象者が指摘したが,輸液の間違いや薬剤無投与の危険について発言した者はいなかった。
This study aims to clarify the actual ability of nursing students to assess medication error risks using clinical pediatric photos. Photos were shown to eleven 4th year university students who were allowed to observe for 1 minute and their eye movements were analyzed along with the results of interviews conducted with the students. Photos consisted of 8 risks that students should be able to assess and each photo was divided into 8 sections with one risk in each section. Gaze count and time were compared for each of these 8 sections. The results of this analysis are as follows. It was acknowledged that subjects’ eyes were moving as they tried to screen the whole photo for risks and that they were using exploratory observation methods. Many of the subjects were able to assess the risk of children falling out of their beds. However, no subjects noticed the risks of errors in volume of intravenous fluids or the risks of non-administration of medication for children.
- 新潟大学学術リポジトリリンク:
- http://hdl.handle.net/10191/38933
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